28、思いがけなかった犯罪
時刻は公国での朝食にしては少し遅い時間だった。王国の王都の日の出の時間はもしかすると公国の公都のわたしの家よりも遅いみたいだ。1周目の世界では父さんと連絡を取らなかったから意識したことがなかったけれど、月の見える時間も違うのかなと思えてきた。
人が散り、場の雰囲気が変わったのを皮切りに、改めて頭を下げて挨拶をしようとすると、口を開く前に執事長らしき執事に「おはようございます。よい朝を迎えられましたか?」と明るい声で先に言われてしまった。
何もかも想定済みと言った余裕でわたしを見守るふたりの様子から、彼女が侍女長らしき貫禄があるのは実際に侍女長だからなのだろうなと思えてきた。この際、彼は執事長で彼女も侍女長と呼んでも間違っていない気がする。
少し空いた窓から通り抜けた風に混じる奥の厨房から漂ってくる香りには香草や薬草の複雑な情報があって、この離宮が巷では『王族のための薬草園』として機能する施設なのだと思い出される。1周目の未来では聖堂に暮らしていたからここが実は先代の国王妃様がお暮しになっている離宮なのだとわたしは知っているけれど、防犯上の理由もあって決して口外されていない。2周目の世界でのわたしはまだ、誰からもここが先代の国王妃様がお暮しになっている施設だと聞いてはいない。父さんが妖の道の繋がる先を知っていたのは父さんが邪神と呼ばれるような悪い魔性であるからで、父さんも先代の国王妃様がここに暮らしているとも言ってはいない。奥様と執事も騎士も呼んだけれど、奥様がどういう身分のお方なのかを詳しく語ってくれてはいない。ここは、奥様という謎の人物が暮らす場所であると同時に、秘密を隠す場所なのだ。
秘密を知っていると知られてはいけない。旅の公国人であるわたしは、あくまでも先代の国王妃様が暮らしているという事実を知らないふりをしなくてはいけないのだ。知っていると判れば、何故知っているのかと怪しまれてしまう。ここは薬草園で、薬草園の管理者である屋敷の主がいて、その主は誰なのかを追求してはいけないし、主は男性ではなく女性で、その女性が奥様と呼ばれている先代の国王妃様だとも情報を掘り下げてはいけないのだ。
師匠と旅をする公国人の治癒師という魔法使いを演じるのではなくて、薬売りのシクストおじさんと王国を旅をしていた公国人の医者としてふるまうのが、ここに暮らす人々にとっては好印象なのではないかなと思えてきた。
「昨日はありがとうございました。もうそろそろ失礼しようかと思いまして、ご挨拶に伺いました。」
気を取り直してぺこりと頭を下げると、執事長も侍女長もうっすらと笑みを湛えている気がした。わたしの誠意が伝わったのだと思えてほっとする。気のせいじゃないと思いたい。あくまでもわたしは『倒れたのを助けてもらった』という態度で遜る。魔法をかけられて留められた、と変に騒いでより高度な拘束術を掛けられてしまっては対応に困る。
「顔色がずいぶんよくなりましたね、」
「先ほど目を覚まされたと報告があったのでそろそろかと思っていましたが、案外遅かったですね。」
「少し、戸惑いました。」
環境にも、暮らす人々にも。化け山猫と密談していたとも言えない。かといって、嘘を付いて誤魔化す気もない。
「あなたの昨夜のご活躍はリロイから聞かせてもらいました。ここにいる誰もがリロイを助けてくださってよかったと、とても感謝しております。」
「もったいないお言葉です。こちらこそ、夜分にお騒がせしてすみませんでした。」
執事長と侍女長が頭を下げたのを見て、わたしも頭を下げ、思い切って願いを口にする。
「服を着替えたいのです。預かっていただいているわたしの服を返していただけませんか。」
あくまでも離宮に暮らす人々は善意で行動しているのだと肯定して言葉を選ぶ。例えわたしの本音は違っていたとしても、この際知られない方がいい。
「顔を御上げください。染み抜きは上々に終わったようです。随分と綺麗になったと皆が申しておりました。」
