29、番外編 ブレットの物語 夜に嵌る 8
僕を待っていてくれていた仲介の商人は、ルビオさんとファレスさんがいなくなったことを気にしていなかった。
「よくあることさ、」と笑って、僕にこの夜の分の賃金をくれた。掃除夫として働いてブルービ様のお役に立てビア様を見守り銀貨を1枚も貰えるのだから、かなり効率よく実りの多い仕事だ。
「こんな商売をしているだろう? 身元がしっかりとしているはずのものを雇っているつもりでも、故郷でひと死にに関わった者や手癖が悪くて追い出された者なんかが紛れ込んでいる場合があるんだ。身の上話が本当に自分の話をしているのかなんて誰にもわからないからね。」
僕は心当たりがあったので、一瞬、反応が遅れてしまった。
「お前さんみたいな同業者と話しているつもりでも、人ではないものが化けていたりすることだってある。明け方の薄暗がりに紛れてしまうんだ。」
商人は言葉に詰まった僕をじっと見た後、「冗談さ、」と言って肩を竦めて笑った。
「…気にならないのかい?」
「ああ。姿をくらまして賃金を要らないというんだから、こっちもそれで構わないよ。昨日の夜の開始の時点でもう『いなかった』んだ。いない者には賃金は払えない。それで終わりさ。お互い、その程度の関係だから、続くんだろ?」
「ここでは束縛されるのを嫌がる者たちが働いているってわけだ、」
薄っすらを笑みを浮かべている目の前の商人は、僕と付き合いが程よくあるはずなのに、初めて見る者のような見知らぬ顔つきをしていた。
労働力として雇ったものがいなくなろうと、遡って『いなかった』と見做す以上探さないのだと言われてしまった。僕はこれ以上深追いすると今後の関係に響きそうなので「そうだな」と言って引き下がると決めた。こうなることを想定してルビオロは僕とは違う伝手で働く話を取り付けてきたのだ、と理解したのもある。
別れ際、「今夜も頑張ってくれよ、」と言われたので、「ああ、」とだけ答えておく。それまでに、胸の奥に無理やり押し込んで隠した恐怖心を手放しておかないといけない。
明けていく世界を感じながらひとりで歩く帰り道はとても憂鬱だった。死という経験はひとりで済ませる個人的な体験である以上、どうしようもなく怖い経験をしたのに誰とも分かち合えないもどかしさに息が苦しくなる。それに、怖いと感じる理由を語る時、僕は自分自身の誰もいない孤独の闇に侵食されて朽ちて死んでいくのが怖いという弱点を語らなくてはいけなくなる。そんな弱音を吐くくらいなら耐えて我慢した方がましだと思い知ってしまった。
あの体験は幻覚で誰かの術中にあったのだと考えると腹も立つ。秘密にしておきたかった弱みを誰かに勝手に暴かれて、ブルービ様に知られてしまった。
僕が動揺して汗をかいて泣いたのだけはどうしようもなく事実なので、そこら中にいる妖精たちが寄ってきては誘引香な汗をかいてしまっていた僕にくっつく。悔しいし恥ずかしいからあの場面だけは忘れてしまいたいのに、すんなりと忘れさせてもらえない。
古銭の持ち主には、現在、聖堂にあってもビア様が持っているとまではバレていないのかもしれないけれど、そんなの、時間の問題な気がする。
僕があの古銭を渡してほしいとシャルーに伝えなかったら、シャルーがビア様に渡さなかったら。
考え始めると、僕の余計な気遣いのせいでビア様にご迷惑をかけてしまったんだって結論に、どう考えなおしても辿り着く。
ビア様に縁のない精霊なら、聖堂にいて在り処がバレてしまっても、ビア様には関係がないままだ。御命令通りに精霊に渡しただけにしておけばよかった。
