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1、記憶をなくした魔法使い

 わたしは、数日前に冒険者登録をした勇者らしい。

 らしい、というのは残念ながらわたしにここ数日間の記憶がない。

 起き上がれるようになったのはそれからさらに3日ほど経っていて、その頃には自分の持ち物は一通り観察し尽くしていた。

 丈夫な帆布で作られた柿渋染めの肩掛け鞄(ショルダーバッグ)には何枚かの下着と着替え、布巾に包まれた小さな種がいくつか入っていた。首から下げているお守り袋の中には折り畳んだ特別通行許可証と小さなしおりが入っていて、四葉ではなくありふれた三つ葉のクローバーが押し花にされていた。特別通行許可証には見慣れぬ名前と聞きなれない職位、獲得した日付が書かれている。何語なのかはわからないけれど、読める。ケアのべアトリス。本当にわたしの名前なの? でも、アンヌはこれらを、わたしの持ち物だと言った。過去の自分に関する情報って、それくらい。

 アンヌが言うには冒険者にしか貰えない通行許可証や手には指輪があるから、ミンクス領のエルス村にある月の女神の神殿へ出向いたのはわたし自身だそうだ。アンヌはわたしの瞳の色やイヤリングから「青い花(ボリジ)さん」と呼んでくれていたけれど、名前が判ってからは、親しみを込めて「ビアさん」と呼んでくれている。アンヌもその父親のテッドも、どうも書いてある文字が読めないみたい。


 ここはこの大陸の西の大国と呼ばれている王国(スヴィルカーリャ)のミンクス領という侯爵領と隣の領との境になる小さな村なのだと、侯爵の別荘のうちのひとつであるこの屋敷の管理を任されているというテッドと名乗った庭師とその娘アンヌとが、目を覚ましたばかりの時、わたしに丁寧に説明してくれた。わたしは話せないけれど彼らの言葉が聞き取れるみたいで、話している内容が理解できていた。どうやら村の外れで行き倒れていたわたしを助けてくれたらしかった。


「ボリジさん、じゃなかった、ビアさんは耳に今どき見ないような形のイヤリングしてるし、左手に鉅の指輪を嵌めてるから、助けたとき、父さんが冒険者だろうって言ってたの。ずっと眠ったままだったし…、私たちの間では、あなたはボリジさんって呼んでいたの。目が覚めてみたらまさかこんなに可愛らしい人だっただなんて…、」

 お茶の用意をしながら、アンヌはわたしの顔を見て微笑んでくれた。わたしがいるこの厨房兼食堂兼応接室は管理人用の住居区画だそうで、テッドとアンヌはいつ来るのか判らない侯爵の訪れを楽しみに邸内を磨き上げ手入れして、いついかなる事態にでも対応できるようにと万全に備える毎日を送っているのだそうだ。

「こら、アンヌ。この人はもしかすると皇国(セリオ・トゥエル)の人なのかもしれないぞ。話せないようだし、この国(スヴィルカーリャ)の人間ではないかもしれない。一方的に話してもご迷惑になるだけだよ、」

「父さん、どっちにしたって、このヒト、人間じゃないわ。私たちと一緒よ?」

 くすっと笑ってアンヌはわたしに、どす黒い液体に深緑色に渦が巻いている不気味な色合いのお茶の入ったカップを渡してくれた。

「ビアさん、熱いから気を付けてね。父さんが育てている薬草で煮出したお茶よ。医者のいない村だから、こんなことくらいしかしてあげられないけど、私たち半妖にはとっても効果があるわ。」

