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せいなる間

掲載日:2026/02/11

 〇×世紀。初歩的な文明の中、ここにはある帝国が建立されていた。その帝国を治めるのは王であるクウ・キレーイ十五世。クウ・キレーイ王はある日、側近であるカシコマーリに何とも身勝手な命令を下した。


「最近は街の空気が汚れとる! 馬糞か知らんが空気が臭すぎる! 鼻くそができすぎて邪魔なんじゃ! 俺の過ごす聖なる間だけは必ず綺麗な空気を届けろ!」


「ははっ。しかし、どのようにしてきれいにすればよいでしょうか 」


「無能が! んま、そんなこともあろうかと俺が名案を考えておいたぞ」


「それはホントですか! 是非、その名案とやらをお聞かせくださいまし」


「ほうほう。では手始めに健康的な野郎諸君を五百人ぐらい連れてこい」


「ご、五百人ですか。カシコマーリました。王様の命とあらば今すぐにご用意させていただきます」


 そうして五百余人の健康的な成人男性が、広々とした聖なる間にて一堂に集められた。


「皆の衆、今日からお前たちには特別な仕事を与える!」


 それを聞いた男たちは皆、次々に雄たけびを上げた。王に仕える職業と言うものは、この国では最も素晴らしい仕事である。


クウ・キレーイ王は玉座にふんぞり返りながら、その様子を満足げに眺めた。


「お前らの仕事は一日中そこに立ち、鼻で呼吸することだ! お前らの鼻毛は国で一番の空気清浄機だからな!」


 その一言で、場は突如として静まり返る。カシコマーリも自身の耳を疑わずにはいられなかった。しかし王は未だ満足げに、にやにやとしている。この国で王に逆らうことは禁止されているため、反論が出ることはもちろんなかった。


「では諸君、一生懸命に鼻呼吸をするのじゃよ!」


 そうして始まった国王主導の空気清浄プロジェクト。滑り出しはどうやら順調だった。


「おうおう! 空気がきれいな気がするぞ! 今日は馬糞臭くないな」


 王はご満悦だった。しかし一時間もすると、その様子は明らかに正常ではなくなる。王の頭は振り子のように揺れ、どこか息苦しそうだ。


「おい! さぼってるんじゃ……ないだろうな! 苦しいぞ……。ま、まさか悪魔の仕業か! もっと鼻呼吸をしたまえ!」


 男たちも決して怠慢を働いているわけではなかった。しかし王の命令は絶対。これまで以上に鼻呼吸のペースを速めた。シュー、シューという五百人の鼻息が旋風のごとく聖なる間に渦巻く。しかしそれに伴って、王の顔はますます苦痛に歪んでいった。


「なぜだ……浄化が……足りんぞ」


 震える脚で玉座から立ち上がった王だったが、その瞬間にばたり倒れ伏した。清なる間の空気はいつもよりは臭くなかった。

がっつり青春エンタメ小説の合間になんとなく思いついた短編を息抜きに投稿しました。

推敲推敲ばっかりだと筆も落ちそうなので、適度に突拍子もない作品をここに置いておこうかな。

皮肉とタイトル回収は一応形にしておきました。

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― 新着の感想 ―
わりと好き、こういうくだらないの。 読みながら、これって二酸化炭素がー、とか思ってたらそのままのオチで。 こういうのでいいんだよ!って感じのお話でした。 ありがと。
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