情ない自分自身がどんどんどうしようもなく恥ずかしくて消えてしまいたい気分になっても、妖精たちは集まってきていた。ひとりじゃないと実感するのは嫌じゃないけど、今はそっとしておいてほしい気分なので嬉しくはない。
寛大なブルービ様は、失敗した僕を『会いたがっているようだから気にするな』と気遣ってくださっている。ブルービ様はお優しい。ビア様は本当はあんな化け物に会いたがってなどいないだろうに、いたらない僕を慰めてくださった。僕を下僕として認めてくださり、あの暗闇の泥から僕を救ってくださった。僕は何の御恩も返せていないのに、僕の失敗まで肩代わりしてくださるおつもりがあるのだ。頂いたおつかいも失敗で終わらせたのに、僕をお許しくださったのだ。
なんて恥ずかしい有様なんだろう。あんなに素晴らしい方を劣った僕は煩わせてしまっている。ああ、悔やまれてならない…。
重い足を引き摺るようにして店に帰ると、入り口のドアの前でデルカドさんが膝を抱えて座り込んで待っていた。
「ブレットさん、ご無事でしたか、」
嬉しそうに立ち上がったデルカドさんに僕は力なく微笑みかけた。
「ええ、他の皆さんは、」
デルカドさんはまだ僕に集る妖精を手で払い除けてくれた。
「まだです。もしかして、妖精たちに捕まっていたんですか? だからいなくなったんですか?」
違うとも言えないけど、僕の体質をいちいち理由を説明するのも面倒だ。敵の術中に嵌っていた、といえば聞こえがいいけれど、敵が誰なのかわからない。幻覚を見せられていたのだとしても、暗闇がどうして怖くて、誘引香の効果がある汗をかくのをどうして我慢できなかったという理由も話したくない。知られていない弱点を、いちいち口に出す必要などないのだ。
一刻も早く風呂に入りたかった僕は肩を竦めるだけにしておいた。
「なんにせよ、合流できてよかったです。ルビオさんたちに申し訳が立たないですから。」
「そうですね。で、これからどうするんです? 店の中へ行きませんか?」
誘引香の効果で集まる妖精を餌にしてもっと大物を呼んでしまうのは避けておきたい。
「ここで失礼します。一旦宿に戻って、…戻ってくるのを待ちます。」
デルカドさんは僕の肩越しに、戻ってきた方向の、道の先の先を見つめた。
「これから市場に行くつもりです。ふたりがいつ帰ってきても大丈夫なように食料を用意するんです。」
朝日に、デルカドさんは目を細めて精いっぱいに笑顔を作ったように思えて、励ますのは違うなと思った。あなたの願いが叶うと信じていますと伝えたくて、深く頷いておく。
「いつも通りに帰ってくるはずですから、落ち着いたら店で情報を交換しましょう。」
「そうですね、それがいいと思います。」
心の中で願って、僕も真似して微笑んだ。
話がまとまったのもあって、僕たちは店の前で別れた。
デルカドさんの後を妖精に追わせようとして諦める。呼んだ妖精たちまで僕にくっついて離れていきそうになかったからだ。
ひとり、店の奥へと帰ると、自分自身が惨めで情けなってきた。僕にできることは何かをもっときちんと尋ねておけばよかったって思い始めると、ますます僕が思慮が足らない人間に思えてきた。
唇を噛んで気持ちを切り替えて僕は風呂へ行き、服を着たまま頭から水をかぶった。
「うハッ…!」
あまりの冷たさに情けない息が漏れる。
失敗だらけの僕にできることって何だろう。
眠っている場合じゃない。
考えろ、どうすれば、この失態を取り戻せるんだ?
