ご褒美
レオンは私をベッドの中央に置いた。そしてそのまま私に背を向けると、ベッドの端に腰掛けた。
「レ、レオン?」
「エレノアは僕がこれをもらって嬉しいと?」
「う、嬉しくないのですか?!」
いや逆にこちらが聞きたいです。世の中に現金をもらって嫌がる人などどこにいましょうか!
「嬉しくありません」
あぁ、ここにいらっしゃいますね。
レオンは壁を見つめたまま言った。華奢だと思っていたが、こうして間近で見ると男性らしい広い背中をしている。
「あ、あの、こちらを向いていただけませんか?何か齟齬が生じているようです。話し合いをーー」
「今そちらをむいたら僕は君をどうするかわからないが、それでも?」
えぇ?もうこの王子の考えがまるで読めないのですが。
「レオン、一体どうされたのです」
「どうしたもこうしたもありません。君に会えるのを心待ちにしていたというのに、やっと会えたと思ったら何だこれは。だいたいなぜ昨日はこちらに帰らなかった」
「大仕事の後ですし、お互いゆっくりする時間も必要かと思いまして」
「一緒にいてはゆっくり出来ないと?!」
レオンが珍しく声を上げる。本当にどうしてしまったんだろう。
「お言葉ですが、私はこれでも一応気を遣ったのですよ。レオンはあの日、コロンから馬に乗り碌に眠らず王都へ。王宮でも大変だったのでしょう?仕事から離れてゆっくりする日があっても良いではありませんか」
「僕にとってエレノアは仕事ではありません。君はまだ僕をビジネスパートナーだと思っているのですか?」
それ以外に何が。
「レオンは違うのですか?さっきから何なのです。言いたいことがあるのならもっと建設的に」
ドサッ!!
レオンは私の言葉を全て聞かずに振り向き、そのままベッドに押し倒した。
「僕は昨日、この部屋で一人で眠りました」
「はい???」
「貴女をこうして抱きながら眠りたかった。目覚めるとエレノアの顔が隣にある、そんな朝を迎えたかった」
「そ、それは、クロエ無しでですか」
「当然でしょう。どこに使用人を挟んで眠る夫婦がいますか」
いや、おりますが何か。
というか、そのキレイな顔をそれ以上近づけないでください!
「話はわかりましたわ。ではご褒美は添い寝、ということにいたしましょう」
「だからなぜそんなにビジネスライクなんだ」
「でもお望みなのでしょう?」
レオンはものすごく微妙な顔をして私から離れた。
「……やめる」
「え?」
「やはりやめます」
「な、何なのですか!」
女性に添い寝という難題を飲ませておいて、やめる?!
「そんな風に一緒に寝られても嬉しくない」
「ではどうしろとおっしゃるのです。先程からワガママですわよ。何をすればお喜びいただけますの?」
レオンを振り回してしまったのは自覚しているから、少しでも喜んでもらいたいのに。
「僕が喜ぶこと?」
「はい。私は現金でも十分嬉しいですが、そうではないのでしょう?」
「僕が喜ぶことはね、こういうことだよ。エレノア」
ぎしっ。
ベッドが軋む音。
レオンの顔が再び急接近する。と思った瞬間その距離はなくなり、唇が触れ合った。
「?!」
温かく柔らかい感触に心臓が跳ね上がる。
「わかりましたか?」
意味不明ですわ。
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