ヨハネスとジャドウ!知恵者同士の激闘!
金髪のストレートロングヘアの白人美少女が指を立てて言った。
「今回の不動たちが消えた騒動の原因は君とスターだね?」
少女が碧い目を輝かせて見つめる先には白銀の軍服を着た老紳士がひとり。
老紳士は白髭を撫でて頷く。
「左様。ヨハネスよ。お前は本当に小賢しい童よ」
「君に評価されるのは光栄だね、ジャドウ」
ヨハネスと呼ばれた美少女(?)の前には大量の空皿が山と積まれている。
全て彼女が食べつくしたものだ。
一方のジャドウの前には空になった酒のボトルが置かれている。
大食いと大酒飲みの両者は会話を続ける。
「川村君が空間移動をされたのを見たとき、嫌な予感がした。
その後独自に調査をしたらメンバーが次々に転移されているのを知ったんだよ。
こんなことができるのはスターしかいない。
ただ、彼は自分から動くタイプじゃないから、側近である君の入れ知恵だと考えた。
それでは、目的は何か? メンバー全員を消滅させたい? 違う。
そんなことをすれば地球が大変なことになるからね。君たちはカイザーだけを潰したかった。
スターは彼の人気に嫉妬しているぐらい僕でもわかるからね。
他の皆が転移されて戦闘させられていたのは彼をおびき出すための囮さ」
「そこまでわかっているなら話は早い。吾輩が現れた用件はわかるであろう」
紳士は白マントを羽織って立ち上がる。黒い両眼には底知れぬ敵意がある。
ヨハネスは穏やかに椅子から腰を浮かして起き上がった。
会計を済ませてふたり並んで店を出る。
青い空に白い雲、穏やかな太陽が注ぐが、ふたりの間の空気は張りつめている。
「ここだとお店の人の迷惑になる。どうかな、もっと広い場所で」
「ならば異世界などいかがですかな?」
「賛成だよ」
ヨハネスが同意した途端、ふたりはその場から姿を消した。
「貴様はいつも大飯ばかり食らい吾輩を苛立たせる!」
「仕方がないだろう。頭脳労働には栄養、特に糖分が必要なんだ」
「お前は自分が食べたい理屈を並べているだけだ。吾輩には理解できぬ!」
「ものを食べない君にはわからないよね。わかる気もないだろうけど」
「減らす愚痴ばかり叩きよる。お前の外見を視界に入れる度に反吐が出る」
「吐くなら他所でお願いしたいね」
☆
異世界に転移されたふたりは激闘を繰り広げていた。
ジャドウが腰に携帯している剣を引き抜いて斬りかかればヨハネスが真剣白羽取りで受け止め、叩き折る。
ヨハネスが裏拳を見舞えばジャドウはそれを受け止め腕を捻り、逆に極める。
スター流の実力者同士の決闘は互いの手を知り尽くしているので、長丁場になる。
逆腕をトンボ返りで逃れたヨハネスは手刀を振るってきた。
ジャドウはそれを全て捌いて無効化する。
「お前の攻撃は一辺倒で芸がない」
「君にだけは言われたくないね。それに僕は進化しているよ」
ヨハネスの腰まであるストレートロングヘアが鋭い剣状となりジャドウを襲う。
無数の髪の毛の刃に身体を貫かれるがジャドウは不敵に笑っているだけだ。
「お前がどれほど進化しようとも不死身の吾輩は倒せぬ」
「どうかな?」
ヨハネスは再び髪を伸ばしてジャドウの両手足を拘束した。
ジャドウが暴れると深く四肢に髪が食い込み絞める。
ヨハネスは美しい顔立ちで微笑した。
「どうする? ジャドウ=グレイ」