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花咲桜

「はじめまして!これからよろしくお願いします!マネージャーさん!」

「はい、よろしくお願いします」


彼女が今日から俺が担当する花咲桜さん、本名は山本奏さんらしいが、エコーボイスでは原則として仕事中は活動名で呼ぶのが決まっている。


「軽く資料に目を通したんだけど、マジックアンドソードで活動したいんだ?」

「そうなんです!MaSがとても好きで、そのゲームで人気配信者になってみたいんです!」

「なるほどー」


MaSは人気コンテンツだ。販売から2年近く経っているが、人が離れていく気配がない。ゲーム好きの俺も結構やりこんでいたりする。


「で、どうでしょうか?難しそうですか?」

「そうですねー、私も新人マネージャーですが…運次第というところですね」

「運ですか…」

「MaSを配信している配信者はかなり多いです。なので、インパクトのある配信をしなければ人が来ない可能性が高いです。そうなるとどのようなキャラで活動したいのかをはっきりと決めなければなりません。」

「キャラですか?それはこの前の面談で話したと思うのですが…」

「それは花咲桜のキャラクター像ですよね。もちろんそれに沿った形にしなければなりませんが、それ以上にMaSでどんなキャラでいくのか、例えば上手いプレイヤーを演じるのか、天然プレイヤーを演じるのか、難しいですが豪運キャラとかもあります。」

「なるほど、プレイスタイルということですね…私は視聴者の方々がゆっくり観ていられるようなのがいいと思うです」

「ふむ…」


エコーボイス出身という後ろ盾がある状態なら最初はある程度人が来るだろう。だがその後は活動者次第…


「わかりました。これに関しては私の方でなんとかします。桜さんは来週に控えた初配信に向けて準備をお願いします。わからないことがありましたら連絡を」

「はい!」


そしてその日の面談は終えた。


「パソコンでの面談だったけどいい子そうだったな」


リアルではまだ会ったことがない。今回もパソコンでの面談、実際に会うのは初配信後になる。これに関してはエコーボイスの決まりで、いくら活動すると決まっている子でも活動するまでは普通の男性女性、そのため活動を実際にするまでは対談はなしということになっている。


「さて、調べ上げるかぁ」



 それから1週間が経った。ついに桜さんのデビュー配信。


「どうなるか…」


絵師さんとアニメーターさんが作ってくれたOP映像が流れている。そして開始から5分経過、やっと幕が上がり本人が登場する。


「あーあー!聞こえますかー!」


《ギャァァァ!》

《耳ないなった》

《なんか声聞こえなくなったんだけど》

《爆音爆笑》


「あ、すみません!」


初手からやらかしてるな…音量調整を間違えたのだろう。爆音で現れた花咲桜、ピンク髪にピンクの瞳、髪には桜型の髪飾り、服は和を感じさせる色合い、それもピンクと合うような色合いになっている。


「資料で姿は知っていたけど…これほどとは…」


流石プロということだろう。すごい腕前だ。描いたのはアルターさんという絵師さんで、何度か会ったこともある。かなり癖が強いがちゃんと話ができるいい人だった。


「さて、1発目は結構今後にも来るって聞くが、どうなるかな?」

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