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正道こそ王道  作者: マスター
01.血盟戦
13/66

12:調印式

皆様へ、漢による漢の為の作品を読んで頂きありがとうございます。


おかげで、ヒロイン?何それ美味しいのにも関わらず総合評価が1000超えて作者が混乱してきた。


新時代(ヒロイン不要論者)が幕を開けるか。


血盟戦を行うに辺り、双方の血盟主が法王庁に呼び出され契約を交わす。


 調印の場には、『ゴスペラーズ』の血盟主テルミドールと『メイデン』の血盟主ミーシャが揃っている。険悪な雰囲気だ。


「話にならないなテルミドール卿。こちらは総勢150名を超える大所帯だ。その全員の殺生与奪に対して、そちらはたったの数名だ。割が合わん」


 『メイデン』は、何としてもこの血盟戦を回避して落としどころを付けたいと考えていた。1級探索者の数だけでも、『ゴスペラーズ』の人数を上回る。だが、"(ちか)い"という未知数の能力を持つ連中相手では、やりづらいのだ。勝利を収めるにしても被害は相当な物だと考えている。


 ミーシャのその考えは、間違ってはいない。『ゴスペラーズ』の血盟主テルミドールは法王を守る13使徒の一人であり、一騎当千である。だが、"(ちか)い"の致命的な弱点である『異性との肉体的接触の禁止』は、有効だ。これにより、決して倒せない相手という事でもないのだ。事実、前盟主は、何の力もない幼女に殺されている。


「可笑しいですな。割が合わないと……『メイデン』から、戦端が切られた筈ですがね。では、人数比を埋めるために、お金を積もう。10万エース金貨」


「10万!? 巫山戯ているのか?」


 その金額に、ミーシャは思わず声を上げた。10万エース金貨あれば、人型モンスターが数体買える額だ。それ程までの大金など、一血盟が用意できる額を超えている。レイレナード家とゴールドマン家という巨大スポンサーがいるから出来ることだ。彼らにしてみれば、ポンと出せる額なのだ。


 ミーシャは、その言葉を疑いたくなった。だが、議事録に残る調印の場だ。虚偽など許されない。この場は、精霊魔法の使い手達が常に真偽を確認している。嘘偽りを言うと、厳罰される。


 だからこそ、ミーシャは考えた。『メイデン』の総戦力と現状の状況。更には、勝てば10万エース金貨という魅力的な報酬だ。賞金の山分けを前提に商家を丸ごと取り込めば、勝機はあると。


 テルミドールが、パチンと指を鳴らすと係の者が重そうな鍵付きの箱を調印の場に持ち込んできた。そして、解錠されて中身がお披露目される。


 黄金の輝きを放つ金貨!! 更に、同じ箱が9個運ばれてきた。一箱に1万枚のエース金貨が詰められている。その様子に、ミーシャは息をのむ。これだけの金貨を目にすることなど普通に生きていてお目にかかれる物では無い。


 ミーシャが考え込む様子を見て、テルミドールは思わず笑みをこぼす。この場に用意された大金は、見せ金だ。相手の思考を麻痺まひさせる事が目的なのだ。人は、分かっていても大金に目がくらみ、判断を誤る事がある。それが窮地ならば尚更なおさらだ。


 『メイデン』の置かれている状況では、『ゴスペラーズ』がやった大金を見せるというやり方は有効だ。各方面から締め出しをされており、解決するには金の力を頼らざるを得ないのだ。それを一気に解決出来るだけの材料が、文字通り目と鼻の先に置いてあるのだ。


 その事もあり、『ゴスペラーズ』との戦闘回避から、『ゴスペラーズ』に勝利へと目的が変わったのだ。既に、ミーシャの頭の中では、勝利する為の計画を立て始める。


「条件としては、悪くありませんね。ですが、もう一声欲しいですな。こちらは、女性ばかり居るんですよ」


「意地汚い。では、レイレナード家からハーフを強奪した件を無かった事にしましょう。既に、レイレナード家とはこちらで話を付けている」


 ミーシャは思わず苦い顔をした。レイレナード家の一件は、露見していないと思っていた。この場で虚偽は出来ない。調印の場とは、そういう場所なのだ。


 だが、「何の事か分かりません」とも言えないのだ。それでは、虚偽がバレてしまい罪を認めるような物なのだ。しかし、ハーフの一件を不問にする条件が不要だとも言えない。


 血盟戦の後の事を考えれば、ハーフの一件だけで間違いなくミーシャの首が飛ぶ。血盟も解散されるのは、間違いない。よって、この一件もまとめてかたをつけるべきだと結論付けた。


