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名もなき英雄たちの群像  作者: みかろめ
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帝歴274~280年 大陸北西国家の動向 (年表)

【帝歴274年 水の二月ふたつき】『始まりの出来事』

   フェンリルの密猟部隊とメシュドドの守り人がフェンリルの森にて遭遇。カッカリアの傭兵も複数人いたがエルンの特徴的なローブを全員が身に纏っていたため、目撃した獣人ソニはエルンのみと報告。

   エルンの蛮行がメシュドド三大氏族に伝わり、ランドド族はいち早く戦争の準備を開始。


【水の三月みつき

   他のメシュドド氏族は戦争を回避するためにセドド族を代表としてハワンダ=セドドをエルンへの使者として派遣。しかしエルン国王、並びに主導魔法使い、各将軍はまともに取り合わず門前払い。

   成果なしには帰ることができないハワンダは数名をエルン国内に潜り込ませる。そこで行われていた、獣人への残酷な実験、捕らえられたフェンリルの末路などの情報を入手。


【火の一月ひとつき

   ハワンダの報告によりメシュドドの各氏族間に開戦の気運が高まる。準備に取り掛かる中、ランドド族はエルンに対し宣戦布告。


【火の一月 中旬】

   メシュドドとエルンによる国同士の最初の戦闘となる。


 【火の1/15】『ネーテ城攻防戦』

 ・エルン戦力 2万7千 総司令:ドゥーガ将軍 主導魔法使い:バレッド、ノズ

 ・メシュドド戦力 1万8千 総司令:エリャッダ=ランドド

   この戦いは結論から言えばエルンの圧勝に終わる。理由としてメシュドド陣営内に攻城戦を経験した者がいなかったこと。数日前にネーテ城周辺の小都市タラッサの攻略に少ない犠牲で済んだことがエルンの防衛力の過小評価へとつながったからである。

   また、指揮を執っていたエリャッダは血気盛んであり、ランドド族随一の猛将でもあったため最前列で味方を鼓舞するも討死。勝機を見出せなくなったランドド族は副官:ミーズ=ランドドによって撤退する。

   エルン上層部はこの結果を見て、戦争は早期に決着すると予想し、攻勢に出るべきとも発言されるが、メシュドドと平地などで戦闘になった際は敗北することが目に見えていたため却下された。


【火の二月 初旬】

   撤退中のランドド族と進軍中のメシュドド氏族連合が合流。

   連合指揮官のテュール=セドドはミーズからエルンの作戦など様々な情報を得る。その際、戦闘可能なランドド族5千を加え、連合軍は総勢5万1千にまで膨れ上がった。

   ミーズは小都市タラッサに殿軍として一千の兵を置いてきたことを伝えるとテュールは行軍速度を上げた。


   ドゥーガ将軍はメシュドドが野戦を好むことを知っており、タラッサを占領するよりも国境付近にある平地などで陣を敷いていると予想し、索敵などを徹底しなかった。殿軍はエリャッダ直属の部下だった者たちを中心に構成されており、士気も練度も高かった。殿軍の指揮官、コドは都市内でゲリラ戦を敢行。最初の襲撃【夜襲】でドゥーガ将軍の殺害に成功。殿軍の士気は最高潮になり、逆にエルンの士気は下がった。両軍とも眠れぬ夜が二日間続いた。

   二日後、連合軍が戦場へと到着。予期せぬ増援にエルン軍は降伏。投降するも連合軍はこれを許さずに全員を殺害。これはエルンが行ってきたフェンリルや獣人に対する扱いが招いた結果だった。

   後にエルンの補給部隊が来たが、その迎撃に成功している。


【火の二月 中旬】

   メシュドド連合軍の本隊がネーテ城を取り囲んで陣を敷いた時、エルン側は混乱状態だった。理由はドゥーガ将軍が都市機能を使ったメッセージで「都市内に敵影なし」と送った後に殺害されたためそれ以降の情報がエルンには伝わっていなかったからである。

   主導魔法使いであるバレッドは王都に戻っており、増援を足しても心もとない防衛戦力だった。そもそも先日の戦いで勝利していたために人員を大きく増やす必要はないと考えられていた。