「そろそろ乾いた頃ですから、あとでお持ちしましょう。それよりも、朝食の準備をしています。せっかくですから、召し上がっていって下さい。」
「ありがたいお言葉ですが、そんなご迷惑はかけられません。」
演技ではなく、素直に断ってみた。空腹は市場でも埋められる。
「迷惑ではありません。」
「公国からお越しのお客様にも我が料理長の料理は評判がよろしいのですよ? きっとお口に合うことでしょう。」
執事長と侍女長に微笑まれても、心の底からは信用できないのだから食べたいと思えない。
「ここは大切な仕事場です。少々忙しないですから、場所を移しましょう、」
執事長が提案すると、侍女長とふたりしてわたしを奥の部屋へと送り込む。
どんな罠が仕掛けられているのかわからないので気楽に食事したいとは思えないし、時間が惜しいと本音を言うのも無礼だと思うと、言葉が見つからない。わたしの人生の中で王族と接したのは王の庭でのラボア様との面会くらいなのだけれど、ラボア様とこの人たちとは立ち位置が違う。この人たちは見知らぬ術をかけてくる皇国人だ。
「お時間をおかけするつもりはありません。お暇させてください。」
謙虚さを演じつつ躊躇いがちに告げると執事長も侍女長も笑顔になった。どうやらわたしが遠慮していると本当に思っているみたいだ。
「どうか、お気楽になさってください。こちらです。」
断っても、笑顔で弾かれて聞いてもらえない。効果がありすぎだ。
「お気持ちは感謝しますが、わたしのような平民がこのように立派なお屋敷にお邪魔するのは恐れ多いのです。どうか、ご挨拶をさせていただいて帰らせてください。」
これ以上ここにいるのはわたしとしても身の程を過ぎるから退出したいと遠まわしに伝えてみるけれど、執事長も侍女長も親切そうな笑顔を崩さないままだ。
「それでは私たちが困るのです。」
わたしが断ることで彼らが先代の国王妃様に叱られてしまうのならとても申し訳なく思えてくるけど、得体が知れないのには腰が引けてくる。
「ささ、どうぞ、」
「せっかくですから、今朝摘んだばかりの薬草をお試しくださいな、」
「大丈夫です。」
ハッと息を呑んで、侍女長がわたしの手を握った。
「あなたに昨夜、私が術をかけたので警戒していらっしゃるのですね?」
そうです、とは言えない。
「この者を責めないでやってください。」
執事長が侍女長を庇うように言った。
「あなたはとてもよくない顔色をされていました。ひと目で死相が現れていると判るような、死人の顔色です。」
「お湯に浸かれば血色はよくなるだろうと判断して入浴をお勧めしたのですが、状態は変わりませんでした。術を使ったのは私たちにできうる最後の手段だったのです。」
治癒師として魔力がないのであれ以上の回復をできなかったのは認めるし、感覚として魔力がないだけなのだと自分の状態を把握していたのもあって、鏡に映るわたし自身の顔も気にも留めていなかった。
侍女長は、一瞬だけ眉間に皺を寄せると、わたしを改めて見つめた。
「騙し打ちのようなやり方をしてしまいました。許してください。私は皇国で死霊使いの人形を見た経験があります。昨晩のあなたはまるで生きている温かみがなく、本当に土気色だったのでこのままではいけないと判断したのです。」
「憶測ですが、夜の闇に潜む悪い精霊の毒気に中てられたのだと思われます。」
ドキッとしたのは内緒だ。悪い精霊って父さんかアレか迷うけど、どっちもだ、きっと。
「魔法は悪気があっての行動ではないのだと信じてください。あのまま外へ出してしまうと悪い魔性に本当に命まで取られてしまいかねないと判断したのです。」
「私たちはあなたが元気な顔色に戻ったのがとても嬉しいのです。あなたを安全なこの屋敷で保護することで、少しでもあなたへの責任が果たされた気がします。」
不意打ちに魔法を使われるのはあまり気分がよくないので、今度からは魔法をかける前に教えてほしいと思ったりするけど、今度があるような程ここに長居をしたいとは思ってはいないので黙っておく。
「納得されましたか?」
「お召し上がりいただけますね?」
拒否する要素が見つからない。
