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生徒心得(I).幼馴染と転校生と④



「あ!んなことより栞!

今日一個下の学年に、転校生がくるんだよ!」



凛が興奮気味になる。

…学年が違うのに、なんでそんなに盛り上がれるんだろう。



「あー、聞いたよ。流星のクラスなんだって」


「え!そうなの!?

高身長!黒髪!関西弁!の、イ・ケ・メ・ン!らしいよ!!!

事前見学きてる時にすれ違ったって子の証言!!」



…あー、そういうことか。


自称[イケメンウォッチャー]の凛は、

手を組み、目を輝かせている。



「ふーん、転校生って男の子なんだね」


「えー。ぜんっぜん興味なさそう。

ま、そりゃそうか。

栞にはイケメン旦那がいるもんねー」



すかさず「旦那じゃない」と反論したけど、

響いている様子はなく、効果は期待できない。



それにしても……

情報を仕入れるのが早いな。


髪色や身長は一目でわかると思うけど…

すれ違った程度で、使ってる方言まで把握できるもの?



「というか【染髪禁止】なんだから、

黒髪なんて、ほとんどみんなそうじゃない」


「栞はわかってないなぁ。

黒髪の[イケメン]ってのが大事なの!

そこらの男子の話とは違うの!」


「ちょっ、凛!声大きい!抑えて!!」


他の男子生徒の耳に入ったら、怒られちゃうよ!



私が恐々と辺りを見まわしているのに対し、

当の本人は全く気にしている様子がない。



「イケメン転校生…絶対見たい!!

はぁ…いつになるかなぁ。

なんでうちの学年じゃないのー!」


「うちの学校、あんまり他学年と会えないもんね」


「そう!フロアにもいっちゃダメとかさぁ…。

ほんと窮屈っ」



…しばらく文句を言っていた彼女だったが、

黒板上の時計を見て「あ」と漏らす。



「ってことで栞!

流星くんに、転校生と友達になったらアタシに紹介してって言っといてね!」



そして、元気に自席に戻って行った。



同時に8:40の予鈴が鳴り、

校則通り私も【予鈴で着席】をする。



今日も、規則通りの高校生をやれていることに安堵した。



私にとっては、イケメンだの、転校生なんかよりも、

そのことのほうが重要なんだ。



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