「その条件で、お受けしましょう」


 ミーシャとしては、相手が条件を取り下げたり変える前に、受ける以外に道はない。


「お受け致しましょうとは、大きく出るな。……まぁ、合意が得られたのでいいだろう」


 双方の合意が成された。


 メイデン側が勝利を収めた場合は、『ゴスペラーズ』全員の殺生与奪の権に加えて、エース金貨10万枚、更にハーフの一件を不問。『ゴスペラーズ』側が勝利を収めた場合、メイデン全員の殺生与奪の権となった。


「後、慣例通り血盟戦を行う場所は、申し込まれたコチラが決めて良いんだな?」


「構いませんよ。ですが、開始一週間前には法王庁に報告をお忘れなく。そうしないと、決定権が我々に移るので」


 調停員から、『ゴスペラーズ』と『メイデン』で取り決めた内容をまとめた契約用紙が用意される。お互いが調印し、契約魔法により決して反故ほごが出来なくなった。その効力は、血盟員(・・・)の全員に及ぶ。


 この時点で、誰も血盟から離脱も加入も不可能となるのだ。


「調印により双方の合意が得られた。血盟戦は、10日後の翌月(・・)初日となる。それまで、各々準備を怠らないように」


 調停員の宣言が終わると、直ぐに二人が立ち去った。


◇◇◇


 『ゴスペラーズ』のホームには、血盟員の総勢13名が集まっている。


 テルミドールから万事 上手うまく運んだとの報告が全員になされる。そして、調印直前に加入した新メンバー5名。全員がテルミドールの同僚で13使徒の一員であり、一騎当千の力の持ち主だ。


 調印直前にメンバーを増やす事は悪い事では無い。ルール上、何も問題はないのだ。『メイデン』にしても、調印前なら脱退して血盟戦から逃げる事もできた。当然、人員を増やす事で戦力増強もできた。


 だが、それを怠ったのだ。


 ルールを正しく理解して、正々堂々と勝負に挑む姿勢は、まさに王道だ。


「当日は、法王様も御観覧されにいらっしゃる。その為、8名の護衛を除く非番の5名が偶然、『ゴスペラーズ』に加入していたなんて事実があっても可笑おかしくは無い」


 テルミドールの発言に誰もがその通りだとうなずいた。休日返上で、法王様のそばに仕えていると思えば、まさに護衛のかがみである。


 非番とは言え、13使徒である彼らを仲間に引き入れたテルミドールの働きに皆が称賛する。巨額な金が彼らの懐に入る事実もあるが、それを見越しても『ゴスペラーズ』は十分に懐が潤う計算なのだ。


「では、各々進捗を報告して貰おう。まずは、エスカロリオ」


「滞りなく準備が進んでいる。10日後には、この私の死霊魔法と新兵器で武装した50人が活躍できる。今回の武装のすごいところは、相手に直接触れる事で対象から魔力を吸収し、着用者の体内で爆弾を生成する。死体なんて、最高の爆弾材料だ。さぞ、綺麗きれいに散るでしょう」


 相変わらずだなとその場に居る全員が思った。


 実に、有益な兵器だ。限りある資源を再利用した歩く爆弾。コストパフォーマンス次第では、大きく役に立つ兵器となる。殺した的が死霊魔法により次の爆弾兵になるのだ。懲罰兵隊にでもこれをやらせれば、誰も困らない最良の兵器となる事は間違いない。


「大変結構だ。我々も実物を見ておく必要があるから、後ほど見せてもらおう。あまり、損傷させると商品価値が下がるから、威力は調整出来るようにしておけ。次、ステラの方はどうだ?」


「順調よテルミドール。血盟員の九割の情報は手に入れたわ。恋人から血縁者までね。後の圧力は、ダオスとザックスに任せるわ。お得意でしょう? そういうの」


 ダオスは、失礼なと思った。ゴールドマン家のように巨万の富を持っていない。一般家庭出身のダオスには、彼らに圧力を掛けることなど出来ない。精々、レイレナード家に再び御挨拶に赴き、「こいつ等が出場者の家族です」と意味深なお願いをしに行くしか無いのだ。


