奴隷少年の終わり
落とし穴から落ちて…いや聖剣に扱かれて約半年【限界解除】を使用しても多少怠い程度ですむようになっていた。
「そろそろいけそうね」
「やっとか…長かった…」
もうここでどのくらい魔物を倒したのか覚えてない。
「何言ってるのよ。普通こんな短期間にここまでなれる人なんかいないわよ!」
「…そうなのか?」
「そうよ!リオンは自分の異常さを理解しなさい!」
「まあいいや【解除】…ぐっ!」
【解除】を発動すると同時に全身に何かが暴れながら駆け巡るのを感じる。
「意識を保って!力の流れを制御して!失敗したら死ぬわよ!」
「かっ!…制御?」
「集中して!頭の先から肩、手、腹を通って足に巡るイメージで力を制御して流して!」
「頭の先…肩…手…」
ラナに指示に従い暴れる力の奔流を制御していく。
「…凄い…もう制御し始めてる!」
ラナが驚きの声を上げている。
「ビギビギッ!」
力の流れに耐えきれなくなった隷属の首輪が音をたててた崩れ去った。
「ふう…」
何とか制御する事には成功したようで暴れまわっていた力の流れが随分と大人しくなった。
「あれ?」
何か違和感を感じ首の周りをさわると…ない!?
「凄い集中力ね…首輪壊れたの気が付かなかったんだ…」
「壊れた!?え!?」
あの首輪どんな仕組みかわかんないけど【解除】したくてもできなかったんだよな。
「他人の首輪ならリオンでも【解除】できるんでしょうけど自分のだと禁則事項に触れるからできないのよね。」
「前に比べて随分体が軽い気がする。」
その場でぴょんぴょんと跳ねるとさっきまでとまるで感覚が違う。
「もちろん勇者の力が開放されたのもあるけど、隷属の首が外れた事も大きいのよ」
「え?あれって命令を聞かせるだけの物じゃないの?」
「あれは人の思考を読み込むと所有者からの命令を実行させる機能があるの。」
うんそれはなんとなくわかるけど…
「つまり自分が行動する度にその機能が入るから思考から行動までにタイムラグが発生するのよ。」
ん?つまり考える→首輪(思考読み込み)→首輪(判定)→行動って事?
「えーとそれって…」
「戦闘の時は命取りね。」
この半年よく無事だったな俺…
隷属の首輪について
わかりにくいかもしれないので補足
隷属の首輪は奴隷に命令を聞かせる機能と反逆防止の為思考を読み込み判別する機能がついています。
なので
行動しようとする(思考)→首輪(思考読み込み)考えている事を読む→首輪(判別)所有者への攻撃及び首輪の破壊行動かどうかを判別→判断の結果可なら行動(実行)不可ならそのまま立ち止まる事になる。
つまり間の2つの処理の時間分タイムラグが発生する。
もし戦闘中に「ついでに首輪も破壊できれば…」とか考えれば行動を停止するという事になる。