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生徒心得(Ⅱ).嵐の部活動②



「………真澄くん?……なにしてるの…?」


「え、えっと…その………」



彼の目が泳いでいる。

言い出しにくいことでもあるのかな…。



「なにか、美術室に用事?」


「う…えっと………」


「あ、忘れ物とか?」


「や………そやなくて………!」


「わかった!じゃあ、道に迷ったんだ?」


「いや、それはちゃいます」


ちゃうんかい。



うーん。じゃあなんだろ……って。

いつの間にクイズ形式に?



用件はわからないけど、

ここから動く気配もないしなぁ……。



とにかく、渡り廊下の時といい、今といい、

びっくりする登場の仕方はやめてほしい。



あ、そうだ。

これは言っておかなきゃ。



「あの…まだ知らないかもだけど……

【用事がない教室に立ち入ってはいけない】って、校則があるんだよ」


「えっ」


次第に青ざめていく彼の顔色。

具合でも悪いんだろうか……?



「いや、ちゃうんです!

あ、あの………そう!け、見学で………」


「見学?もしかして………美術部の?」


「そ、そうです!

…見せて…もらっても…ええですか…」


だんだん小さくなっていく、真澄くんの声。


先ほどまで青ざめていた顔は、

紅葉のように赤く染まっている。


やっぱり忙しない人だな。



それにしても…。

噂の転校生が、美術部に興味があったとは驚きだ。


その身長を活かして、

スポーツしようとは思わないのかな。

流星もだけど。



「うん、もちろん。

あ、一応私が部長なんだけどね。

見学大丈夫だよ」


「ほ、ほんまですか……!」


「うん。

でも、まずは職員室で、顧問の竹中先生に許可もらってきてね」


「!! ハイっ」



彼の顔が、ぱっと晴れやかになった。



「あ、場所わかる?ついていこうか?」

「いや、迷子やないんで!!」


反応早っ。

どうしても方向音痴扱いは避けたいらしい。



そして職員室へ向かおうと、

今にも走り出しそうな彼の背中に告げる。



「廊下は走らないでね」



「!!!! …ハイ」


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