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『伝説の魔剣を引っこ抜いたら、魔剣が美少女化して「責任とってよね!」と離れてくれない~勇者辞めて剣と結婚します~』  作者: 無響室の告白


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第1話 抜いた責任、とってくださいね?

王都の地下深く、冷んやりとした空気が支配する《封印の祭壇》。


石造りの床には複雑な魔法陣が刻まれ、その中心に、古びた台座が鎮座している。


台座には、一本の剣が突き刺さっていた。


「これが……伝説の魔剣グラム……」


俺、アルヴィンはゴクリと喉を鳴らした。


王命を受け、魔王討伐の旅に出るためにこの剣を回収しに来たのだ。


伝説によれば、この剣は選ばれし勇者にしか抜くことができず、その一振りは山をも切り裂くという。


俺は深呼吸を一つすると、神妙な面持ちで剣のつかに手を掛けた。


装飾の施された柄は、驚くほど手に馴染む。


「いくぞ……!」


俺は全身の筋肉に力を込めた。


足を踏ん張り、腰を落とし、血管が浮き出るほどに強く、激しく、一気に引き抜く。


「ふんっ、ぬううううっ!!」


ズズズ……と重い音が響くかと思いきや。


ポンッ。


間の抜けた音と共に、剣はいともあっさりと台座から離れた。


と同時に、目が眩むほどの白光が地下室を満たす。


「うおっ!?」


強烈な光に俺はたたらを踏み、尻餅をついた。


腕の中には引き抜いた剣があるはずだった。


だが、俺が抱きかかえていたのは、冷たい鋼鉄の塊ではなかった。


柔らかく、温かく、そして甘い香りがする「何か」だ。


「んんっ……」


光が収束すると、俺の腕の中には銀髪の美少女が収まっていた。


透き通るような白い肌に、紅色の瞳。


裸身に薄い光のヴェールを纏っただけの姿で、彼女は上目遣いに俺を見つめている。


「……は?」


俺の思考が停止した。


剣は? 勇者の武器は? なぜ女の子が?


彼女は俺の胸板に頬をすり寄せると、うっとりとした声で囁いた。


「私の柄(体)をあんなに強く握ったのはあなたが初めて……」


「え、いや、あの、君は誰だ?」


「もう、とぼけないで。私はグラム。あなたがたった今、数千年の封印から『引っこ抜いた』魔剣よ」


グラムと名乗った少女は、むくっと上半身を起こすと、俺の顔を至近距離で覗き込んだ。


その瞳には、なぜかハートマークが浮かんでいるように見える。


「責任、とってよね!」


「せ、責任!?」


「そうよ! 封印されていた数千年の間、誰も私に触れられなかったのに……あんなに激しく引っこ抜いておいて、今さら『ただの武器でした』で済むと思ってるの? さあ、婚姻届にサインして!」


彼女はどこからともなく羊皮紙を取り出し、俺の鼻先に突きつけた。


そこには『婚姻届』という文字が禍々しい魔力で刻まれている。


「待ってくれ! 俺は世界を救うために剣を抜いただけで、決してプロポーズのつもりで柄を握ったわけじゃないんだ! ……ちょ、抱きつくな! 鎧越しでも感触がわかるだろ!」


「いやっ! 離さないもん! あなたが私を引き抜いた瞬間、『血の契約マリッジ・コード』は成立したの。


もう私たちは運命共同体、死が二人を分かつまで……いいえ、魔剣は壊れないから永遠に一緒よ、ダーリン♡」


グラムは俺の首に腕を回し、とんでもない力で締め上げてくる。


これが魔剣の筋力か。


洒落にならない。


「ぐ、ぐるじい……!」


「照れ屋さんなんだから。これから魔王退治? それとも新婚旅行? 私、あなたの為なら世界の一つや二つ、更地にできるわよ?」


無邪気な笑顔で物騒なことを言う彼女を見ながら、俺は遠い目をした。


今すぐこの場で辞表を書きたい。


世界を救う前に、俺の貞操と社会的な立場が危機に瀕している。


こうして、俺と元・魔剣の現・押しかけ女房との、逃げ場のない新婚生活(?)が幕を開けたのだった。



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【登場人物】

- アルヴィン: 主人公。元・救国の勇者。魔剣を抜いてしまい責任を迫られる苦労人。


- グラム: 伝説の魔剣が擬人化した美少女。アルヴィンを夫と認識し、独占欲を露わにする。


【場所】

- 封印の祭壇: 王都の地下深くに存在する、魔剣グラムが封印されていた場所。


【アイテム・用語】

- 血の契約マリッジ・コード: 魔剣を引き抜いた瞬間に成立した主従契約。グラムはこれを結婚証明と解釈している。

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