※ ※ ※
何度か頭から水を被っているうちにだんだん落ち着いてきて、湯を沸かしてありったけの薬草を突っ込んで風呂に浸かる。
僕の匂いじゃない、香草や薬草の様々な匂いを何度も深呼吸して繰り返して嗅いで、毛穴の隅々まで洗いつくして、僕じゃない香りに包まれる。
僕が知っているのは、古銭はご先祖の誰かも知っていたってことと、皇国での体験らしいってことと、あれは今は誰かの宝物らしいってことだ。
ビア様の宿屋の部屋がきっかけでご縁をいただいたブルービ様はあの古銭をどこからか手に入れられて、聖堂の精霊に渡すようにと僕におつかいとしてお渡しになった。たまたま知り合った精霊のシャルーがビア様と契約していたから、僕は僕たちの誰もに共通するからという理由でビア様に渡してほしいと願った。おかげで、ビア様は現古銭の持ち主として、おかしな男とこの先遭遇しそうな気配がする。
ブルービ様の、ビア様も『持ち主に会いたいと思っているようだ』という慰めの言葉が気遣いではなく事実なら、失敗した僕は全身全霊をかけて古銭の持ち主とビア様とをつながなくてはいけないと思う。手掛かりが少ないのは判っていても、古銭の前の持ち主であり本来の持ち主について調べる必要がある。
失った信頼を挽回するためには、ブルービ様が認めてくださるような形で円満にビア様の願いを叶えて差し上げるのが一番だ。もし仮に、持ち主があのふたつの属性を持つ存在なのだとしたら、姿かたちを知っている僕だからこそ、ビア様が僕のご先祖が体験したような恐怖に気を失ってしまわない様に情報を加減をし、ビア様がそれでも本当に会いたいと思っても大丈夫なように支援をする必要があると思う。
持ち主は別にあるのだとすれば、領主と謁見が可能な冒険者であるビア様が会いたいと願うような人物である以上、それなりの身分が有る方だと想像できる。王都の領主は王城に暮らす王族だ。簡単に面会できない王都にいる存在となると領主ではない王族、もしかすると、王族に連なる人物かもしれない。歴代の王の姉か妹、王弟殿下など、貴族に降りた元王族も探ってみよう。
ちょっと厄介だけど、王都での伝手を駆使すればできなくはない気がしてきた。
幸い、古銭の形状は覚えている。僕の記憶に残っているから、椿油さえあれば何度でも魔法で映像を再現することもできる。まずはあの古銭がどこの国のどの時代で使われていたものなのかを調べ、価値があって古銭として流通しているのかを調べる必要がある。この国では、建国以来、何度か金貨や銀貨のみ大きさや重さ、意匠が変更されていたりする。ビア様がお持ちのあの古銭は銀貨だったのでもしかすると王国の旧硬貨かもしれないけれど、王国人で商売人である僕が知らないのだから相当古いとだけと言える。
旧硬貨は金属として再利用されて新硬貨として再生されてしまうのがほとんどで、いつの間にか市場にかたちを変えて戻ってくる。直近の硬貨なら発見されてもそのまま使われる場合もあるので、収集家が集めるほどの価値はない。
古くて珍しい硬貨なら、古銭の収集家の間で持ち主の情報があるかもしれない。好事家を探してみよう。
待てよ?
いまさら重大な事実に気が付く。
大聖堂内にあると持ち主が気が付いてしまっているのなら、僕がビア様から借りて、聖堂内から持ち出した方がよくないか?
相手が男であるという情報以外は、この古銭がどういう類の存在かすらわからない。悪意のない術具なのだとしても、悪意があるかどうかは、実際に被害を受けた者が決めることであって、現段階では情報量が少なすぎる。
会いたいと望んでいるからと言ってビア様がわざわざ手元に持たなくても、僕が代わりに囮になっておびき寄せて、ビア様は物陰に身を隠して相手を見極めてから会ってもらったら良いかもしれない。
何しろ安全だし、親しいブルービ様はご安心なさるのではないのか?
