表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/94

商談開始

 あと二刻ほどでコロン城だろうか。城に着く前に確認しなくてはいけないことがある。


「レオン、お伺いしたいのですが」

「なんですか?」

「チリオスタ殿下がコロンとの交渉を報告なさった時、レオンはその場にいらしたのですよね?」

「あぁ。父とグロリアス兄上もいた」

「その際、コロン城の地図はご覧に?」

「もちろん。少なからず王城にも被害が出ていたそうですから、状況説明のために見ましたよ」

「食料庫の位置も載っていましたか?」

「確かに載っていましたが、そこは水没して備蓄の食糧はほぼ壊滅状態だったそうです」


 その時、馬車が急停車した。


「殿下、お嬢様。クロエにございます!」

「クロエ!」


 クロエはコロンとグルフレンの過去10年分の交易資料を手にしていた。


「ありがとう、助かったわ。ところであなた、どうやってコロンへ入ったの?」


 国使でもないクロエが国境を超えられるはずがない。


「国境の警備兵にお金と食糧を。ご満足いただける分だけお渡しいたしました」


 賄賂か。


「あなたも悪いわね」

「win-winでございますよ。それよりも至急お耳にお入れしたいことが」


 クロエはグルフレンの状況を語った。


「グロリアス兄上が派兵を?!まさか、なぜ!」

「治安維持を謳っておりますが真意はわかりかねます。現在急いで準備をしておいでですが、数日中にはこちらに軍がやってきましょう」

「エレノア、兄上が動いたとなると僕にはどうにも出来ない。引き返そう」

「いえ、このままコロン城へ」

「何?」

「こちらが先に話をつければよいのです。それに私はあの町の者たちと約束しましたから。ここで引き返せば信用問題に関わります」

「貴女はぶれないな。わかりました、最後まで付き合いましょう」

「ありがとうございます。ではレオン、至急打ち合わせを。今回の件は只事ではありません。貴方の力が必要なのです」




 クロエは先に帰らせ、私たちはコロン城へと急いだ。

 到着したのは夕刻だった。


「公王陛下、遅くなり申し訳ございません。グルフレン国使、グルフレン=レオンと我が妻エレノアにございます」


 レオンは最敬礼をする。私は半歩後ろでそれに倣う。


「長旅ご苦労である。が、何度来てもらっても同じこと。そちらの提案は飲まぬ」


「公王陛下、我々は商談に参りました」


 レオンがすっと顔を上げる。


「商談?何を言ってる」

「小麦を買っていただきたいのです。国民が1年間飢えずに済むだけの小麦を。これは町で集めた署名です。多くの国民が飢えている。国境を開き、小麦の輸出許可をいただきたい!」


 イケメンの啖呵はかっこいいですね。声をどんどん大きくして盛り上げる、というポイントもきちんと守れていますよ。


「国民が飢えずに……それは儂の願うところでもあるが、国庫には本当にもう金がないのだ」


「では物々交換はいかがですか?」


 私はレオンの隣に歩み出る。


「私たちはL&E商会という商社を設立しております。弊社から貴国に小麦を貸与いたします。返済はカオカオで、毎年無理のない範囲で返していただければ」

「カオカオで?」

「はい。10年でも20年でも構いません。その年に穫れたカオカオの余剰分をお納めください」

「返済はカオカオで、しかも無期限ーーしかし君たちにとって一体何の利益が?」


「カオカオの大ファンなのですわ」

「はは、妻はカオカオに目がなくて。それに陛下、無期限ですが、無利子とは申しておりませんよ」

「何?利子?」

「はい。返済期間中のミスリル兵器の開発中止・使用禁止を利子として要求します」

「な、なぜそれを!!」


 公王は玉座から立ち上がった。

 あぁ、この反応。やはりそういうことだったのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