20、秘密は地図の中に
レゼダさんはニコニコと笑いながら師匠とわたしとを見比べて、皇国語で「なんだ、ビアちゃんはバンチャンのお弟子さんなのね」と何度か頷いた。歩きながらちらりと師匠を見上げると、明らかに不機嫌そうに睨んできた。
橋まで行くと聖堂の騎士たちが出迎えてくれた。なんでもスティーノ青年がたまたま巡回中の聖堂の騎士たちを見つけて助けを求めた相手がアレハンドロで、彼は聖騎士として快く引き受けてくれ動いてくれてビセンデさんを無事に家まで送り届けくれたようだ。
「その者たちは?」
わたしとレゼダさんと師匠とを見て関係を不審に思ったらしいアレハンドロが眉を顰めていたので、「師匠が迎えに来てくれたんです」と言い訳をしておいた。マハトがいなくなった話を自分からすべきだとは思えなかったし、公国に帰る予定なわたしがマハトを見つけるためにこの街で新たに活動を開始し始めているのを妙に勘繰られたくはない。
「お嬢さんは公国に帰るって言うのは本当なようだね? お迎えかい?」
「はい。しばらく師匠とこの街を楽しんでから戻るつもりです。」
楽しむつもりはないけど、そう言っておくのが無難だと判断する。
「そっちの剣士は?」
「盗賊を捕まえるのを手伝ってくださいました。冒険者です、よね?」
レゼダさんは黙って頷いて、左手の鉅の指輪を見せる。
<失礼だが、公国の民でもないようだが?>
わざとアレハンドロは王国語で話しかけていた。知っててやってるなら、わたしとどこで接点を持ったのかを知りたいのだ。不審がられている…!
「王国出身の剣士だ。この子がひとりで暴漢と戦っているのを偶然見つけた。同じ冒険者としてほっておけなかった。」
レゼダさんは気にしていないのか、皇国語で答えている。
「こういってるが、本当かい、お嬢さん、」
「本当です。いきなり風のように現れて助けてくれました。」
そう、あれはピンクの突風だった。レゼダさんが気をよくしたのか師匠をちらちらと見ながら胸を張っていた。
「で、こっちのお二人は知り合いか?」
「違います。ですがビアの師匠として感謝します、」
速攻で即答して師匠があくまでも他人のふりな距離感でレゼダさんを見ないようにして礼を口にすると、たちまちレゼダさんはニマーっと笑った。個性を何も隠せてないじゃない?と思ったのはわたしだけじゃないみたいで、アレハンドロを除く聖堂の騎士たちは引き攣り笑いをしていた。
アレハンドロはきょとんとしていたけれど、他の騎士たちにはレゼダさんという人が想像がついたみたいだ。アレハンドロはレゼダさんとわたしを見て嬉しそうにしていた。心の底から協力に感謝している、という、打算のない心の純粋さが感じられた。さすが聖騎士だ。
「私たちからも礼を言おう。冒険者のお二人のご協力に感謝する。」
「ありがとうございます。先に帰ったビセンデさんが気になるので、そろそろ失礼します。」
あくまでもわたしは治癒師なのだと立場を意識して発言してみた。
「大丈夫だろう。聖堂からも治癒師を向かわせておいた。私たちはあなたたちの話を聞きたいと思っている。あなたは公国で有名な吟遊詩人だろう? 公国であなたの活躍する姿を遠巻きに見た記憶がある。」
師匠を見て、アレハンドロはにっこりと微笑んだ。
「吟遊詩人が治癒師を弟子に置くとは、いったいどういう関係なのかと聞いてみたいものだな。もしかして侍女として扱っているのか? この子は見たところ、あなたとは別行動をしているのだろう?」
師匠が庭園管理員だとはバレていないみたいだけど、指摘通り吟遊詩人の弟子が治癒師って、設定がおかしいよなと今更思う。今更だけど、師匠がわたしの師匠になるには不向きだったんじゃないのかな。つい態度に出てしまって、残念な子を憐れむような視線を師匠に向けてしまった。