 ふたりの説明によると、わたしは半妖らしくて、この親子と同類らしい。


 口を付ける前から美味しくないって想像できてしまう匂いだったけれど、飲んでみると確かに体の隅々まで言葉では言い表せない心地よい刺激が行き渡っていく。

 力が漲る感覚がする。

 この味、知ってる。こんな匂いや色じゃなかったけど。失った記憶の手がかりのしっぽを捕まえた気がする。


 楽しそうに笑う庭師と娘のやり取りを、心地よい空気感に浸りながら聞いていた。アンヌはどう見ても人間の娘で、茶金髪なのも黄緑色の瞳も白い肌も人間そのもので、ところどころにつぎはぎが目立ったけれどシャツにスカートにエプロンドレスなありきたりな田舎娘な格好だった。

 テッドにいたっては、がっしりとした農夫が人のいい性格のまま年をとってまじめな性格のまま庭師として植物を育てているといった風貌だ。


「それにしても、皇国(セリオ・トゥエル)のお嬢さんがどうしてこんな田舎の村に血まみれで倒れていたのかな。」

 血まみれ?

 腕や体のどこにも傷は見当たらなくて首を傾げてしまったわたしを見て、アンヌは照れながら俯いた。

「ビアさんの血じゃないと思う。ウサギか鳥か何かの動物の血だと思うわ。ごめんね、着替えさせるためにビアさんの体、見ちゃった。」

 わたしの秘密を、見たんだ、と気が付いて、恥ずかしくて俯いてしまった。

 目が覚めてから何度か済ませた入浴の際に、わたしも、自分の体の秘密に気が付いていた。

 幸いにもテッドは見ていないようで、アンヌとわたしの照れている様子を見てオロオロとしている。

 気まずい雰囲気をかき消すように、わざとらしく手を打って、アンヌは明るい声で閃いたように大きな声を出した。

「あ、そっか、父さん、神殿かもよ。一応この村にもあるじゃない、神殿。」

 神殿?

 わたしは冒険者なのに神殿に用事があるの?

 頭の中で思い描く冒険者は荒くれた大男で、剣と盾を手に鎧を身につけて百戦錬磨で魔物を蹴散らし戦う猛者だ。神殿と縁がない気がする。

「ごめんね、皇国(セリオ・トゥエル)の人だったら治療に白魔法を使うんだよね? 私たちはあんまり必要ないけど、女神さまの神殿の水がいるんでしょ? この村にも小さいけどちゃんと神殿があるの。なんと春の女神マリさまと風の竜王の雷竜シュガール様の神殿なんだよ? すごくない? 一度でふたつお参り出来ちゃうの! お得よね!」

 お得…。

「アンヌ、止めなさい、落ち着かないと。ほら、びっくりなさっているだろう? すまないね。うちのミンクス領でも隣のナイニール領でもこういう合祀された神殿は珍しいんだ。皇国(セリオ・トゥエル)にもないだろう?」

 わたし、本当に皇国(セリオ・トゥエル)の出自なのかな。あなた方の話している言葉が理解できるんだけど…? そう思いながらも頷くと、アンヌは嬉しそうに顔を輝かせた。

「父さん、珍しいって! おかげで先の大戦の影響で風の竜王さまの神殿を竜王さまがご自身で御終(おしま)いになさってしまったけれど、この村のは何の影響もなかったんだよ? やっぱ、春の女神さまのお心の広さのおかげだね、すごいよね!」

 そうなんだ…、と感心しながら聞いていると、アンヌは打ち解けたとばかりに「ねえ、ねえ、ビアさんの故郷ではどの神様をお祭りしていたの? 皇国(セリオ・トゥエル)のどのへん?」とわたし自身について質問し始めた。

 名前に始まって、出身国、所属していた先、友人関係、師弟関係、関係する領主…、ありとあらゆる事柄を聞かれたけれど、何も覚えていないわたしには何も答えられなかった。考えれば考える程頭痛が激しくなっていって、何も答えられないもどかしさに悲しくなってきていた。

 好奇心で溢れていた顔を次第に曇らせて、アンヌは必死になってわたしという人間のひととなりを得ようとした。

 ごめんなさいと伝えたくて首を振っても、「いいえ、まだよ、まだお願い、ビアさん、」と必死になって、アンヌまでも首を振って、過去につながるヒントを探ろうとしてくれている。

