損と責任と尻拭い
今日の晩御飯はからあげだった。
娘が10個。妻が10個。俺が8個。
娘が10個なのは、まあ良い。
しかし、何故妻まで10個なのだ。
そこは、俺と痛みわけで、9個にするべきじゃないのか?
損をするのは、いつも俺だ。
いつだって、損をするのは父なのだ。
今日夫が寝坊した。
遅刻する程の寝坊じゃない。
少し慌てなくちゃいけない程度の、小さな小さな、十五分の寝坊だった。
「どうして、起こしてくれなかったんだよ!」
知ったことか。
怒られるのは私。
誰が悪くたって、怒られるのは私。
いつだって、責任を問われるのは母なのだ。
今日は燃えるごみだった。
別に毎朝ゴミ捨てをお願いされるのは良い。
しかし、今日の俺が持っているそれは、許せない。
袋から透けて見えた、覚えのないレシート。
今谷寿司の特上二人前。
出前するなとは言わん。
多少怒るが、許すさ。
だけど、何故俺のいない時に頼むんだ。
その金は、俺が稼いできたんじゃないのか。
いつだって、損をするのは父なのだ。
今日、夫が仕事を持ち帰ってきた。
リビングの机で、コーヒーを飲みながら、書類を睨みつけ、時々ボールペンで何か書き込む。
別に、団らんの場所で仕事するな、とは思わない。
大変だな。ありがたいな。そう思う。
しかし、コーヒーをこぼして書類を汚したのは、明らかに夫が悪い。
どう考えたって、夫の不注意だ。
「もうちょっと、整理できないのか?」
と怒鳴られる覚えはない。
いつだって、責任を問われるのは母なのだ。
またパパとママが喧嘩をした。
二人とも頑固で、私が放置したせいで、1年間も口をきかなかったことがある。
普段デレデレしてるのに、訳わかんない。
あ~あ。嫌だな。
また私が仲を取り持つの?
いつだって、尻ぬぐいさせられるのは私なのだ。




