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正道こそ王道  作者: マスター
01.血盟戦
17/66

16:崩壊

いつもありがとうございます!!

さり気なく章管理とかも初めて、「01.血盟戦」が無事に終わりそうで何よりです。

次の章は、活動報告に記載した感じで行こうと思っております。

 探索者達の間では、状態異常魔法を使うより攻撃魔法で早々に倒した方が楽だというのが共通認識となっている。特殊条件があるタワー内部は例外だが、基本的に産廃扱いの魔法だ。


 だが、此度こたびの血盟線によって、「糞の役にも立たない状態異常魔法」というイメージが一変して、「糞の役にも立つ状態異常魔法」と早変わりしたのだ。これにより、状態異常魔法を得意とする者達の立場が大幅に改善されたのは言うまでもない。


 間違いなく、ダオスの偉業だ。


 だが、その偉業の影では、ダオスですら想定していなかった事態が血盟戦で起ころうとしていた。商品(メイデン)を捕まえに向かっている真祖シャルロットの予想すら斜め上の行く事態が発生していたのだ。


「まさか、防御を捨ててくるなんてね。頭が悪いの? 死にたいの?」


 シャルロットの前に立ちふさがる『メイデン』の女性達は、全員が露出度の高い水着姿だったのだ。血盟戦の最中、誰しもが目を疑いたくなる光景だ。別のイベント会場から紛れ込んできたのかと、シャルロットですらも思いたい程だ。


 だが、これは『メイデン』の作戦なのだ。肉体的な接触で即死させられる以上、彼女達自身がキラーユニットである。その事を最大限にかすやり方だ。中途半端な実力しかない者達に、限りある資金を割り当てるより効率が良い。加えて、『ゴスペラーズ』は、商品である彼女達を殺さずに捕まえたいと考えている事もあり、考えようによっては妙案なのだ。


「『ゴスペラーズ』のシャルロットだな。子供相手だろうと私達は、手加減などしない!!」


「そうよ!! その通りよ!!」


 妙齢の女性達が、幼気いたいけな美少年であるシャルロットに迫る様子は、絵面的にも犯罪だ。観客席からも黄色い声が飛び交う。


「汚いな~」


 シャルロットの発言は、別に彼女達の戦い方に対して言ったものではない。最善を尽くすのは探索者として当然であり、卑怯ひきょうでも何でもない。ただ、茶色く汚れた水着が汚いと言っているのだ。


 真実とは残酷だ。シャルロットの一言が何を意味しているか理解した彼女達は激怒した。『ゴスペラーズ』の一人であるダオスによって、未来永劫みらいえいごう消えない汚名を背負った事を改めて思い出したのだ。


「「「「「し、しねぇぇぇぇぇぇぇ」」」」」


 攻撃魔法で目くらましを混ぜての接近戦。彼女達は、激怒していようが探索者なのだ。強化魔法により身体能力が向上した彼女達は、勝利を確信していた。包囲状態からの一斉の突撃だ。誰かは犠牲になるだろうが、仕留められると。


「あまり舐めないでよ。"精気吸収(エナジー・ドレイン)"」


 シャルロットの魔法発動と同時に、彼を中心としてあらゆる精気が奪われていく。


 小さい生命や草木などは瞬く間に枯れていく。発生源に近づくほど威力が強力になるこの魔法に突進するなど自殺行為だ。


 彼女達の情報力は、シャルロットが『ゴスペラーズ』の実力No.2という事まで探れなかったのだ。分かったのは、少数部族の吸血鬼で年の割には等級の高い探索者という所までなのだ。当然、種族から考えて"精気吸収(エナジー・ドレイン)"を使われる事までは想定内だが……その威力は、想定を遥かに上回っていた。


 それもそのはずだ。この日の為に、シャルロットは『ゴスペラーズ』ホームの地下で養殖している食料から吸血行為を行っている。想像を絶する程、きつい食事を終えた彼の力は最高潮に達しているのだ。


「そん……なぁ」


「へー、この距離でまだ意識をたもてるんだ。少し手加減し過ぎたかな」


 シャルロット相手に、防御なしでの突撃など愚かの一言だ。確かに、接触できれば殺せる。だが、それは悪手だ。生命力を根こそぎ奪いかねないシャルロットの"精気吸収(エナジー・ドレイン)"の前に防御を捨てるなど、彼を知る者からすれば馬鹿かと罵るだろう。


 遠距離から攻撃魔法を使ったの攻防の方が、幾分か勝率がある。


◇◇◇


 死霊魔法で操られた者達は、首輪を破壊する事で開放される。更には、込められた魔力が尽きるまで自意識を取り戻す……と、血盟戦の司会者が情報を放送する。だが、その真偽を精査するまでの時間は誰も持ち合わせていない。当然、『メイデン』の者達もだ。


