20:指導
すこし、短めですが><
『アッーーーメン』と共にタワーへと入ったダオスは、大規模血盟が持つ特権を目にして便利だと感じていた。タワーに並ぶ一般列を無視して、内部に入れるのだ。待ち時間がほぼ0での入場は、誰しもが羨むものだ。
一緒に入場した大小様々な檻には、ローラーが付いており、運搬についてもしっかりと考えられている。唯一の欠点と言えば、階段の段差だ。⊿の板を段差に詰める事で対応こそできているが、中々の傾斜である為、力仕事となっている。
その事でダオスは理解した。
バルブリエルの最初の誘い文句が「大人の階段をのぼらな~い」だったのかを。モンスターが入った檻は、相当な重量になる。それを引き上げるのは厳しい。だからこそ、捕獲後は下りになる上層へと向かっているのだと。
「実に統率のとれた動き。流石は、『アッーーーメン』ですな」
「嬉しい事を言ってくれるじゃない~。うちの連中は、みんな、とっても良い子達よ~。でも、不思議と独身者ばかりなのよね」
ダオスは、「そうなのか?」と疑問に思った。『アッーーーメン』という血盟に所属しており、探索者家業をしてれば、実力も金もかなりの物だ。それに、所属する者達は、全員紳士的で女性にモテないとは決して思えない。
両刀使いという一点を除けば、正に理想な物件なのだ。
ちなみに、タワー内部でも黒いブーメランパンツ一枚のバルブリエルは、既婚者なのだ。だからこそ、血盟員達の未来を心配している。まさに、理想的な上司である。
「そうなのか。妹や義弟のツテで色々と紹介できそうだが、声を掛けてみようか?」
「あっら~、本当にいいの? 是非、お願いしたいわ」
ダオスの妹は、『ハイトロン法国』の学園で働いている。そこで働く未婚女性や生徒達を『アッーーーメン』に紹介できればと考えているのだ。義弟に対しては、病院で働く未婚女性を紹介して貰おうと考えていた。相手側としても、紹介されるのが紳士的で、金も力もある独身男性なのだから決して悪い話じゃ無い。
ダオスは、少しでも恩を売るために余念が無い。こういう、コツコツと信頼を積み重ねる事が大事なのだ。ダオスは、尊敬する祖父の言葉である『情けは人のためならず』を真面目に実行しているのだ。
確実に、相手の信頼を得て、仲間を増やす。まさに、正道こそ王道である。
………
……
…
それから、ダオスは得意の状態異常魔法を使い着々とモンスター確保に協力し、成果を上げていた。
「抗魔クリスタルを持たないモンスターなど状態異常魔法の敵では無い……と、勘違いしてはいけない。モンスターは、多かれ少なかれ耐性を持っている。では、モンスターの状態異常耐性を効率よく貫く方法を教えよう。これは対人においても極めて有効であるため、覚えておいて損は無い」
ダオスは、共に行動する『アッーーーメン』の状態異常魔法専門の者達に実演を兼ねて講義をしている。
「おぉ!! そんなことが可能なのですかダオス殿?」
「素晴らしい!! 流石は、最高位の状態異常魔法の使い手です」
『アッーーーメン』の者達は、ダオスを褒めまくる。無論、色々と教わるためでもあるが、本心から来ている部分が大きい。なんせ、自分達をより強くしてくれる存在なのだ。丁重にもてなすのは当然だ。
ダオスは、檻の中に閉じ込められて、動け無くされているモンスター達を指さした。
「状態異常魔法とは、対象を寄り絞ることで効果的且つ効率的に運用できる。要は、"麻痺"一つにしても、モンスターの体に掛けるのでは無い。一点に集中する様に意識し、脳にターゲットを絞る。では、早速、実戦にうつろう。檻に閉じ込められたモンスターと生き餌相手だ。反撃をされずに一方的に実験できるぞ」
ダオスが教えるこのやり方。学園などの表の機関では決して教える事がない方法だ。だが、ダオスはそれを知っている。有事に備えて、各方面にコネクションがあるのだ。無論、それは、『ゴスペラーズ』に所属する者達全員にも言える。
しかし、ダオスは効率よく状態異常魔法を使うために一つだけ教えていない事がある。それは、脳のどの部位にかけるのか。また、頭蓋骨の厚さなど様々な事を考慮する事で更に効率は上がるのだ。
◇◇◇
ダオスは、自分の仕事が落ち着いたので、『アッーーーメン』の働きぶりを観察している。全員が各々の役目をしっかり理解し、行う。その流れるような動きこそ、彼らがプロフェッショナルと言われる由縁である。
ダオスもこのような機会は滅多に無いと思い、その手際を目に焼き付ける。
「どう~かしら? うちの者達も中々の腕前でしょう~」
「実に、素晴らしいですバルブリエル。しかし、ここまでスムーズに事が進むと給料分の働きを出来ているか疑問で仕方が無い」
高い金で雇われているダオスとしては、少しでも貢献しておかないと、周囲の視線が痛くて居づらいのだ。周りの者達の何倍も高い給金を貰っているのに、やっている事と言えば、モンスター捕獲の支援や捕獲後の状態異常魔法のかけ直し、状態異常魔法の指導、バルブリエルとの雑談程度なのだ。
ダオスの思いとは反面、『アッーーーメン』からの評価はうなぎ登りであった。捕獲後の継続的な状態異常魔法の維持は、非常に負担が掛かる。それをダオス一人で、半分以上を引き受けているのだ。これで評価が上がらないはずが無い。
法天エンプレスを持っているといえ、ダオスがここまでの仕事量をこなせるのには、『アッーーーメン』の協力が合ってこそだ。安全が確保されたおり休憩も十分に取れる。だからこそ、魔力回復も捗るというものだ。
「あらぁ~、自分を過小評価するものじゃないわよ。状態異常魔法の継続というのは、大変のはずだけど余裕そうね~」
「そりゃ、3級以上のモンスターしか対象ではありませんからね」
モンスター捕獲用の檻は、当然特別製だ。だが、物には限度があり、3級以上のモンスターなら力で破壊できるのだ。コレばかりは仕方が無い。タワー内に持ち込むことを考慮し軽量化されているが故の限界点なのだ。
現在、捕獲されているモンスターの数は4級以下が40体以上。3級モンスターが15体。2級モンスターが3体。1級モンスターが2体となっている。2級以上のモンスターは、半殺しで捕獲しており、非常に弱っている。時間経過で回復させないようにダオスがそれを阻害するのがお仕事なのだ。
「十分なんだけどね。まぁ、どうしても仕事をしたいなら、今から1級モンスターを捕獲しに行くから、付いてきなさい~」
「先ほどから、前の方が五月蠅かったのはそのせいでしたか」
ダオスの耳にまで、1級モンスター出現の情報は届いていなかった。これは、ゆゆしき問題なのだ。本来ならば部外者といえどもダオスは同盟血盟からの協力者。だからこそ、そういう危ない情報は血盟主と同レベルとまでは言わないが、それに近いレベルで伝達されても可笑しくないのだ。
まだ、『アッーーーメン』の中に、ダオスを信頼していない。もしくは、仲間と見なしていない者が居ると言うことだ。
ダオスも、ここら辺が限界かとある程度割り切る事にしていた。なぜなら、ダオスのように損得勘定だけで動ける人間ばかりで無い事を理解しているからだ。
もうすぐ、4月も半分を過ぎたと思うと驚きです。
・・・・・・まったく、筆が進んでいない事には更に驚きです><
読者の方には、誠に申し訳ない。
生暖かい目で見守ってくだされば嬉しいです。
言い訳すると、少しリアルが忙しくて。




