48:迫る魔の手
毎週更新できなくてごめんなさい。
定期更新守りたかったけど、できなかった作者を許してください。
来訪者……ダオスの祖父がそのように称した存在。それは、ダオスの祖父と同じく何処からか来た者達を意味している。その者達は、この世界で生き抜けるだけの力を所持している。ダオスの祖父は、洗脳魔法を使い、安住の地を作り上げた。
よって、今回の来訪者達も同じく何かしらの力を保有している。
危険な存在というのが、『ジェネシス』メンバー全員の認識である。大人しく暮らしていれば良かったのに、彼等は暴れすぎた。自らの能力を過信し、奴隷商襲撃に加え、民主主義なる妄想で民を危ない方向に誘導しているのだ。
「我々が手を下さずとも遠からず滅びるのは明白であろうな」
ダオスの祖父が見解を述べた。
その認識は正しい。彼等の行動は、大国と称される『ハイトロン法国』を切り崩すにしては、稚拙な行動だ。そもそも、来訪者がいかに力を持っていようともこの地に現れて数年もせずに、国家転覆ができるなら大国として、存続などできない。
「襲撃された奴隷商が黙っているはずもない。風の噂だが、法王庁には犯人を捕まえる為、13使徒派兵も要請されているとか」
「何処も動くか。多方面に喧嘩を売りすぎたな。法王庁も民主主義なる主張など許しはしない。最悪、裏で動いている13使徒もいるだろう」
集まった『ジェネシス』のメンバーがここ最近、動きがあった各方面の情報をあげていく。誰しもが知っている情報もあれば、そうでない情報もあった。
それら全ての情報を統合し、まとめ役であるダオスの祖父が口を開く。
「給仕の情報で判明した来訪者の人数は、三名……ナグモ・セイジ、サトウ・ユリ、カタクラ・マモル。他にも仲間が居る可能性は否めない。だが、この者達を見つけ次第、殺せ。生け捕りの必要性などない。数人がかりで、確実に仕留めろ。その為に、掛かる経費については気にするな」
採算度外視という、大盤振る舞い。時間が経てば自滅する相手……だというのに、確実に殺せという指示に全員が理解した。『ハイトロン法国』に来訪者達が逮捕されるこ事は、是対に阻止しろという思いが伝わる。
「「「分かりましたお爺様」」」
「安心しろ、秘策はある」
祖父の秘策が、何を示しているのかダオスには分からなかった。少数精鋭の『ジェネシス』……諜報力があるにしても、『ハイトロン法国』が本気を出せば勝てる通りはない。
◇◇◇◇◇◇◇◇
『ギャランドゥ』大使館の一室に、集まる集団があった。
一室に集まる集団を除き大使館には誰も居ない。その為、本日招かれた客人達を目撃した者は、職員は誰も居ない。それがお互いのためなのだ。
その一室には、ミーミルと『ジェネシス』メンバー……ダオス含む数名が集まっていた。『ジェネシス』側の代表としてダオスが、前に立つ。
「我々『ジェネシス』は、アイシャ様救出に全面協力する。代わりに、その主犯格含む犯人達は全てこちらで処理させてもらいたい」
そんな中、サクラの膝の上に座るミーミルが呆れたように口を開いた。
「あのさ~、ダオス。確かに、手伝って欲しいと言ったけど、『ジェネシス』あげて手伝えなんて一言も言ってないわよ!! 」
ミーミルは、ダオスから誰にも聞かれたくない話があるからという事で密会場所を用意したのだ。妹であるアイシャを助け出す為の有力な情報を持ってきてくれたのだと思っていた。
だが、来たのは『ジェネシス』という立場であるダオスとその仲間達だ。
『ミーミル嬢ちゃん、そんな起こると可愛い顔が台無しだぞ。ほら、飴たべるかい』
と、ダオスの従兄弟がプラカードを掲げる。昔の仕事で喉をやられて声帯が駄目になっているのだ。その為、筆談で会話に参加している。
