リオンは外へ?
あれから三週間、勇者として覚醒し聖剣の力を使う事ができるようになったリオンはダンジョンから出る・・・事もなくまだダンジョンにいた。
その理由はラナが保管していたスキルオーブである。
「こっちのは【剣術】そっちは【魔力制御】とりあえずその2つを使いなさい」
【剣術】剣を使った攻撃がしやすくなる。
【魔力制御】自分の魔力を制御する。
言われるがまま2つのオーブを握りつぶす。
「これで《スキルは得た》けど十全と使える訳では無いわ」
「うん。それは何となくわかる」
さっきより剣を振った時にブレが少なくなったような気はするがたいして変わってないようにも感じる。
「スキルオーブはあくまで切っ掛けと可能性を与えるものであって力を増大するものでは無いと言う事を忘れないで」
こくんと肯く。
「では修行に戻りましょうか」
「・・・ん?外に行くんじゃ?」
「え?何言ってるのよ?ここならお腹いっぱい食べれるし、回復できる泉がある上に魔物がたくさんいるのよ!ここ以上に鍛えるのに向いてる場所なかなか無いわよ!!」
なるほど。確かに・・・ってあれ?そういえば何で鍛えてたんだっけ?よく考えたらラナ持てるようになった時点でもう目的は達してたような・・・
「外で生きてくのにも力が必要よ。ただでさえリオンは後ろ盾も無いんだから、権力に対抗できるだけの力を持って出ないと全部持ってかれるわよ!」
え!?そんなに外って物騒な場所なの?全然ダンジョンの中の方がいいじゃん!
「わかった!」
こうしてリオンの修行が再開されたのだった。
「もう【限界解除】使わなくても楽勝みたいね」
このダンジョンのボスであるドラゴンを一刀で切伏せた俺にラナが言った。
「まあコイツとはもう戦い過ぎて行動パターンも把握してるしこのくらいわね」
この三週間でスキルを追加して【投擲】【治癒魔法】そして【スミス】を覚えた。
【投擲】は投擲攻撃する時に命中補正が出る(体感的に)ようで、ナイフやその辺の小石を投げつける時にも効果があるようだ。
【治癒魔法】は魔力により細胞を活性化させ傷や怪我の治療をする魔法だが正直ほぼ怪我しないし泉があるのでここではほとんど出番が無い。
【スミス】は鉱石から武具を作り出すスキルで投擲用のナイフ(手裏剣のような物)を作るのに使っているがラナから
「私という物がありながら!」
と浮気を責める妻のような事を言われた。
ラナが目立つから一応予備の剣にロングソードは一本作ったけど。