ウスターリア愛国者 その前日譚
ウスターリア共和国国防軍の軍人として活躍する女性『ミノル・ミツオカ』の物語———が始まる前の話です。
物語というより資料みたいなもので、セリフとかはないです
筆者は初投稿なのでテストも兼ねています
聖歴2568年、イングル王国・ラファン共和国・メリゴ合衆国・エトロニア王国などと、ジェマ帝国・ウスターリア及びマジュリー帝国・ヴァルガール王国・オットーマ帝国の間での『大戦争』は、前者の側に有利な条件で講和が始まろうとしていた。
まもなく敗戦国となるジェマ帝国では、自国の領土に全く攻め込まれることがなかったにも関わらず敗北が伝えられ、国民は衝撃を受けた。戦争終結の直接のきっかけが兵士の反乱だったこともあり、ジェマ帝国敗戦は裏切り者——主に共産主義者や、エディー人という民族——のせいであるという風説が広まった。さらには共産主義そのものが『国際エディー人』の企みであるという陰謀論も、一部の人間から支持を受けた。
その中の1人がミハイル・ダイムラーというウスターリアの若き民族主義者だった。彼はウスターリア及びマジュリー帝国やジェマ帝国を支配してきた『ガルマ民族』の一員であり、もともと異民族に対する差別意識が強かった。ウスターリアの講和会議が始まる直前まで、敗戦を好機とみて反乱を起こした諸民族に対し、軍の一員として徹底的な鎮圧を行い、とくにエディー人に対しては、同じ民族であるジェマ帝国を敗戦に追いこんだと思い込んでいたため、虐殺といっていいほど容赦のない殺戮を行った。
しかし彼のような考え方を持つ政治家も市民もそれほど多くはなかった。新たに共和国として生まれ変わったウスターリアは、社会民主党が主導する左右両派の連立政権となったのである。
その社会民主党の党首ははカール・レントゲン。ミハイルは軍人として人間離れした能力を持っていたため、共和国の軍人としてカールのもとでコードネーム『ゼロ』として働くことになった。翌年ミハイルは憎き共産主義者たちとの闘いで、またも敵を皆殺しにしたが、その後まもなく行方をくらました。
一方カールも相当な高齢のため政治家を引退し、その意志は孫娘のアグネス・レントゲンに引き継がれる。彼女は社会民主党のナンバー2にして穏健派のリーダー的存在となる。
そして、ウスターリアの軍隊であるウスターリア共和国国防軍に、ミハイルに匹敵する超人的な軍人が数人加わり、『特殊部隊』が編成される。その中で女性でありながらエースと呼ばれたのが、コードネーム『ゼロワン』——ミノル・ミツオカである。
本編『ウスターリア愛国者』では、まずプロローグとしてゼロの戦いを少し書きます