「私たちは共通して『癒し』を人々に与えます。何もおかしな関係ではありません。私の詩が心を癒し、この子の治癒が体も癒せるのです。」
にっこりと微笑み返して師匠は切り返した。
師匠の言葉に一瞬でその通りかもとわたしは言いくるめられてしまって、さっきまでの残念な視線を師匠に向けるのをやめた。
「疑ってすまなかった。しかし、あなた達は一定以上の実力者に思える。吟遊詩人に剣士、治癒師と、盗賊団ギルド…、この街に何故今冒険者が集まってきているのか参考にさせてもらいたいのだ。」
アレハンドロの言葉に騎士たちはうんうんと頷いていて、冒険者たちがこの街に集まってきてはマズいのかなと逆に勘繰れてしまった。
聖堂はこの街で何かをしようと計画しているから、聖堂の三本刀の一人の聖騎士アレハンドロがこの街にこの時期にいるのだろうか。
「お言葉ですが、冒険者が国境の街にいるのは当たり前なのではないですか? 国境の街には両国の商人が情報を持って商いをしにやってきます。」
わたしはあえて挑発してみた。聖堂には潜入したいけれど何かがおかしい。盗賊たちの話を聞いて、この街には秘密の盗人酒場や魔窟があって『天女の羽衣』があるのだと知ってしまった。目を見開いてわたしを見ているアレハンドロを首を捻りながら見上げた。アレハンドロがどこまで情報を得ているのか判らない現状でわたしの現状を正直に話して得をするとは思えない。
聖堂の騎士たちは黙っていて、アレハンドロも答えてはくれなかった。良くも悪くも聖騎士は正直者だ。この街では現在進行形で聖堂絡みの何かが起こっているのだ。
コホン、と師匠が咳払いをした。アレハンドロを見てお辞儀してから、スティーノ青年をまっすぐに見て告げる。
「そろそろ、よろしいでしょうか。この子の面倒を見て下さってありがとうございました。改めてお礼に伺いますが、今日のところは、私たちはここで失礼します。」
わたしの頭を撫でて、師匠は優しく微笑む演技をした。演技だとすぐ見破れてしまうくらい、目が笑っていない。師匠が怖くて反射的に頷いて、調子を合わせると決める。
「この子とは久しぶりに会うのです。師匠と弟子との水入らずの時間としたいので連れて行きます。夕方までには送って行きますので、ご家人の皆皆様にはご心配為されないようお伝えください、」
「判りました。ビアお嬢さま、よいお時間を。では、僕は親方が気になりますので失礼します。」
スティーノ青年が頷くわたしを見て一瞬微笑んで頭を下げて行ってしまうと、アレハンドロたち聖堂の騎士たちも「大事がないようならよかった。街の治安への協力に感謝している」と言って去っていってしまった。
わたしと師匠が見送る傍に、当たり前な素振りでレゼダさんも一緒にいた。
「おい、お前は部外者だろう?」
わたしの背中に腕を回して歩き始めた師匠が後ろを振り返りもせずに呟くと、ちゃっかりとついてきたレゼダさんは、「まあそう言わずにィ」と言って友人な距離感で間合いを詰めてきた。
「師匠、お知り合いなんですか?」
「知りません、」
「またそんな! 同じカマの飯を食らう仲でしょ?」
「ええっ、」同居生活をしてるんですか。
「ビア、この者のたわごとを真に受けてはいけません。この男の妄想です。」
「隣の部屋なのよ、アタシたち、」
「宿ですか?」
市場の中にあるという酒場のある宿屋の事だと気が付く。師匠の定宿なら、そこそこ綺麗そうなところなんだろうなと想像してしまう。綺麗な宿なら宿代も高いだろう。そんな高い宿代を払っていても貴族階級で名のある吟遊詩人としての顔を持つ師匠はやりくりしていけるだろうけど、それと同じ待遇が維持できるなら、このレゼダさんも同じくらい稼げれる冒険者だという相対的な評価ができてしまう。
