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生徒心得(Ⅷ).南条祭③



展示の様子を十分に見られたため、

私たちは別館を出て、本館に戻る。


「そろそろアトラクション系いきたいよねっ」


MAPを見ると、

定番の輪投げやスーパーボールすくい、

迷路や脱出ゲーム、

家庭科部のハンドメイド体験…

手作りジェットコースターなんてのも。


たくさんの種類の出し物があり、迷ってしまう。



「ね。オレ、これがいー」


流星が、目の前の多目的室を指す。

その窓には、おどろおどろしく、垂れた血のような字体で[地獄体験ツアー]と書かれた看板が掲げられている。



「え゛。じごく……ってこれ、お、お化け屋敷では…?」


流星、私が怖いの苦手なの知ってるくせに…!



「あーここ知ってる!3年1組のお化け屋敷だね。

3教室分くらいの広さあって、内容も評判いいらしいよ」


「へぇ、よう出来とるんですかね」


「アレ?すっごい行列って聞いたけど…今並んでないね」


「気になる」


ああ、みんなが興味を示している…!

入る流れになってしまう…!!



「で、でででも!これ、3人までだって!

4人じゃ無理だね、あーザンネンダナー」



私は『室内狭いので、1回につき最大3名まで』という注意書きを見つけ、諦めるよう必死に促した。


が…



「ペアになりゃいーじゃん。この前のボウリングと同じチームで」


「オイ。なに勝手に決めてんねん。今度はちゃうペアでいくで」


「は?お前とペアなんでヤダし」


「なんで俺とお前やねん!!」



まって!

2人で、なんて余計怖い!!!



「ごっめーん!アタシ、暗いとこムリなの!」



2人の喧嘩を止める余裕もない私に代わって、

凛が間に入ってくれた。




よかった、助かっ……

「だからぁ…、3人でいってきて⭐︎」


口を挟む間もなく、凛が「3名ですー」なんて言って、勝手にチケットを購入し、私たちの背中を入口側へと押す。



「じゃ、楽しんできてねーー!!」



「まってよ!私も怖いトコなんて…っ

「しゃーね。じゃ、いこ、しーちゃん」

「えっいや…

「栞さん、怖かったら、俺によっかかってくださいね」

「まって、押さないでっ

「触んなバカ」

「バカ言うなアホ、お前こそ手ぇどけろ」



両脇でガヤガヤとされ、私の声はかき消されていく。

少しずつ、入り口へ押し込められる。



そして…



……パタンと、静かに扉が閉まった。


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