「アンヌ、このままこの人をうちにおいていてもいいよ。身寄りがないのなら、余計かわいそうだ。私は構わないよ、お前さえ良ければ、お世話をしてお上げ?」

 テッドが見かねて助け舟を出してくれた。

「父さん!」

 アンヌは嬉しそうにわたしの手を取って「よろしくね、ビアさん、ずっとここにいてもいいよ。だって、あなたは仲間だもの、」と微笑んだ。


 ※ ※ ※


 動いても倒れないほど体力が回復してからの毎日は、わたしにとっては意外の連続だった。

 まず、半妖のわたしが息を吸うようにする魔法を同じ半妖でもアンヌは全くできなかった。同じ半妖でも、テッドは魔法を使えても、決して使おうとはしなかった。人間として生きているから知っているだけでいいと言って、使わなかった。

 火をつけること、お湯を沸かすこと、お茶を入れること、そんな簡単な日常の作業を、アンヌは魔法を使うことなく自分の手でこなしていた。そんな手間は初めてな作業だらけでやり方を細かく教えてもらうのだけれど、心のどこかで魔法が楽でいいなと思って手を抜いてしまう。

 朝食の準備をしようとアンヌに教えてもらいながら竈の火を起こしていると、呪文一つで加熱できる調理が計り知れなく重労働に思えてくる。

「ビアさん、私の考えを改めるわ。きっとあなたは皇国(セリオ・トゥエル)じゃなくて公国(ヴィエルテ)の人だと思う。」

 どうして? と首を傾げたわたしに、アンヌは少し考えてから答えてくれた。

「倒れていた場所も神殿の近くだったし、行きたい理由もなんとなく判ったわ。女神さまの神殿には聖水が湧き出る泉があるの。聖水を頂けば魔力が回復するからよ、きっと。皇国(セリオ・トゥエル)の白魔法使いは困った時しか魔法を使わないって話だから、ビアさんは公国(ヴィエルテ)の魔法使いだわ。魔法を無駄遣いばかりしてるから、聖水が必要だったんだと思うわ。」

 無駄遣い、と言われて何を指すのか判らなかったけれど、アンヌとの生活を振り返ってみるとようやく気が付いた。手作業で出来る行為を魔法を使ってやっているのが『無駄遣い』なんだわ。

 アンヌは魔法、使わないの? アンヌに指を差して首を傾げると、伝わったのかアンヌは胸を張る。

「そりゃあ私、半妖だけど、人間として生きていくって決めたんだもの。なくったって生きていけるように訓練してるのよ? だいたい、魔法を使わなくてもどうにかなってるし。」

 近々庭師の男を婿養子に結婚する予定があるのだという現在のアンヌの状況をテッドとの会話から聞いて知っていたので、両手でハートマークを作ってニヤニヤと笑ってみると、図星だったのかアンヌは頬を赤らめた。

「あの人はれっきとした人間だもの。この国の人は魔法が使えないのが当たり前だし。」

 驚いた表情をして見せると、アンヌは躊躇いながら教えてくれる。

「ビアさん、魔法が使えなくたって努力していれば侯爵様の元でお仕事だってできるのよ。あの人は昔から領都で働く庭師に憧れていて、向こうに行ってからも仕事が続いてるし、ありがたいことに侯爵様のお屋敷で働かせてもらえているの。」