剣士が稼げるのなら、汚れ仕事もこなせる度胸もあって依頼に応えられるほど交渉力も語学力もあり、何より腕が立つ剣士であると判る。
レゼダさんって実はすごい人なのかなとわたしは振り返って彼を見上げた。あの背負っている袋の中にはピンクのドレスが入っていると考えなければ、外見は頼れそうな剣士に見える、いや、立派な剣士にしか見えない。
「そうなのよ、私たち酒場で相席したのがきっかけで知り合ってね。この際長逗留するなら部屋代浮くし相部屋でもよかったんだけど、この人、頭固いのよ。」
「ああ…、」
多分そういう意味じゃないんだろうなとわたしは思ったけど口にするのをやめておく。公国人である師匠は純粋に公国ではありがちな魔法使いで、自分の精霊との囁きの時間を大切にしていて、特に情報収集系の風の魔法使いである師匠はアリエル様やこの街に住む精霊とも交流していて、その時間をわざわざ相部屋にして騒々しい誰かに邪魔されたくないのだろうなと察せられた。
わたし達が話をしながら歩く様子は無駄に注目を集めているようで、通り縋る人たちの好奇の視線に師匠はまた不機嫌そうな顔つきになった。
「ビア、続きは…、詳しい話は宿の私の部屋で聞きましょうか。」
そうですね、とわたしが頷くと、レゼダさんは「気にしなくたっていいのにぃ」とニヤニヤとしながら言った。
※ ※ ※
「ビアは、どうしてこんな人と知り合ったんですか?」
「こんな人っていうか、本当に恩人なんですよ、師匠、」
宿の師匠の部屋に入るなり、師匠は指に嵌めていたパライバトルマリンの魔石を撫でて部屋全体に『金風』の魔法をかけた。あの美しい指輪には精霊が宿っていて、その能力を使って防音を徹底するつもりなようだ。
部屋の中を見回して窓際にあった椅子を部屋の真ん中まで断りもせず持ってきたレゼダさんは、椅子にわたしを座らせてくれながら自分は立ったまま話始めた。師匠は、ドアを背に腕を組んで気難しそうな顔をしている。
「そうよ、アタシは冒険者として仲間を救ったのよ、当たり前じゃない。」
「ビア、何があったんです?」
わたしはかいつまんでマハトが消えて月の女神の神殿へと探しに行き巻き込まれた話を伝えた。
「困りましたね、」
「師匠からの話を聞いて、彼がわたしと関係がある以上、見捨てておけなくなってしまっているんです。」
わたしの言葉に違和感を感じてくれたのか、師匠は目を細めてわたしを見た。どうやら感付いてくれたみたいだ。レゼダさんは助けてくれた恩人と言っても庭園管理員ではないしあくまで部外者なので、何も虫卵の話をする必要はないのだと思えたし、マハトとどこまで結婚の儀式が進んでいるのかなんて伝える必要もなかった。
「で、お前は?」
「ん-んと、つまり、バンちゃん、冒険者として情報収集をしていたのよ。この宿の酒場に来れるような稼ぎのある冒険者ばかりがこの街に来ている訳じゃないわ。金のない冒険者が金がないなりに金を稼いで糊口をしのぐには荒い仕事が必要だもの。あの辺、小屋にしか見えないけど宿屋と名乗っている家が沢山あるのよ。寝る場所を貸すだけで商売しているのよね。そんな宿代も払えない者たちは路地裏で眠っていたりもするのよね。月の女神さまの神殿周辺にはそういった環境に耐えられて、しかも荒い仕事ができる者たちに無茶な仕事を斡旋する者たちが潜んでいるってのはこの国に入る前に調べて知っていたから、そいつらから何か情報が得られないかと通っていたのよ?」
「この宿を選んだのはどうしてですか?」
「決まってるじゃない! 夜、安心して寝る為よ。そんな野蛮な宿でアタシの大事な仕事着が盗まれでもしたら正気でいられないわよ!」