「あまり、ミーミルをからかうなミハエル。ミーミル、これはお爺様からの指示でもある。既に聞き及んでいるかもしれないが、各方面で色々と動きがある。アイシャ様は、時間が経てば救出される事は間違いない。だが、それだと『ギャランドゥ』としても面倒になるのは明白だ」
ダオスは改めて当然のことを口にした。
今一番大事なのは、どの勢力よりも早く犯人に辿り着いて処理する事だ。それに関しては、ミーミルも『ジェネシス』も同じである。人知れず処理したい。
「う~、分かったわ。で……要件は? 『ジェネシス』という立場でこの場に来ているんだから、王女の立場であるこの私に何かお願いしたい事があるんでしょ」
「話が早くて助かる。鍛冶組合に、刀と呼ばれる刀剣に関して聞きに来た者が居ないか調べて欲しい。お爺様曰く、それについて聞いてきた者は、この事件の犯人又はそれに近い人物である可能性が極めて高いそうだ」
他にも、マヨネーズなる香辛料など色々と未知の情報がダオスの祖父より提示された。それらは、間違いなく波紋を呼ぶ物であった。手軽に作れる新しい香辛料など、どれだけの商会に目を付けられるか想像もつかない。
いろいろな場所に筋を通さなければ、三日とせずに水死体になると誰もが思っていた。
だが、ダオスの祖父は言い切ったのだ。「民主主義などを口にする者達だぞ。究極の馬鹿としか言い様があるまい」と。まさに、その通りだ。だからこそ、慎重さを欠けた行動を取ると考えたのだ。
「で、その刀というのは、どんなもの?」
「私も知らないが、だが、シミターの類似品と聞いている。コレクションの中から、一番近いと言われた品物を持ってきた」
ダオスが、テーブルにシミターを置いた。
ミーミルがそれを手にして見定める。鍛冶屋として一流である為、一種の癖のようになっているのだ。光を当てても傷一つ無いため、ダオスが手入れを怠っていない事が分かる。
「形状は、理解したわ。材料は?製造方法は?」
「あいにく分からない。だが、訪ねてくる者達も同じだろうと言っていた」
ミーミルが怪訝な目でダオスを見た。
当然だ。形状だけ伝えて、刀なる未知な刀剣をつくれなど、無茶ぶりな依頼であるからだ。勿論、見た目だけそれっぽい物でよければ、ドワーフの名工達にしてみれば造作もないが……気むずかしい連中が多いため、そんな依頼を懇意の顧客でもない者から受けるはずもない。
「そんな馬鹿な話を持ってくる者達なら、確かに記憶に新しいわね。王女の権限を使って、鍛冶組合に話を付けるわ」
「その通りだミーミル。悪いが、最優先で頼む。それと、依頼があった場合は快く引き受ける振りをして足止めしておくようにも通達してくれ。我々が駆けつけて対応する」
「『ジェネシス』メンバーが、三人で対応するほど強いの?」
「さぁ、よく分からない。だが、何かしらの特異な力を持っている可能性は否定できない。事実、ミーミルが出会ったという男は、一目で素性を暴いている。よって、私達が『ジェネシス』という組織のメンバーだとばれる可能性がある」
だからこそ、単独ではなく複数人で対応するのだ。逃がしてはいけない。出会ったら、必ず殺すという心構えをしている。
ミーミルは、ダオスの発言で『ジェネシス』が全面協力する理由の一つを理解した。一般社会に紛れ込んでいるメンバーを簡単に割り出す事が可能かもしれないその特異な力は危険である。
「ダオス、私も実働部隊に混ぜなさい。サクラちゃんも参加するみたいだし、妹分が働いて何もしないとなっちゃ女が廃るわ」
「勿論そのつもりだ。私もアイシャ様とは面識もあるが、ミーミルが居ると居ないでは信用度が変わるだろうしね」
『ジェネシス』側は、ダオスとその妹のサクラ、加えて従兄弟であるミハエル。そこにミーミルも加わるのだ。『ジェネシス』側は、全員投入されており同規模の戦闘力を有するグループが複数動いている状況なのだ。
犯人達は、虎の尾を踏んでいる事をまだ知らない。
刀とかマヨネーズって必須だよね@@
さぁ、馬鹿達はひっかかるかな。