 竈の火の番をしながら、どんな人? とばかりに上目遣いに見つめていると、食材を洗っていたアンヌはもっと恥ずかしそうに顔を赤くした。

「幼馴染でね。真面目だけが取り柄な人だけど、ずっと一緒にこの村で生きていこうって言ってくれたたった一人の特別な人なの。」

 話がしたい。アンヌと話したい。この祝福したい気持ちを伝えたい。

 もどかしさを強く感じていると、ぱっといい案が思い浮かんだ。

<アンヌは幸運ね。>

 アンヌの話す言葉とは違うけれどアンヌには通じる気がすると、妙な自信があった。

 女神の言葉(マザー・タン)で話してみると、アンヌは驚いた表情になった。

<ええ、そうよ、ビアさん、やっぱり! ビアさんは半妖だから出来るんじゃないかって思ってたの! 女神の言葉(マザー・タン)が話せるのね!>

<アンヌもできるのね。>

<うん。父さんも母さんも二人で話す時は女神の言葉(マザー・タン)だったから、家族だけの秘密の言葉かな。私のあの人は話せないから、父さんと私の秘密になるかなって思ってた。>

<テッドさんは、アンヌのお相手の在り方に、何か注文付けたりしたりするの?>

 多分テッドは何も言わなさそうだなと思ったけれど、念のため、聞いてみる。

<お前がいいならそれでいいって言ってくれたから、何もないわ。>

 やっぱり!

<そりゃ、私が半妖だから、父さんが母さんを選んだように半妖がいいかなって思ったりもしたけど、あの人はそれ以上に魅力的だもの。ビアさんも半妖だから、私が結婚相手を持ってなかったら結婚したいなって思ったのも一瞬くらいは、うーん、ほんのちょっとくらいはあったけど、未分化だもの。それ以前なのよね。>

 ゆらゆらと揺れる炎の方がくびれていて艶めかしい、と考えてしまって、わたしは首を振って自分の想像を否定する。

<それ以前って…。アンヌが思っているよりもわたし、子供なのかもしれないよ?>

 未分化な子供にはいくらだって可能性がある気がしない? アンヌに言われた全否定が悔しくて負け惜しみを言ってしまった。

 じっとわたしの顔を見て、アンヌは首を振る。

<ビアさん、考えてごらんって。公国(ヴィエルテ)からどうやってこんな田舎まで来るのよ。大人だから出入国が許されたんだと思うよ? 成人はしてるって。子供だけで国境は越えられないよ。>

<そうかな。>

 アンヌと比べると男性的な特徴も女性的な特徴もないわたしの体は、とても、幼児としか思えない。

<大人なんだとしたら、どうしてわたしはこんな状態なのかな。>

<ビアさん、>

 アンヌはトントンと規則正しく食材となる薬草を切り刻みながら、黙って考えている。

<妖精や精霊の子供が分化を迎えるのは人間の子供が成人する16歳よりもうんと早いわ。でも、数百年と生きるようなとても長寿の精霊の子供なら、人間の倍以上の時間をかけて成人するって聞いた経験があるわ。とても長寿な精霊と人間との間に生まれると子供までも同じだけ時間がかかるって、父さんも言ってた。ビアさんのお父さんかお母さんかが、とっても長寿な精霊なんじゃないのかな。>

<ちょっと待って、アンヌ。倍近いって、単純に考えたら、わたしは30近い年齢の人間なの?>

 目の前にいるアンヌとそう変わらない気がするけれど、気持ちだけなのかな。

<そうじゃないかなあ。私まだ成人したばかりだし。きっと年上よ、ビアさん。>

 クスクスと笑い始めたアンヌが揶揄っているのだと判って、わたしも笑ってしまった。

<私たち、きっと同じくらいよ、ビアさん。パッと見た目、まだ10代に見えるから、安心しなって。特別通行許可証に生年月日が書いてあったらよかったね。そしたら、そんなことも気にしなくて済んだのにね。>

 笑いながら涙を拭いて、16歳になったばかりというアンヌはくすくすと笑いながら鍋に食材を放り込んだ。


 わたしの記憶は簡単に戻ってくる気配がない。このままずっとここにいたいかも、なんて考えたりもしなくはないけれど、アンヌのお婿さんに気を使わせてしまうのは申し訳ない気がする。


