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序幕
「君は、自分がNPCだと考えたことがあるかね?」
「た、助けてくれ……」
「私は時々考える。今の私はこの世界にまるで影響を与えていない。誰が見ても、いてもいなくてもいい人間だ……それは何故だろうか」
「お、お願いだ」
「それはこちらの世界は、私のために創られた訳ではないからだ。私はただ舞台を賑やかにするために配置されているに過ぎない。この世界の物語には何も関係がない。世界に物語というものがあるならば、だがね」
「し、死にたくないんだ」
「だから私も、この世界を愛するのをやめることにしたのだ。この世界は私に興味がなく、私もこの世界に興味がない。そしてそれは…………君も同じだ」
「ち、違う……。俺はお前とは……」
「何が違う? 君も所詮はこの世界には何も影響を与えていない存在だ。世界の細部に過ぎないよ」
銃声が響いた。