こんな状況だと「はい、」としか言えない。
「どうか、こちらへ、」
「さ、こちらです。」
『困る』の主張合戦に負けてしまったので、わたしは部屋の中へと押し込まれた。昨夜部屋とは別の、使用人用の食堂からつながった使用人用の休憩室だ。部屋に入るなり、空気の質感が変わる。柑橘や薬草をつけた酒瓶が置かれた棚や、レースのカーテンで日差しを遮り上質のカーテンを束ねた窓辺にも、テーブルにも可憐な花が一輪挿しの花瓶に活けられていて、小花模様のかわいらしいクッションがパッチワークで作られたカバーをかけたソファアにいくつも置かれている。共用の場のはずなのにまるで誰かの自室のように個性が溢れている丁寧な裁縫仕事と清潔な環境とに、皇国のクアンドのビセンデさんの家を思い出して懐かしくなってしまう。この濃密な作り込みは侍女長の趣味と努力の結晶なのですかと尋ねたくなるし、ここまでするのはどうしてなのかと、勘ぐりたくなる。
この部屋は異質すぎて、術具や魔道具があっても見破れない。
「珍しいでしょう?」
侍女長が嬉しそうに声を弾ませたので、反射的に身構えてしまった。
「この部屋は、皇国から取り寄せた雑貨ばかりを集めてあるのです。ここで暮らす者たちが故国の祖父母の家を懐かしむための部屋なのです。」
「季節に合わせて、小道具を変えたりもするのですよ?」
中央にあるテーブルには丁寧なレース編みの見事なカバーが掛けられていて、一人分の食器が用意してあった。
座ったら、食べなくてはならない。
逃げられないのだ。
「どうか、おかけください。」
勧められても、座れそうになかった。
状況として食べるのを避けられないのに、頭の何処かにある拒絶したい思いが抜けない。
なかなか座らないわたしに痺れを切らしたように執事長と侍女長は顔を見合わせた。
「まだ何か、気がかりがおありなようですね?」
「ええ。」
聞かずにはいられなかった。
罠を隠していませんか、とは直接すぎて聞けない。
「大切な思いの詰まった特別な部屋に、行きずりのわたしを招き入れてくださるのは過剰な歓迎だと思えるのです。何かをお隠しになっていませんか。」
侍女長の表情が、暗く翳った。
ここでの待遇を好意的に受け取るとしても、顔色を見て保護が必要だと判断して匿ってくれたのは理解できる親切でも、大切な部屋に招き入れてくれるのは過剰な愛情な気がしてくる。
「…あなたは、リロイを大切にしてくださいました。」
執事長が当然ですとばかりに肩を竦めた。
「あなたは私たちの大事なお客様です。」
「同時に、あなたの勇気に、真実をお伝えしなくてはいけませんね。」
侍女長は静かにわたしを見つめていた。ふたりはゆっくりと優しく語りかけてくれる。
「あなたは、私たちに黙って逃げだすこともできました。冒険者の権利をふりかざしてもよかった。リロイに関しても同じです。助ける必要などなかったのに、助けてくれました。あなたは冒険者らしくありません。」
「本来なら黙っておくことができましたが、あなたの勇気に免じて、私たちも秘密を打ち明けましょうね。ここは、単なる薬草園ではなく、王国の重要な施設なのですよ。」
知っていますとは言えないまま、わたしはしっかりと口を閉じて頷いてみる。
「ここへ入るにはあらかじめ申請がないと入れません。身元を調べて、ふさわしいと思える者しか入れない施設なのです。」
「ここへ事前の申し込みもなく訪問した者は、騎士団によって拘束されます。侵入者として害をなすものなのかどうか、そのまま帰しても大丈夫なのかどうかを管理下の元で確かめます。帰すにも、身元を引き受ける者が必要となります。もちろんあなたも例外ではありません。特別通行許可証があっても冒険者として後ろ盾となる者の紹介が必要です。」
執事長もわたしを見つめていた。
「冒険者の謁見は特権なのではないのですか?」
「面会は可能でも、屋敷の外へ無事に出られるとは保証していませんね?」
平民だろうとの冒険者には規則だから面会はするけど、その後無事に出るためには屋敷の主の許可が必要って解釈しているんだ…!