妙案に興奮する。
さっそく日中にでも、ビア様に接触してみよう。
聖堂に消えたルビオさんたちも気になるし、なんて好都合だ。
方向性が決まってしまうと、風呂に浸かっているのが時間を無駄遣いしているように思えてきた。
水を抜く勢いで汗やらなんやらでドロドロになった服も洗濯もして、生成り色の麻製の半袖の夏服を出してきて市場に行って立ち食いの空腹しのぎの朝食も摂った。
立ち止まっていると孤独を思い出してしまう。黒い泥に呑み込まれてしまった感覚を、またぶり返してしまいそうになる。
店が開く時間には僕は多少はまともな『僕』に戻っていて、遠く南方のマスリナ子爵領にある本店のロディス様へと水鏡を使ったりもする。お昼ごろにするのがいつもの常だけど、今日は違う。昨夜から今朝にかけての報告を早めにしておかないといけない。何しろ、今日は出かける予定がある。
それとなく聖堂の一日の時間の流れを調べたり聞いたりしていたので、僕はビア様に面会に行くのはお昼休みが最適だろうと考えていた。移動時間も込みで逆算して店をお昼休憩にして抜け出そうと計画していたのでロディス様との連絡も早めておかなくてはいけない。何より、現在不明であるルビオさんとファレスさんのために僕ができる最善は情報の速さにかかっているのだ。
感情を込めないように淡々と、ロディス様には工作部隊と一緒に掃除夫として聖堂に潜入して見聞きしたことを伝える。
デルカドさんがどれくらいの情報を報告しているのかわからなかったので、齟齬が生まれないように気を付けながら一応昨日の夜から今朝までの情報だけを伝えた。『ビア様はご無事』という、一番重要な一言も欠かせない。ただ、僕が先日の潜入で入寮の儀式を邪魔した結果御無事なのかもしれないという推測は伝えていない。
「そうかいそうかい、そうなんだね。」
ロディス様とレオノラさんは目配せしあった後、僕に「では、一旦手を引くように、」と仰った。ついでに、「しばらく夜の聖堂には近寄るなよ、」とまで言われてしまう。
日中も聖堂に一般信者に紛れて潜入してみようと思っていた僕は、「どうしてですか」と反射的に尋ねていた。
ロディス様は楽しそうに噴出して、レオノラさんと僕を見ている。
「工作部隊がいるから任せておきなさい。彼らは慣れているから大丈夫だよ。いつも通りにこの先も情報を集めるし、ビア様がご無事なように工作することになるだろう。ブレットはそこにいて、いつでもビア様と連絡をつけられるようにしていてほしい、」
「危険だと判っている場に、ブレットを送れる訳ないでしょ?」
体よくお払い箱じゃないですか、と不満を口にしそうになって黙る。僕にはこの店が最優先だと言われているのだから、僕の役ではないものは諦めるしかない。
「ビア様との取次役はブレットに任せたいんだ。それに緊急事態になった時、ブレットに最前線で働いてもらえないのは困るからね。」
「ロディス様は最悪の事態を想定しておられます。ブレット、そのつもりで。」
レオノラさんにまで念を押されてしまうと、最悪の事態に備えるっていう言葉の意味が、未熟な僕がその時に備えてもっと完成形に近い状態であってほしいと願われているような気がしてきた。
僕にできるのは、失態を、おつかいの失敗のままで放置しないことだ。
「昼間のビア様に接触するために、聖堂に行ってみてもいいですか?」
しつこいけど、僕は諦めてはいない。
「何をするつもり、ブレット?」
「レオノラさん、ビア様の寝顔ばかり見ても仕方ないと思うんです。目を見て話をして何を考えているのかを直に知らないと、本当にご無事かどうかはわからないと思います。ビア様がいくらご加護をお持ちでも、もう洗脳されてしまっていたりするのかもしれないです。」
そんなはずは無いだろうなって思って口に出した出まかせだったけど、声にしてしまうと、洗脳を実際しているのかどうかより、聖堂はかなり危険な場所なんだって思えてきた。
一瞬の間の後、ロディス様は「いいだろう。だけど今日は止せ。ルビオたちの連絡がついてからが理想だ。そうだな、明日以降なら構わない。商人としてではなく個人としていけば、ここを特定されないだろうからね、」とお許しくださった。
