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生徒心得(Ⅵ).勝負の行方②



……全部のピンは倒れていなかった。

でも、何本倒れたのか、目視ではすぐに把握できない。



「…………」



私たちは、無言で頭上の液晶を見あげ、

映し出される倒ピン数を待つ。



『テレレッテレー』



呑気な音と共に、表示された数は……



「……………ろ……



6本……?」



最終投球で、真澄くんの倒したピンが、

5本以下なら、流星の勝ちで決着。

7本以上で、真澄くんの勝ちで決着……



…のはずだった。



「185点……」


「ってことは…」


「………引き分け、やな」



「…………」



なんとも言えない空気が、私たちを包む。

決着がつくと思っていた。予想外だった。



「…オイ。なんで6本なんだよ」


「しゃーないやろ。ほな今から風圧送ってもう1本倒したろか?」


「もうねーよ。バーカ」


また始まった。



「ちょっと。もう終わったんだし、

お店の迷惑になるから速やかに撤収するよ」



私は、2人に背を向けて、片付けの準備を始める。


すると流星が、私の腕をつかんで、

自分の方に軽く引き寄せる。

いきなりのことで、バランスを崩しそうになった。



「じゃ、しーちゃん。

予定通り、南条祭はオレと回ろっか」


「よ、予定…?ん?ってか、結局私と回りたいの?」


「…そんな約束しとったんですか、栞さん」

 

「え?いや…記憶にないけど…」


「してたじゃん、前世から」


「はあ?ほな俺かて、前前世で約束しとったから。こっちが先客やわ」


「あ、前前前世だった」


「すまん、数え直したら前前前前世やったわ」


…いや、いつまでやるんだ。

くだらなさすぎる。



「もー!2人ともうるさい!!」


私は、我慢の限界がきた。


「南条祭はみんなでまわる!

凛もふくめて、4人で楽しくね!

それでいいでしょっ、はい、決まり!」


2人の手に、各々の荷物を強引に手渡した。



不服そうな2人と、

ニヤニヤ見てるだけの凛を連れて、店外へ出る。


その後は、

有名チェーン店のファミリーレストランで昼食をとり、解散となった。



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