それもそうだって理解してしまうと、冒険者にも身分は必要なのだと思えてくる。わたしは単なる一国民なので、王族である屋敷の主の同等にも及ばない。
「あなたをここへお泊めしている間に、公国へと問い合わさせていただきました。公国人のビアトリーチェ・シルフィム・エガーレ、公都に暮らす治癒師ですね?」
「…そうです。」
昨夜門番に偽名を名乗らなくて助かった、と心の底から思ってしまった。
「ここから帰っていただくには、身元を保証する人物が必要となります。保証する人物が現れない限りは規則ですから出られません。引き続き引き留めさせていただきます。」
「わたしは公国人ですよ? 公国から誰かが来るまでは出られないのですか?」
公国人の庶民も庶民、父親は怪しく悪い精霊であるわたしの身元引受人って、母さんしかいない気がする。
「それは…、無理です。」
母さんは、きっと身動きがとれないほどに今日も仕事を抱えている。女神様の術中にあるから、父さんも黙っていない。公国から出てこれないよう、きっと邪魔をする。しかもわたしが知っている限り、王国に来た経験はないはずだ。無事に着くとも思えない。
父さんは、問題外だ。精霊なのだから、いくらヒト型になろうと身元を引き受けられるほどの身分がない。母さんと出会った頃のローアンという人間の身分で通行許可証を作っているとは思えないし、ローアンという人物が現在も実在の人物なのかどうか、父さんにも母さんにも確認したことがない。
「誰も、来てくれないと思います。」
カエル顔の神官様の説明によると邪神であり魂をふたつ持つという父さんが人間という魂の器を持っていて身分をも持っていたとしても、聖堂での仕事のために潜入中なら呼んでもここへは現れてくれないと思う。何しろ父さんの本質は気まぐれな精霊だ。期待してはいけない。
ふたりとも、わたしを助けてくれない。わたしは、出られない…。
「大丈夫です。そういった事態は想定済みです。」
「公国人の冒険者の場合は、公国の国境警備隊に連絡して兵士が引き取りに来ると慣例で決まっています。」
兵士って…! その対応って、異国の重要施設に侵入した賊として国王軍が拘束するって意味だと思うけど違うのかな。わたしは一応庭園管理員という公国軍の一兵士なので、軍紀を乱した逆賊の扱いになりそうな気がしてきた。
身震いしてしまいたくなるのを押さえると、急速に、ラボア様を信じるしかないと思えてきた。国境警備隊もアリエル様も、ラボア様の支配下だ。
指導員の師匠が迎えに来てくれるのが理想的だけど、あいにくと師匠がいるのは皇国だったりする。
公国との国境から街道を早馬で昼夜駆け抜けても一週間はかかる。ましてやわたしは平民で、貴族階級の重要人物でもない。派遣されてくる兵士が真面目な人物でもない限り、いったい何日ここにこうして捕まっていなければならないのか、わからなくなってきた。
「わたしがわたし自身を保証するので、わたし自身が責任をもってわたしとここを出る、というわけにはいかないのでしょうか。」
「いかないですね。」
「兵士はわたしを知りません。わたしを知らない者がわたしを保証できるのでしょうか?」
執事長が苦笑いをした。そうですよね、屁理屈ですよね。
「その場合は、公国のやり方であなたを調べるのでしょうね。」