「ああ…、」
あれ、仕事着なんだ、と妙に納得できてしまって、あのドレスもどうやって手に入れたのかも気になり始めるけど我慢する。見た目はオッサンだけどこの人やっぱり感性が乙女だ。また買えばいいやっていう感覚じゃないのだ。すごく好感が持てる。どうしよう、わたし、だんだんこのままこの人と付き合っていける気がしてきた。なんならほんとに冒険者として仲間になってもいいかも知れない。
「レゼダさんは魔窟ってどこにあると予想を立ててるんですか?」
わたしがこの街を見た限りでは、廃墟まではないとしてもどう見ても寂れた国境の街なだけで、聖堂の関係者が至る所にいて、魔物が棲んでいそうな施設はないように感じていた。
「師匠はどう思いますか?」
ついでに黙って話を聞いている師匠に尋ねてみると、師匠は眉間に皺を寄せて「魔窟かどうかは判らないが、この街には嫌な気配が集まっている」と言った。
「嫌な気配ね。バンちゃんはもしかして風の魔法使いでしょう?」
レゼダさんはあのドレスの入っていた袋の口を開けて腕を突っ込むようにして何かを探し始めた。
「ビアちゃんは地属性の治癒師なんでしょ? 怪我を治癒ができるなら地属性だものね。そっか、それなら使えるかもしれないわね、」
「いったいレゼダさんは何を知っているんですか?」
「さっき言ったでしょ、アタシはこの国に来る前にある程度調べてきているって。これを見て、」
レゼダさんは何枚かの羊皮紙を出してテーブルに広げた。
「バンちゃんもこっちにきて、」
師匠は眉間に皺を寄せながら近寄ってきて、レゼダさんの手が広げていく羊皮紙を見て驚いていた。どれも年季が入っているものもあるけれどまぎれもなくこの国の地図で、どれも正確な俯瞰図だった。地図の片隅には作成年月と思われる数字が書き込まれていて、そのうち何枚かは同じ地形のこのクアンドの街の地図だった。しかも、10年から20年ごとに枚数があるので、家が増え土地が改良されている街の変化が見て取れた。
「ここよ、ここ、」
レゼダさんが指さすのは、川向こうの月の女神の神殿のある位置だった。でも、見てはいけないものという意識が働いて、目が滑る。
「ちょっと待ってください、レゼダさん、地図って、平民が手に入れられるものなんですか?」
「あら、ビアちゃん細かいのねえ、」
オルジュの目を借りてこの街を見ることならできるけれど、こんなに詳しい俯瞰図を書き起こすにはいくら何でもひとりの人間の作業では無理だと思えてくる。
「この国の地図を竜を祀る国の人間が持っているなんて…!」
「バンちゃんも気にするのね、魔法使いならたいしたことないでしょうに、」
「それは偏見だ。」
魔法使いでも禁忌には触れないようにしているのだと、レゼダさんは知っているだろうにニヤリと笑った。
地図は、わたしも図書館の資料でなら見たことがあるけれど、生活の中では見たことがない。地図は他国に流出すると軍事利用されてしまうからという理由で庶民の生活にレゼダさんが広げたような精密な地図は存在していない。こんなに詳しいものは領境や国境にある検問所で見るとか、図書館の持ち出し禁止区域にある禁書にある資料にある地図を見る程度なのだ。だからと言って地図や方角が判らないと流通は滞るので、全面的に禁止されている訳でもなく、当局に監視されない程度に公的な場所がざっくりと記載してある雑な作りの地図を見るだけだ。
それを考えると、ただの冒険者でもこんなに精密な街だけの地図を手に入れるのは難しい。手っ取り早いのは風の精霊と契約して一時的に能力を借りて俯瞰してみるとか、風竜と契約して直接天空から俯瞰して自分で見るしかないのだ。もっとも詳しい地図がなくても領境や国境が書いてある簡易地図さえあれば太陽の方角から街全体の方向や方角は判るし、精霊と契約していたり魔石や魔法が使える公国人には大した問題ではなかったりする。