 【火の2/12】『第二次ネーテ城攻防戦』

 ・エルン戦力 1万6千 総司令:ベレスタ副将軍 主導魔法使い:ノズ

 ・メシュドド戦力 3万5千 総司令:テュール=セドド

          副:ミーズ、オンダル、セパド、ホルノイ、エイシャラ、ンッジ

   エルンにとっては奇襲であり、混乱に乗じて攻撃をされれば簡単に落とされていたかもしれない。しかしメシュドドはその内情を知らず、計画によって攻撃を遅らせた。

   テュールは5万からなる本隊を三つに分け、分けた部隊には小都市の攻略を命じ、本隊はネーテの城壁からかなり離れた場所に陣を敷いた。これはランドド族の体験談により、エルンの魔法使いによる【空爆】(二人一組の空から魔法による攻撃)を警戒したためである。

   布陣後の三日間は睨みあっていたが、混乱から回復したエルンの魔法使いによる【空爆】によって開戦。しかしメシュドドの目論見通り、限られた飛行距離ではその本領を発揮できず大した打撃を与えられなかった。また、弓矢などによる迎撃によりエルンに被害が出てしまった。

   その夜、メシュドドは夜目の利く獣人で編成された部隊【暗闇の引っ掻き猫ナーヴィルヘイトパンサー】をネーテ城内に送り込む。目的はエルン主力の魔法使いであったが、守りも堅く、ノズ・オーガスタスの妨害によって失敗に終わった。


【火の二月 下旬】

   一週間ほど続いた睨み合いだが、エルン全軍に衝撃が走る。エルン南方の都市、ハリメデ、トリトン、マルテア、カリストが陥落。それぞれに万を超える軍が侵攻したとの情報が入る。

   ハリメデ、トリトンはテュールの分隊が計画通りに、ゼピル城周辺都市のマルテア、カリストはメシュドドから送り込まれた第二軍によって陥落させられた。

   エルン上層部はこの事実を隠蔽していたが、最前線であるネーテにはそれ以上の噂が流布したために逆効果となった。


【火の三月 上旬】

   ネーテ城の城壁周囲に仕掛けられた罠の魔力が切れた頃を見計らって【暗闇の引っ搔き猫】が再び投入された。朝日が昇る前に彼らは潜り込んだが、憔悴したエルン兵はそれに気づけなかった。ノズも魔法使い達の居住区を固めており、異変に気づくことはなかった。


 【火の3/1】

   早朝、日が昇るとともに開戦。援軍を期待していたネーテの守備兵だったが、ゼピルに現れたメシュドドの第二軍によりエルンの優先度が王城ザサにより近いゼピルに切り替わってしまった。

 ・エルン戦力 1万2千 総司令:ベレスタ副将軍 主導魔法使い:ノズ

 ・メシュドド戦力 5万 総司令:テュール

   開戦直後、エルン兵に扮した【暗闇の引っ搔き猫】がネーテの正門を開き、メシュドドの軍勢を招き入れた。

   ネーテ城の陥落を悟ったノズは近衛兵3千を率いて包囲の薄い北門から脱出。犠牲は出たが、生き延びて、エラ城まで後退した。

   正門が開いたことによりメシュドド軍はなだれ込んだ。激しい戦いが続いたが、日が沈むころにはエルン守備兵は降伏。テュールはそれを受け入れず残った兵を皆殺しにしようとするが、ランドド族のミーズやヒリドド族のオンダルなどの戦士長が反対。捕虜としてネーテ城内の牢屋などに収容された。捕虜となった者たちの中にはかつて奴隷だった獣人などに報復として殺されるものも少なくなかった。

   エルンの捕虜を拷問して得た情報の中でテュールが驚いたものの一つが、彼らが他の都市が陥落したことを知っていることだった。それについては地下に抜け道があるのではないかなどの推測され、それに詳しい獣人などを先頭に捜索を行ったが見つからなかった。

