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生徒心得(I).幼馴染と転校生と②



「おはよー。しーちゃんは今日も完璧だね」



あくび混じりの声で、

隣の家の玄関から出てきたのは……



斉藤 流星(さいとう りゅうせい)

同じ南条高校に通う、高校1年生。帰宅部。



互いの親の仲が良く、

流星とは物心つく前から、ずっと一緒に過ごしている。


いわゆる、幼馴染というやつ。



私目線で、彼の性格を表現するなら、


気分屋・ワガママ・お子ちゃま

生意気・自分勝手・憎たらしい……


こんなワードがぴったり当てはまると思う。



しかし、意外なことに流星は、

ルックスの面で女子人気が高いらしい。



私の友達いわく……


『182cmの高身長、

生まれつきにパーマがかったようなふわふわで少しブラウン味のある髪、

切れ長の目、スッとした鼻筋、シャープな輪郭。


こういったところが評価できますね!』


…とのこと。



流星といると、

たまに女の子たちの鋭い視線で痛い時がある。


そういう子達は多分、校則がある手前で、

表立った主張をしてこないんだと思う……けど。



それ故に、私は弁明チャンスを失っている気がする。

聞いてくれれば「幼馴染だから一緒にいるだけ」って、声を大にして言うのに。


……言ったところで納得してもらえるかは別として。




そんな流星と登下校を共にすることは、

小学生からの日課。



………そして。



「ねえ、流星………。

なんっかい言ったらわかるの?


【本校指定のネクタイを着用すること】!

【規定のブレザーには、校章ピンバッジ付けること】!!


あと普通にだらしないから、

シャツの裾はしっかり入れなさいってば!」



……この幼馴染を規律させるのも、

私の日課となってしまっている。



「だって、めんどいもん。

オレがつけたらまっすぐになんねーし。

だから今日も、しーちゃんがつけて?」



いくつになっても甘えたことを言う流星に、頭を抱えた。



「もう…

ちょっとは自分でできるようになりなよ。

そもそも、なんで毎日、コレも外しちゃうの」


受け取った校章を流星に突きつける。



「つけっぱなしにしとけば、

こんな手間はかからないでしょ?」


「んー……」



流星は少し悩むそぶりをして、

チラッと私を横目で見てくる。


「ん?……なに?」



流星は、たまに…いや、頻繁に。

何を考えてるか分からない時があるんだよな。



彼は「ふっ」と笑って……



「しーちゃん、コワイ。

ビシッとするのは、名前だけにしてほしい。

シンメトリーおばけ」



はいはい。

私の名前の漢字(田中栞)が、

左右対称(シンメトリー)だからね。



だから、シンメトリーおば…



「おばけ!?…って、名前は今関係ないでしょ!

それに、私の目的は校則の厳守であって、シンメトリーでは…


「ねーねー、早く行かないと遅刻する」



熱弁する私にお構いなく、

スタスタと歩いていく流星。



………くっ。

なんて腹立たしい背中なんだ。



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