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化物列伝ピカタ三四郎  作者: ピカタ三四郎
第二章
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閑話休題 城下町と真白



 授業が明け昼休み、廊下で城下町少年と真白が歩いている。

 彼らは先ほど、例の事件の仲直りをしていた。


 狂人(ハードパンチャー)に襲われた日の事、少年は助けを求める彼女をその場に背を向けたのだ。三四郎を呼びつける目的もあったのだが大きく弁明をすることも無かったため、これが禍根となり、少年は暫く口も聞いてもらえない状態になっていた。然し、あまりにも惨めそうに俯く少年を不憫に思い、無視を慣行していた彼女の方からその打診があった。怖かったのはお互い様、私も大人げなかったと、彼女の方が一つ大人の先手を見せた。少年はこれに甘える形で容赦を貰い、何度も己の非を述べては感謝の言葉を繰り返した。



「ほんまにすまんかった」

「いいの、もう終わった事!」



 するとそこに二人の談話を認めた三四がやって来て、いつもの三人になった。この三人は学校でも結構目立った存在であり、特に少年少女に関しては化物と常時行動を共にしている事が原因で、様々な噂の種となっていた。

 やれ「化物の親戚筋」だの、やれ「悪巧みを企てる幇助」だの、人のアレコレに敏感な年頃が集まっているので自然と言えば自然であったが、変事に見舞われ遣り過ごした二人にとっては些細な問題であった。とは言うものの、同じく廊下を歩く生徒たちはすれ違い様にギョッとし、化物の身長に一瞬だけ顔を上げ直ぐ戻すを見ると、何とも靄のかかった気持ちになるのであった。そういう事に気を取られていると、上の方から声が降ってくる。



「ねぇねぇ、真白ちゃん。城下町君と何してたの?」

「ちょっと話してただけだよ」

「へぇ~、城下町君は真白ちゃんと何してたの?」

「ちょっと喋っとっただけやで」

「へぇ~」



 二人は二人とも、互いに隠す必要もない事であったが、仲直りした手前険悪な雰囲気だった頃の話をぶり返すのは何となく恥ずかしい気がしたため、やんわりと誤魔化しあった。それを見て首を傾げる三四であったが、特に得られる情報が変わらないことが分かると質問を止め、何が楽しいのか口笛吹きつつニコやかに並んで歩いた。



「三四ちゃん、嬉しそうだけど何かあったの?」

「ん~? 何か二人が久しぶりに喋ってるから嬉しくなっちゃった」

「そんなことで?」

「最近、会ってもなさそうだったから」



 これを聞いて、少年少女は隠し通したはずの秘め事がバレている事に気付き、同じタイミングで赤面した。余計な勘繰りをされては堪らないと直ぐに少年が口を開く。 



「いやいや、そんなことあれへんで!」

「そう?」

「そらもう、俺たちの仲良さと言ったら噂になるぐらいやし」



 少年は言ってから、「盛り過ぎた」と焦った。そおっと、少女を様子を盗み見ると、眉を寄せ口も「え」と「う」の間の形に曲がっており何を言いたげなのかありありと取れた。機嫌を直してもらった矢先に、とんでもない失態を犯し途方に暮れる少年。少しソワソワして次の言葉を考えた。



「いや、ちゃうねん。俺らは元々仲良しで、だから仲が悪なってた訳やのうて」



 出る言葉出る言葉でやらかす。もう少年自身もパニックになって、手振り足振り懸命な言い訳で無茶苦茶言い立てた。そんな様子が少し可笑しかったらしく、三四はクスクス笑うと、一言。



「お昼ご飯まだでしょ? みんなで食べようよ」



 これが鶴の一言になり、これ以上情けない姿を晒しては精神が持たないと涙目になっていた少年は救われた。少女の呆れ顔は最後まで治ることなかったが、溜息を一つだけ吐くと気を取り直し昼食場所の選定に切り替えた。





 異変に巻き込まれても、それでも尚学校生活は愉快に過ごせている様子だった。



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