   一方、城下町ではメシュドドにゆかりある者を酷く扱った市民やフェンリルを実験などに使った研究者は見つけ次第処分された。

   さらにゼピル城を攻略中の第二軍に送る増援の編成などに追われていた。


【火の二月 下旬】『ゼピル城攻防戦』

   時を同じくして、ゼピル攻略中の第二軍は苦戦していた。ネーテ攻略の時と同じく、攻城戦に長けた者がいなかったためである。


 【火の2/23】

 ・エルン戦力 4万5千 総司令:メーセル 主導魔法使い:ウィンベン、ルバー

 ・メシュドド戦力 6万2千 総司令:アッフファルト=ランドド

   こちらの戦場でもネーテ城と同じくして二日目にエルンの【爆撃】が行われた。しかしネーテ城攻防戦とは明らかな違いがあった。ウィンベン・ハルロードの存在である。彼は単身でメシュドド陣営に降り立つとその戦場を荒らし回り、ある程度時間が経つと城内に逃げ帰っていった。

   そんな戦いに業を煮やしたアッフファルトはメシュドド全軍に前進を言い放ち、挑発に乗ってしまう。結果は失敗に終わり、一日で6千人もの戦士を失ってしまった。

   翌日、アッフファルトの元へ伝令が訪れた。内容はネーテを陥落させた第一軍からの増援であった。歓喜したアッフファルトは提案通り城壁から距離を置いたところに陣を敷きなおし、弓兵を中心に前列に添えた。


 【火の3/18】

   メシュドドの第一軍が戦場に現れた時、第二軍からは大きな歓声が響いた。以前と変わらず膠着状態ではあったが。

   第一軍を率いていたのはミーズだった。彼女はテュールが提案した作戦をそのまま伝えた。その作戦は現状を打開し得るものであり、全氏族の者がテュール=セドドを英雄視し始めるのには十分なきっかけであった。

   エルン軍も情報伝達機能によってメシュドドによる夜襲があることは予測出来ていた。しかし夜目が利く獣人相手には分が悪く、有効な対策が打てずにいた。


【火の三月 下旬】

   王都にて、劣勢を覆そうと【魔神召喚の儀式】がバレッドに持ち上がる。バレッドは喜んで賛同し、候補地を探すために旅に出た。同時に主導魔法使いの席を後進のデニス・ウィスブロータに譲っている。


【土の一月 上旬】『血の夜襲事件』

   主導魔法使いの一人、ルバー・ネックが獣人の夜襲によって命を落とす。エルン軍は一気に士気を落とし、兵士の不満が高まった。また、自身の死を恐れた副将ルブラン・ベッソ・エールンは他の将軍たちに降伏を提案。(その際、ウィンベンに殴られている)


 【土の1/8】『ゼピルの悪夢』

   一日ごとに増えていく兵士の死者数に耐え切れなくなったルブランは寝返れば助かると思い込んで部下に正門を開かせ、メシュドド軍を招き入れようとする。兵士たちは混乱したがルブランはエルンの第三王子だったために逆らうことができなかった。

   突然開いた門に驚き、罠ではないかと疑うメシュドドだったがルブランから降伏の声明が出され、メシュドド軍は城内へと入っていった。

   ウィンベンなどの各将軍が事の重大さに気づいた時には遅く、メシュドドの軍勢が1万は入り込んでいた。

   リド・コースター、メーセル・シグ・アーノルド、ウィンベンらは城を捨てる決断を下した。2万の兵を率いて突破口を探し、大きな混乱はあったものの退却を成功させる。

   この撤退戦でウィンベンはメシュドドの戦士長の一人、レジテ=ヒリドドを討ち取っている。

   エルン、メシュドド双方に1万5千を超える死者を出した。

   寝返ったルブランはその後、女獣人への嗜虐性が明らかになり処分された。


【土の一月 中旬】

   エルンの王都にて、約半年の間に主城を二つ落とされ、戦争も不利な状況が続いているため各将軍から不満が続出。エルン王、リグアイア・ベッソ・エールンは主導魔法使いの序列を一つ上げ、ルバーの後任を選出した。