地図を見て、師匠はレゼダさんの顔を見つめて、静かに尋ねた。
「王国の国王軍所属の剣士にしては自由過ぎるな。かといって騎士でもなさそうだ。もしかしてレゼダ、お前は貴族階級なのか?」
あるいは、風竜の神殿の関係者かもしれない。
「うーん、惜しいわね、バンちゃん。アタシは隠し子ってやつなのよ。あ、でも父親の名前は隠させてちょうだい。ママンは手切れ金をうまく使って商売をしていてね、アタシはママンの護衛の爺さんに剣術を教わって冒険者として独り立ちをして暮らしているの。結婚は血筋がややこしくなるからできない代わりに、資金も時々貰えて自由を認めてもらえているのよ。この地図はママンの商売のおかげで手に入れられたの。ママンとしてはアタシが天女の羽衣を無事に手に入れて、ママンの元へ帰るのが理想みたいなのよね。」
「レゼダさんの憧れの剣術舞踏家は、竜を祀る国にいるヒト、なんですか?」
「あの方は平和を愛する方だからまだ王国にいらっしゃると思うわ。でもさ、魔物、微妙に増えてるじゃない? 王国でも魔物遭遇率上ってるし、アタシとしても早く弟子入りしたいからとっとと王国に戻りたいのよね。だから無駄がないように事前に情報を集めてからこの街に来たのよ。」
にっこりと微笑んでレゼダさんは、現在の地図の上を月の女神の神殿の南東に向かって指を滑らせた。止まったのは川下に当たる位置で、わたしにはそこはスティーノ青年が教えてくれたこの街の地図で言うところの、マハトが虫を置いた位置に思えてならなかった。
「ふたりとも、よく覚えておいてね、」
地図の上に指を置いたまま、レゼダさんは空いている手で別の地図を横に並べた。
「ここ、この昔の地図だと、建物があるし、道があるのよ。おかしいと思わない?」
大きさを見ると、月の女神の神殿とはあまり規模が変わらないその建物は、月の女神の神殿の前の道を過ぎたあたりにある橋で細い川を渡った先にあった。今の地図には細い川は見当たらなくて、川は埋め立てられてしまっている。細い川は街の北北西から南南東に向かって横切る川に合流していて、細い川の進行方向をまっすぐに街の東側に指で進めると、街の中にある一本の通りに目が向く。道幅から考えると、この東側の通りはもともと細い川だったのを埋め立てて造った道なのかなと思えてくる。
「この建物をみて。名前が書いてあるの、わかるでしょ、」
文字だったシミのような汚れとしか思えない建物の名前は、判別できないほどに擦られていて読めなかった。でも、どの年代の地図も文字が擦られていて読めないとなると、わざとそんな処理がされているのだと判り始める。
「ビアちゃんは地属性の魔法使いなら、この街に来ておかしいと思わなかったかしら?」
「なにを、ですか、」
わたしは地属性と水属性のふたつを持つ未分化の半妖だ。普通の人間の感覚での違和感を求められているのだとしたら、どこまで答えていいのか悩ましい。
まさかね、と思いながら私はレゼダさんの顔を見た。ドキドキという自分の鼓動の音が煩い。妙に口が渇いて、わたしはごくんと唾を飲み込んだ。
思い出されるのは、宝石屋での黒い猫の妖精たちの話す声だ。
『守護精霊様も、お隠れになったままお姿を見せてもらえなくなって久しいものね…。』
師匠の顔が真剣な眼差しでレゼダさんとわたしとを見比べている。
「この土地には守護精霊の気配がなかったと思わなかった? ここ、消されているけれど、地の竜王様の神殿よね?」
思わず身震いをしてしまった。
街から、地図上から地の竜王様の神殿が消されている?
ありがとうございました