 半信半疑であった『メイデン』の者達だが、勝率を上げるためには藁にもすがる思いがあった。そして、物は試しに死霊魔法で操られている者の首輪を破壊したのだ。その瞬間、動く爆弾達は、動きを止めて『メイデン』の者達に感謝を告げる。そして、助けをこうのだ。


「お願い。他の皆も助けて!! 死霊魔法で操られているだけなのよ」


「信じられるか!!」


「……わかったわ。証拠を見せるから、皆を開放してあげて」


 必死に自分達の助けを求めて動く爆弾達の演技。だが、易々と信用する程、『メイデン』も愚か者ではない。無論、これもエスカロリオの想定内だ。遠隔リモート操縦の動く爆弾達をミーミルへと突撃させて『メイデン』の援護を始めた。


 この程度の不測の事態でミーミルは、遅れなど取らない。メイデンの精鋭達を相手にしながらでも捌けるのだ。だが、動く爆弾達は粉砕されたと同時に、華々しく爆発した。


 威力を絞っている爆発程度では、ミーミル本人にダメージはない。だが、臓物がビチャリと装備に降り掛かる。ミーミルとしては、爆発する事については事前に確認していたので驚く事はなかった。だが、仲間の死霊魔法で制御しているにも関わらず、自らが粉砕したタイミングで爆発した事に驚いたのだ。


「エスカロリオォォォォ!! 死体くらいしっかり制御しろ。お前の仕事だろうがあぁぁぁぁ」


『おおっと!! ミーミル選手が爆発に巻き込まれたぞ!! これはアクシデントかぁ? 死霊魔法から開放されたと思われる者達が次々とミーミル選手に襲い掛かっているぞ』


 プロの司会から見ても同士討ちしているようにしか思えない光景だ。更に、エスカロリオの焦る顔も映し出されて、真実味が増す。


 『メイデン』にしてみれば、これを勝機と捉えるか、罠と捕らえるか迷い所ではあった。物は試しに、動く爆弾達の首輪を破壊した者達が次々とミーミルに襲い掛かる様を見て、彼女達は賭けてみる事にしたのだ。


 圧倒的な不利な状況を好転させる切っ掛けがどうしても欲しかったのだ。


「第3班から第5班の者達は、首輪破壊に全力を注げ。その間は、私達がアレを抑える」


 1級探索者2名と2級探索者1名でミーミルを抑える作戦だ。その間に、敵から開放した爆弾を味方に付けるという正しい戦い方である。


………

……


 『メイデン』の者達は、限りある戦力を分散させて多数の動く爆弾達を開放した。


 その間、『ゴスペラーズ』を抑えるために一級探索者や二級探索者達に掛けた負担は、凄まじいものだった。運悪く13使徒とかち合った者達は、瀕死の重傷で『ゴスペラーズ』に捕らわれた。だが、『メイデン』の成果は十分であった。


 動く爆弾の過半数の首輪が破壊され、『メイデン』に合流したのだ。


 よって、下準備は全て整ったのだ。


 動く爆弾の目を通して、『メイデン』を観察しているエスカロリオが笑い出した。死霊魔法の使い手で、白い仮面を被った白衣の男という怪しさ抜群の者が笑い出したのだ。ドコからどう見ても悪人に見える。


 スポンサー達が雇った司会ですら、フォロー出来ないほどに。


「準備完了だ。ミーミル、君の勇姿に乾杯だ。それでは、チェックメイトだ。――点火」


 頭のネジが外れているエスカロリオは、動く爆弾達を操り、『メイデン』の者達に取り付かせた。そして、一斉に起爆したのだ。ミーミルが近くに居るにもかかわらず、全く気にする様子はない。絶対的な信頼があるからこそ、出来る匠の技なのだ。


 この起爆は、死霊魔法による物ではない。あくまで、エスカロリオが開発した新兵器によるものだ。死体を爆弾に変える兵器。死霊魔法の使い手と合わさることでその利便性は飛躍的に向上する。


 『ハイトロン法国』の次世代兵器の素晴らしいデモンストレーションになった。安価で効果もあるこの兵器だが、一個だけ問題がある。死霊魔法の使い手は小国に2、3名いれば良い方なのだ。


 その様子も投影されており、現地は酷い有様だ。血の海ができあがり、爆発に巻き込まれてショック死した者達も多い。そんな中、爆心地にいたミーミルの装備が真っ赤に染め上げられた。


 ダオスも別の場所から投影された映像を見ており、クリーニング代金はエスカロリオと折半しようと思う次第であった。


最後を飾るのは、やはりダオスでなければ@@

サポートガンナーのダオスがミーシャというモンスターを狩りにいくぞ~(ぇ

G級モンスターミーシャと上級ハンターのダオス!! 勝利はどちらの手に。

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