  主席:【無限】ノズ・オーガスタス

  第二席:【疾風怒濤】ウィンベン・ハルロード

  第三席:【慈愛】レノアータ・ウィス・エールン

  第四席:【無能】デニス・ウィスブロータ


   王家の出身であるレノアータの起用に不満は挙がったが、無能と評されるデニスにより王の力を削げると思った将軍たちはそれ以上の口出しをしなかった。


【帝歴278年 土の二月】

   約四年間、戦争は膠着状態にあった。各陣営は内政に力を入れたり、時には小競り合いなどもあったが大きな戦には至らなかった。

   そんな中、ネーテ、ゼピルの平定を終えたメシュドドは侵攻を再開するべく兵を集め始めたため、エルンとの戦争の気運が再燃していった。

   テュールはメシュドド国内に戻り、各氏族の結束をより強固なものにしていた。

   エルンは国家存亡の危機であることは認識し、周辺国に応援を要請。カッカリアはその国の特性上、傭兵という形で送られてきたがコストの割に士気も低く頼りなかったが、唯一要請に応えた国なので文句を言える者はいなかった。


【土の三月 中旬】

   冬に入り、この時期に進軍することはないと考えていたエルンだったが、メシュドドは侵攻を開始。雪が降る中での進軍であったために発見が遅れ、エルンの対応が鈍くなってしまう。ネーテ、ゼピルから出陣したメシュドド軍は王城ザサに最寄りの主城エラを包囲、守備兵と睨み合う形となった。

   エルン本国に戻っていたバレッドにエラが包囲されたと報告が入る。国家の危機に参戦を決意。


 【土の3/16】『エラ決戦』

 ・エルン戦力 8万6千 総司令:へルフス・コートン・バフマン 副:エレステア

  主導魔法使い:ウィンベン、レノアータ、デニス


 ・メシュドド戦力 12万8千 総司令:テュール 副:アッフファルト

  各戦士長:ンッジ、ホルノイ、ベタルナ、オンドゥル、レーカーマ、オンゼン

   魔法大国エルンの存亡を賭けた戦いが始まった。メシュドド軍は魔法、強化弓による攻撃を警戒して通常よりも離れた位置に陣を構えた。エラの東側には切り立った崖があり、その上を川が流れていた。

   メシュドドはエラを陥落、もしくは降伏させることでエルンとの交渉を有利に進める思惑があった。犠牲を出しすぎると交渉の機会すら無くなるとの懸念から、本格的な攻撃には移れなかった。

   また、冬ということおあり一月限定の包囲戦であり、動きがなければ攻めることになっていた。


 【土の3/21】

   一週間が経ち、攻城戦を仕掛ける準備のため、崖上の下見をしていたテュールと駆け付けたバレッドが遭遇。バレッドは二十人程度の少数で移動していたため発見が遅れた。

   テュールが率いていた2千の部隊は奮戦したが、テュールは捕らえられた。


   メシュドド内で英雄と称されるテュールを捕らえたことをバレッドが公表したので、メシュドド陣営は混乱に陥る。開戦派と交渉派に分かれたが、副将のアッフファルトは開戦を決意。しかしエラの守りは堅く、夜襲も失敗続きに終わった。

   メシュドドは士気の低下に加え、開戦から好転しない戦況に不満が高まった。さらに、軽率な行動により捕まったテュールを快く思わないヒリドド族、ネドド族などエラの南側を包囲していた氏族が撤退を開始。

   もはや戦闘継続は不可能だと判断したアッフファルトは軍をネーテとゼピルまで後退させた。


【帝歴279年 光の一月 中旬】

   バレッドはメシュドドが引き上げていくのを見届けた後、ザサに帰還。テュールを連れ、自身が作り出した【炎獄】(中に入ると幻惑、飢餓、錯乱状態になるが常に回復魔法が働いており、自身を喰らっても死なない。精神抵抗を擦り減らすために作られた監獄)へと収容した。