「そうします。」
ロディス様は通信を終わらせる前に、「たまにはゆっくりしてみるのもいいぞ。今夜は早く仕事を終わらせて何も考えずに眠るんだ、いいな?」と優しい声で声をかけてくださった。レオノラさんも「おいしいものをたくさん食べて休みなよ?」といつになく優しい。
「早く寝ます。」
返答を待たれてしまったので、つい本心ではない約束させられてしまった。
そして、もしかして僕はおふたりに気遣いをしてもらわなくてはいけないほど焦燥した表情なのかと愕然とした。
※ ※ ※
通信も終えたことだし早いけれど昼食にしようとテーブルを片付けていると、いきなり「よっ、」と僕の肩を叩く声がした。
「なんですか、いきなり、」
「会いたかっただろ~、ブレっち。来てやったんだぜ、」
振り返るとルビオさんとファレスさん、デルカドさんが昨日の昼間にあった時のようにマントをしっかりと着た旅装束姿で立っていた。再会は嬉しいけど素直に嬉しいと思えないのは、無事に帰還できたルビオさんたちの情報は一通りが落ち着いた午後から持って来てくれたらいいなと勝手に期待していたからで、僕の計画の時間配分が狂ってしまったからだ。
「大丈夫だったんですか?」
意外と早いお帰りな気がする。さっきロディス様に報告したばかりだ。
彼らは慣れた様子で椅子を確保して、僕とテーブルを囲んで座った。
「あったり前だよ。」
「さっきお昼も済ませてきたんです。朝食兼昼食。王都の市場を食べ歩きです。」
デルカドさんが明るい表情で教えてくれると、ファレスさんは「いやー食べた食べた。明日の分まで食べちゃったね」とぺったんこなお腹を撫でている。
「これ、ブレっちの分だ。ほれ、嬉しいだろ、」
手にしていた飲みかけの牛乳瓶を渡された僕は呆れて、でもルビオさんらしくて面白いと思ってしまって、わざと眉間に皺を寄せる。
「あんまり嬉しくないですね。ブレットですよ。ここは聖堂じゃないですよ。」
「どっちでもいいだろ、ブレっち。デルカドが報告しあおうって約束してたんだろ? わざわざ報告しに来てやったんだからありがたいと思え。」
「ロディス様に報告は済まされたのですか?」
「そんなもん、あったりまえだよ。」
僕の質問にルビオさんは口を大きく曲げる。
「ブレットさん、僕たち、この後次の任務に就くんです。お別れがてらに来たんですよ?」
「聖堂の潜入はもう済んだんですか?」
驚く僕を見て、デルカドさんは困ったように笑った。
「続き、です。任務の内容上、しばらく潜伏してブレットさんには会わない計画ですから、一旦のお別れです。」
ファレスさんが何度も頷く傍で、ルビオさんは下唇を突き出して腕を組んでいた。
「それは…、寂しくなりますね。聖堂に入信してしまうのですか?」
思い切って思い付きを尋ねてみると、「秘密です、」と冒険者の証を持つデルカドさんは笑った。
ルビオさんもファレスさんも目を逸らしたので、デルカドさんなんだろうなと僕は思った。
「もしかして、顔が割れてしまったりしたんですか?」
逃げている最中に人相がバレてしまっているのなら、潜入には向かないと思う。
「違うんだよ、ブレっち。ちょっと相性が悪いんだよ。」
「この近くで聖堂の施設があるはずなんです。そこを探ります。」
「僕たちは得意を生かしてバラバラに行動しようって決めたんですよ。もちろん、他の工作部隊の者たちと共同の仕事ですけどね。」
「ちょっと待ってください。」
惑わされそうになる。整理して考えてみると、方向性が決まっていないのはルビオさんだけだ。
ファレスさんは何かを見たから大聖堂ではなく外部の聖堂の施設に行き、デルカドさんは冒険者として聖堂に入信してみる、という話なら、ルビオさんだけが相性が悪いという理由でこの任務から外れるのはおかしい。工作部隊では相性が悪いからと言って脱落するのが許されるのか?
「詳しく教えてください。ルビオさん、何を見たんですか?」
ありがとうございました