「ステラの中で、私という人物像に些か誤解があるようだな。まぁ、何とかしよう」


「俺の方は、任せておけ。路頭に迷うか、見殺しにするか選ばせたるわ」


 『メイデン』の資金調達ルートは、ほぼついえている。だが、まだ埋められる穴はあるのだ。最後の頼みの綱である身内すら頼れない状況を作り上げる。『ゴスペラーズ』の行動は、その一点に尽きるのだ。僅かな可能性でも、潰して勝利を確実な物にする。


 戦争とは、戦う前に勝敗を決めておく物なのだ。


「ダオスとザックスは、ステラからのリストを基に作業へ掛かれ。時間は、有限だ。それで、ステラに依頼していたもう一つの案件は?」


「彼女達をバックアップしそうな人達は、『メイデン』OBや女性権利主張派の貴族が数名といった所よ。で、『メイデン』に綺麗きれいな手足をした子達が何名か居るんだけど……」


 ステラは、人体収集が趣味だ。綺麗きれいな同性のパーツをでる事を生きがいにしている。より美しい体を求め、優れた部品に付け替える。そういった、間違った努力派なのだ。


 当然だが、良識ある者であり犯罪に走ったりはしない。全て合法で手に入れるのだ。


「欲しい女が居るならリストを準備しておけ。全員、殺さぬように一応気に掛けるように。OBや貴族連中の情報は、引き続き頼む。何処どこの誰だか分かれば、私と同僚が直接赴いて話し合いをしてくる。最後に、シャルロット。奴隷商達との交渉は?」


 『ゴスペラーズ』の最年少の血盟員――若干16歳のシャルロット・リヒャルド。圧倒的な戦闘力を誇る少数部族の吸血鬼という種族だ。更に、その中でも希少 きわまる真祖で、500年ぶりに生まれた新生児の少年なのだ。生まれた時は、吸血鬼が統治する『ヘルスタイン』が国を挙げてお祝いをした程だ。


 吸血鬼は、異性の血液を好み、若く清らかな身の童貞や処女は吸血鬼達に高く売られるのが世の常となっている。吸血鬼にとって、血液とは食事の全てといっても過言で無い。だからこそ、奴隷商人達とも太いパイプがある。


 もっとも、シャルロットには無縁の食材だ。対価のせいで「同性の脂の乗った加齢臭がする体重100キロオーバー」の人からしか血を飲む事ができない。人の感性で例えると、吐きだしたゲロを飲む方がマシに思える程の苦行なのだ。長い人生の食生活を犠牲にしただけあって、得られた力はそれに相応しい物だ。その実力は、『ゴスペラーズ』のNo.2だ。後10年も生きれば、テルミドールを上回る事は間違いない逸材なのだ。


「問題は無いよテルミドール。これが、僕の実家と取引のある奴隷商人達が持ってきた買取り価格表。どれも一緒の値段なんだけどね」


「そんなものだろう。だが、準備は着々と進んでいるな。戦争開始まで残り僅かだ、油断して命を落とさぬように。では、堅苦しい話も終わりにして新メンバーを迎えた歓迎会を実施する」


 一時期とはいえ、メンバーが増えた事に『ゴスペラーズ』の全員は嬉しく思っていた。やっと、この会議室の椅子にほこりが被らなくなったのだ。


 厨房から出来たての料理やお酒などが次々と運ばれてくる。『メイデン』の者達とは比べられない程の食事事情だ。


 全員が、お酒がつがれたコップを片手に乾杯をした。

持ったより早く投稿できた><


次は日曜日に投稿予定です。メイデン側を一話入れてから、血盟戦の予定。


しかし、やっと7人目の血盟員が登場させられた。やはり9人とか生き残りが多すぎたと思ってしまった@@後、どれだけの罪深い連中の設定を考えないといけないんや。



作者、今気がついたんだけど・・・・・・『異性との肉体的接触の禁止』って、ある一定の年齢になったら難しくないよね? 最後に異性と触れ合ったのが、いつだったか一言発言してくれてもいいんですよ@@年単位とか余裕やろうorz

※コンビニのおつりでと受け取る際には含めたらアカンで!!

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