   エルンの軍議にて、冬であるためこれ以上の侵攻はないだろうとの話し合いがされたが、先日の件も踏まえ各地の守備兵力を南に寄せるという結論で終わった。


【水の三月 上旬】『プロローグ』

   メシュドドの族長会議ではフェンリルを守るだけなら今の状態を維持する講和派とエルンを徹底的に滅ぼしたい好戦派で分かれていた。

   バレッドが進めていた【魔神召喚の儀式】が大詰めを迎える。

   計画が成功したと喜ぶバレットだったが、失敗だったことに気づいた時には死亡していた。さらに、エルンの優秀な魔法使いも二百人以上が殺害される。


【水の三月 同刻】『炎の日』

   王都ザサにてバレッドが死亡したことにより【炎獄】の効果が消え、契約を交わしていた炎の化身(フレイム)が王都内で暴れまわった。ノズはこれの鎮圧に尽力し、テュールはこれを機に逃走。その際、副産物として都市間伝達機能と囚われた他の獣人の存在を知った。獣人を解放しさらに混乱を大きくした。

   テュールは南に進路を取り、ネーテまでたどり着く。途中立ち寄った都市ルウナにてバレッド死亡の噂を耳にする。


【水の三月 中旬】

   テュールの帰還にセドド族長、ワートイ=セドドは喜んだが、他の族長たちはエラでの軽率な行動に対する罰を求めた。テュールはそれを拒まずに受け入れた。一つにまとまりつつあるメシュドドが分裂することを恐れたため。

   しかし、メシュドドの大半はテュールを英雄視しているため重い罰は下せず、軍務に口を出さない等の軽いものとなった。不満も上がったが、それ以上は叶わなかった。


【水の三月 下旬】『カッカリア参戦』

   カッカリアが5万もの大軍を送る。思惑としては領土を拡大させ、農地に適した土地を手に入れたいからであった。さらにエルンに恩を着せ、何らかの見返りを求めた。エルンには拒めるはずもなく、様々な不利な条件を飲み込んだ。


【土の一月 中旬】

   族長会議によりメシュドドは総司令をアッフファルトとして再びエラ攻略へと軍を進めた。

   一方、エルン国内では士気に影響するとしてバレッドの死には箝口令が敷かれていた。


 【土の1/11】『第二次エラ決戦』

 ・エルン戦力 12万8千 総司令:へルフス 副:エレステア

        主導魔法使い:ウィンベン、レノアータ

 ・カッカリア戦力 5万4千 団長:ディベニロ・オーンゴッヒ 副:ワッケル

 ・メシュドド戦力 11万3千 総司令:アッフファルト 副:オンゼン

   メシュドドの情報を得たディベニロの案により、エルン各地の獣人の奴隷2万を集めて壁外に並べた。奴隷とはいえ、エルンの正規兵と同じ格好をした彼らはメシュドドの眼には見分けがつかなかった。

   アッフファルトは同士討ちを避けるために【爆撃】はないだろうと読んでいたが、開戦し、両軍が乱戦となった時に【爆撃】と弓矢による攻撃が開始された。メシュドドは大混乱に陥り、多数の被害を出した。追い込む形で城門が開き、エルンの騎馬隊が陣営内に穴を作っていく。さらにカッカリアの伏兵が挟み込むように両翼を攻め、背後から奇襲を受けた形となった。

   立て直すことは難しいと判断したアッフファルトは撤退を余儀なくされるが、混乱から抜け出せなかったメシュドドはさらに被害を増やす結果となった。開戦初日で4万にも及ぶ大損害を出した。

   アッフファルトは【爆撃】を受け、負傷するも運よく傷は浅かった。


【土の一月 同刻】

   エラ決戦の最中、テュールはウルゴの元を訪れていた。


【土の一月 下旬】

   族長たちはアッフファルトから敗戦の報告を受け、テュールを軍議に戻し、総司令に就かせるよう説得されていた。また、他の戦士長たちもテュールの復帰を願う声が多数上がった。このことからテュールは軍務に復帰することとなった。


【土の二月 中旬 ~ 帝歴280年 光の一月】

   エルンの勢いが増したことにより数度『ゼピル奪還作戦』が行われたが、野戦を避けたいエルンはすべて小競り合いで終わらせ、大規模な戦闘には発展しなかった。

   冬になったことにより暗黙のうちに両軍一時休戦となった。


【火の二月 中旬】

   テュール発案の元、メシュドドに対する電撃作戦が開始される。ネーテ、ゼピルを出立した4千で構成された四部隊は小都市のみを徹底して夜襲しながら北上。途中で二部隊ずつ合流し、エルンの主城であるヴェノス、メイカリーをそれぞれ目指した。


