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星野天使の登場!スターの最期!

「え……」


スター=アーナツメルツは絶句した。ジャドウが星野に一撃で倒されてしまったからだ。

仮にもジャドウはスター流三本の指に入る実力者のはずなのに。


星野はただスター流に入っているだけでスターの弟子ではない。

助っ人的な立ち位置でたまに戦闘に介入してもらうだけだ。


不動によると漫画やヒーローショーとカレーパンが好きで特訓などもしていない。

なのにジャドウを倒した。


スターは自分の価値観が根底から覆されるような感覚を味わった。

ふと、窓から外の景色を眺めてスターは動きを止める。


スターコンツェルンの最上階の会長室の窓の外に星野が浮遊しているではないか。

トロンとした半開きの瞳は完全に見開かれ、覚醒している。


拳がガラスに打ち込まれ粉砕され、星野はふわふわと室内に入ってきた。

土足のままでふわりと床に着地して言った。


「スターさん。カイザーさんの人気を妬む気持ちはわかりますが、大人げないです。

あなたは彼の師匠でしょう」

「それはそうだが、これ以上人望が失われるのが我慢できないんだよ」

「もともとあなたに人望はないでしょう」

「ジャドウ君には信頼されて……」

「彼だけですよ。あなたを妄信しているのは。もういい加減引退してください」


冷静に淡々と事実のみを告げてくる。

星野はボクシングの構えをとる。スターは指を鳴らして全世界の時空を停止させる。


これで相手は何もすることができない。勝負ありだ。

しかし、相手は星野天使である。


時間を止めたにもかかわらず腕が伸びてきて、スターの頬に強打が命中した。

油断しきっていたスターは壁をブチ抜いて吹き飛ばされる。


「能力に頼るなと言っていたあなたが鍛錬を怠り能力に憑りつかれた。悲劇ですね」

「堕天使の君には言われたくないねえ」


サラッと禁句を口にした。スターは「あ」と呟く。滝のように汗が流れる。


「今の言葉、もう一度言ってください」


星野が無言で泣いている。強烈なデジャヴだ。

スターは落ち着き払った風で繰り返した。


「聞こえなかったかね? 堕天使の君に言われたくないと――」

「天使のアッパアアアアアアアアアアアアッ!」


防御回避不可能の一撃がスターの顎に命中し、彼は会長室の天井を突き破って大空へと高く昇っていく。


大気圏を抜け、地球の外へ到達し火星をも通り過ぎていく。


「自業自得です。スター流はカイザーさんが立派に運営していきますから、あなたは宇宙旅行でも楽しんできてください。今回の騒ぎで犠牲になったメンバーは僕が蘇生させますからご心配なく」


星野の拳によりスター流を腐らせてきたジャドウとスターは追放され、カイザーが新会長へと就任し、騒動の幕は閉じた。


おしまい。

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