第三章「政務活動費で焼き鳥を買い占めろ!」
市議になった殿様・松平源之助。
しかし、政治のイロハなど当然知らない。
議会初日、役所の前で仁王立ちして叫んだ。
「よいか皆の者!これより我が名古屋藩政を執り行うぞ!」
通行人ドン引き。
秘書のタケシが慌てて止める。
「殿、今どき『藩政』とか言わんの!あと名古屋藩ないし!」
しかし、さすがの殿様。
すでに市議会議員としての権限を手に入れたことで、まず気になったのが政務活動費。
説明するタケシ。
「殿、これが政務活動費。年間300万円、使い道は公共性があればなんでもOKだ」
「なに!?好きなもの買ってよいのか!」
「いや、“公共性があれば”な?」
その直後、殿様の目が輝く。
「ならば、城下の民の腹を満たすは国の務め。よいか、焼き鳥じゃ!焼き鳥を買い占めよ!」
「え?焼き鳥?」
「さすれば腹も心も満たされ、この国も泰平じゃ!」
そして、市議会初の政務活動として、
源之助は名古屋中の焼き鳥屋に政務活動費の領収書を振りかざしながら現れ、片っ端から注文。
「この串、余の名において買い占める!」
各店店主ポカン。
「お、お客さん…1000本?誰が食うの!?」
「市民全員じゃ!」
結果、焼き鳥1000本をホームレス仲間の炊き出しに振る舞い、街のSNSでは**“焼き鳥殿様”**とバズる。
「またあの市議が焼き鳥配ってるwwww」
「焼き鳥の乱!」
「俺も食いてぇ!」
すると不思議なことに、若者の政治参加率も急上昇。
“あの市議に会いたい”と選挙管理委員会に若者が殺到。
他の市議も困惑。
「あいつ、焼き鳥で支持率上げやがった…!」
市長も眉をひそめる。
「まさか政務活動費で焼き鳥とは……だが支持率は上がっとる…くっ…」
そして殿様、焼き鳥を片手に高らかに宣言。
「よいか皆の者!余の目指す先はただひとつ!天下泰平!すなわち、この国の宰相である!」
タケシ、口からカップ酒吹く。
「総理目指すんかい!」
「余は本気じゃ。次なる戦場は……国会じゃ!」