<ビアさん、パンを温めてくれるかな。私、スープを作らなくっちゃ。>

<任せて、>

<魔法で焦がしちゃだめよ、ビアさん。竈を使って暖めるのを覚えてね、>

<判ってる。>


 どうやらわたしは水属性と地属性の魔法が得意なようで、火属性と風属性の魔法は力の加減が苦手なようだ。

 パンを温めてと言われて魔法を使って丸焦げにしたり、スープを掻き混ぜてと言われて竜巻を起こしてしまっていた。


 そんなわたしの様子を見てテッドは思い当たる節があったのか、裏の井戸で水面を鏡に見立てた魔法を使って誰かに連絡をしていた。

 あれは遠く離れた場所にいる誰かと通信するための水鏡という魔法だわ。あの魔法が使えるのならテッドは水属性の精霊の子供なんだわ、と思い付いて、わたしも、誰かに水鏡を使った経験があるからあの魔法が水鏡というのだわ、と思い知る。


 分厚いミトンを両手に嵌めて竈に丸いパンを並べた鉄板を入れ、数秒数えてじんわりと暖める。

 火の中で赤く輝くパンの表面を見て、焦げてしまうギリギリで取り出した。

 今日はうまくできた。

 フーッと息を拭いて額の汗を拭っていると、鍋を緩くかき混ぜながらスープを作りつつ果物の皮を丁寧に剥いているアンヌがにっこりと微笑んだ。

<次は、父さんを起こしてもらってもいい?>

<魔法、使ってもいい?>

<またあれやるの?>

 風を起こして笛を慣らす魔法は警笛のように遠く響く。たとえ煩くても村の端にある別荘の近くには村人の家がないので、苦情を言われることもない。

<やりたい。練習だと思って。いい?>

<うーん。じゃあ、一回だけね?>

 アンヌの期待通り一回で起こせれるか不安だったけれど、わたしは深呼吸して風属性の精霊を思い描いた。

 自分に関する記憶も思い出もないけれど、魔法の呪文だけはすらすらと思い出せていた。


<願わくば、遠くまで駆ける音となりて、願わくば、力強き波動となる音を、父の名のもとに願わん。>


 願う先はきっと力を借りる精霊王だ。

 後に続くのは魔法の効果で、父の名とは、公国(ヴィエルテ)の魔法使いの始祖だと言われている大いなる魔法使い『オーリ』を意味する。すべての民が精霊王の力を借りられたのは、このオーリという人物のおかげだとされていた。オーリが交わした約束を何代も経った現在でも履行を希望するのだと呪文を口にすることで告げるのだ。

 魔法の効果についての説明が長ければ長いほど効果が複雑化して、高度な魔法に変わっていく。

 呪文は、オーリの子孫として使うのを許された女神の言葉(マザー・タン)だ。

 精霊は律儀にオーリとの約束を果たしてくれて、真面目に願いを叶えてくれる。

 魔法陣は挨拶をする入り口のようなもので、指をくるりと空中で動かせば瞬間的に現れる。

 習得する時に描き方を学んだはずなのに一瞬にして現れ一瞬にして消えるそれを、わたしは原理が判らないまま使っているから不思議なものだ。


 ビュー! ぴゅるぴゅるぴゅる。


 けたたましいばかりの音が鳴ったかと思うと、情けないような間の抜けた音が響いた。

 思っていた以上に、警笛とは言えない音に自分でも苦笑いをしたくなる。

 ぷっと噴出すとお腹を抱えてアンヌが笑いを堪え我慢している。


「なんだい、アンヌ、今の音は。ビアさん、また魔法を失敗したのかい、」

 呆れた顔をしてテッドが食堂に顔を出した。アンヌの我慢が決壊して、明るく大きな笑い声が響いた。

<ビアさん、魔法が精度落ちてるし、そろそろ本気で魔力の回復に行った方がいいのかもよ?>

 こんなに笑われてしまう結果になるなんて思ってもいなかった。

 何も言い返す気力もなく、朝食の片付けが終わったら前向きに春の女神さまの神殿を案内してもらおうと思った。

ありがとうございました

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