生徒心得(Ⅸ).後夜祭③
…んー、なんて声かけよう。
かける言葉が見つからず、
流星の背中をトントンとしてみた。
流星は、バッと私の手を振り払うように、
勢いよくこっちを向いた。
「しつけー、だからついてくんなって!!」
私はびっくりして、
振り払われた手を、もう片方の手で支える。
「………………って、しーちゃん?」
「あ……ご、ごめんね」
「や……ちがう、アイツらだと思ったから…
……ごめん。いたい?」
流星が、心配そうに私の手を見る。
「ううん…大丈夫だよ。…どこ行くの?」
「……べつに。
つまんねーから、ぶらぶらしとこーと思って。
しーちゃんは、なんでここいんの」
「や、流星に謝りたくて……」
「は?アヤマル?なにを」
「お化け屋敷以降、元気なかったから…。
…怒ってるんでしょ?私のせいで…。
せっかくのお祭りなのに、ごめん」
流星は、一瞬眉をひそめた。
あー、かえって怒らせちゃったかな…。
「…しーちゃんのせいじゃねーよ」
「……えっ、そうなの?!」
えー!
全く無関係なら私…ただの勘違いヤロウじゃん!
もー、恥ずかしいじゃないか。
私の「ごめん」を返して欲しい。
「じゃあ、どうして?」
流星は顔をしかめており、
言うべきかどうか、悩んでるみたいだ。
「あ、べつに言いにくいことなら……
「…から」
「え?」
「…………悔しかったから。
アイツがしーちゃんのこと見つけたの。
しーちゃんのこと助けるの、オレの役目なのに」
え。
「えーと………それが理由?」
「なに。わるい?」
「いや……うん、まあ………」
「なんだよ」
…つまり、拗ねてたってこと?
私のことが見つけられずに?
言い方も相まって、まるで……
まるでっ……………!!
「『弟みたい』、とかおもってるしょ、オレのこと」
「なんでわかるの!?」
「はぁ…」
…また呆れ顔で、ため息をつかれてしまった。