【火の三月 上旬】

   エルンには小都市が陥落している情報は初日から入手していた。しかしメシュドド軍の規模、進路、目的が不明なため手を出しかねていた。王都ザサにて、エラ城に再び10万を超えるメシュドド軍が現れたという報告が入る。小都市同時攻撃による情報が錯綜している中、エラからの報告は信頼性が高かった。しかしその夜、主城であるヴェノス、メイカリーからも10万を超える大軍に襲われているという急報が入る。

   各将軍は混乱したが、軍議の結果ヴェノスは陽動であると判断し、エラとメイカリーの防衛に的を絞った。


 【火の3/2】『第三次エラ決戦』

   ヴェノスとメイカリーへの攻撃が始まったのは夜中であり、エルンはメシュドドの松明の数でおおよその兵数を計っていたため、メシュドドの偽装工作に気づかなかった。

   エルンの暗号の解読に成功していたメシュドドは占領した小都市から偽情報を送り続けていた。

   エラにメシュドド軍が姿を現したのはヴェノス、メイカリーに攻撃が行われた翌日だった。エルンの守備兵は配置についたが、メシュドドはエラを包囲できるだけの兵を6万残したまま本隊は進軍、王都ザサへと向かった。

   将軍へルフスはザサから送られてきた援軍がメシュドド本隊と平地で衝突することを恐れ、防衛に5万ほど残して出陣。メシュドド本隊を追いかけた。

   カッカリアへの増援を要請していたが東側の進路をメシュドドに占領されており、断られている。

   ヘルフス率いる7万の軍はザサに向かった本隊を叩くべくエラの北門から出撃。包囲していたメシュドド軍は各門に2万程度であり、エルン軍が飛び出したことにより動揺していた。戦闘の最中、ヘルフスは北門の指揮官がテュールである情報を掴む。戦争終結の望みを見出し敗走を始めたメシュドドをヘルフス軍は追撃した。

   ザサへと続く道の途中、メシュドドの本隊9万が陣取っており、ヘルフス軍を迎撃し始めた。この時ヘルフスは自身が罠に嵌められたことを悟る。

   その後、メシュドドの本隊は反転し、守備兵の少なくなったエラを攻め落とした。


【火の三月 中旬】

   主城エラを失ったことによりエルンはメシュドドとの停戦の糸口を探すようになっていた。しかしアッセル将軍やウィンベンをはじめとした一部の者たちはメシュドドをなおも見下し、降伏に反対していた。

   エルン王リグアイアは反対を押し切り、交渉することを決意。エラへと向かった。


 【火の3/25】『損失の日』

   交渉の最中、増援を断ったはずのカッカリアがメシュドド占領下となったゼピルへと侵攻。陥落してしまう。この交渉自体が油断を誘うための罠だと思い込んだメシュドドはリグアイア王、随伴していたレノアータ、他の将軍らを殺害。


【土の一月 上旬】

   ノズは交渉が決裂したことを聞き、ザサまでもが攻められることを予期した。軍議を開くもアッセル将軍とウィンベンなど主要な将軍の姿は見当たらなかった。

   ノズは自身の部下をデニスに預け、北の主城マルズまで退くように告げる。


【土の一月 同刻】『無血開城』

   離反したウィンベンはエルンの主城ラノスをカッカリアに差し出し、自身の支配下に置いた。


 【土の1/17】『王都陥落』

   ノズは奮戦したが数に押されるようにザサは陥落した。命令系統、指揮系統を失ったエルンは事実上滅んだが、北方に残る貴族、高位の魔法使いの残党は王位継承権のある者を旗印にエルン復興を企んだ。


 【土の1/19】『終戦』

   エルン残党であるレドボア・ミネルス宰相とメシュドド族長代表たちの間で終戦の締結が行われた。




本編はほとんどがこの後のお話です。あと、テストに出ます。


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