本国への送還だ。しかも最悪の場合、公国で投獄もありうる。ここまで来たのに、コルやシューレさんの居る王国からすべてが遠くなってしまう。嫌だ。王国で投獄されるよりも状況が悪い。
「あなたのお迎えが来るまで、私たちはここにあなたを留め置かなくてはいけません。」
「時間はまだまだかかることでしょう。食事をされるのがよろしいかと思います。」
ぎゅっと手を握ると、頼れるのはわたししかいないのだと独立心が湧いてくる。誰も身元を引き受けてくれない場合の先にあるのは、王国の牢獄だ。コルとシューレさんの未来を変えるためには、最悪の事態となっても自由を諦めたくない。
ここをうまく乗り切るしかない。食事をしてまずは体力を補うのだ。情報を集めるしかない。おとなしく待っているだけなんてできそうにない。
「判りました。お食事をいただきます。よろしくお願いします。」
「よかったです。これ以上なら、冷めてしまうところでした。」
「おひとりでは気詰まりなら、私どもがお付き合いしますから、さ、どうぞ、」
緊張しながら、執事長が引いてくれた木製の簡素な椅子に座ると、カートに鍋やパンの入った籠を載せた料理人たちが次々に部屋に入ってきた。蓋を開けた鍋からは、香草をたっぷり使ったスープのよい香りが漂ってくる。どうやら出来立てを食べさせてくれるつもりみたいだ。
ぐう、とお腹が鳴ってしまったのを、料理の載せられたスープ皿をわたしの前へと給仕中の執事長に聞かれてしまった。すまし顔な彼は聞き流してくれているとは思うけど、恥ずかしい。
恥ずかしくなって視線を料理から逸らしていると、「まあ、あなた、」と侍女長の声が聞こえた。お行儀悪くお腹を鳴らした犯人を問い詰める気なのかな。ええ、わたしです、わたしなんです、すみません。
素直に謝ってしまった方が恥ずかしさは早く消えてなくなりそうな気がしたのもあって顔を上げて侍女長の視線の先に目を向けてみれば、給仕してくれている料理人たちの列に、ちゃっかり化け山猫な若い侍女が混じっていた。
「オリガ、ダメでしょう、あなたはここに入っては。」
「マルソ、ごめんなさい。すこしだけ。ね、うまくやるから、いいでしょ?」
わたしのお腹の鳴る音を聞かれてしまった執事長と目が合った。聞けるのは今しかない。
「オリガというのですか、あの子、」
化け山猫でも若い侍女でもなく、オリガという名前まであるんだね。しっかり家猫な扱いな気がする。
「ええ。奥様が名付けてくださいました。」
守護精霊なら本当の名前を別に持っているはずだ。他人に名付けてもらう名前を使っているのなら、奥様と呼ぶ先代国王妃様のことをオリガは相当気に入っている。
「お手伝いをしに来たんですか?」
「すぐに連れ出しますから、お気になさらないでください。」
執事長が言い終わる前に、マルソと呼ばれた侍女長が一瞬顔を顰め、顎を引くと低い声で「オリガ、いい加減になさい、」と叱った。若い侍女にしか見えないオリガは実は化け猫でも山猫でもなくこの王都一帯の守護精霊なのだと知っているわたしとしては、皇国人とは言え人間のマルソさんが精霊を叱りつけた剣幕にびっくりして、思わずごくりと唾を飲み込んでしまった。
オリガは悪びれもへこたれもせず、「マルソは頭が固いわね、」と口を尖らせた。
マルソさんたちは、自分たちの分に加えてオリガの分のお茶の用意を始めた。
わたしを見て、オリガは「何か、お困りごと?」と目を細めて笑った。
ありがとうございました




