奴隷少年は名前を得る
「勇者になった?」
剣を振ったりしてみるが何か変わった様子は無い。
「うーん…聖剣を扱う事ができるという能力だけで他はまだ覚醒して無いみたいね。」
「覚醒…?だったら【解…」
「ちょっと待った!!?」
スキルを使おうとしたらラナリオンが大声?で遮った。
「貴方何しようとしてるのよ!!」
「いや使えないなら使えるように解除しようかと…」
あまりの剣幕に少し竦みながら応える。
「貴方【限界解除】使ってどうなったか忘れたの!?」
「え?」
「自分の最大限の力を出しただけで体がボロボロになったのよ!土台ができてないのに勇者の力なんか覚醒させたら貴方弾けて死ぬわよ!!」
え!何それ怖い!
「ようやく理解したようね」
こくんと肯く。
「安心しなさい私が立派な勇者にしてあげるから。」
あれ?俺いつから勇者になる方向に?
「いや別に勇者にならなくても…」
「何か問題でも?」
「いえ別に…よろしくお願いします。」
この聖剣何か怖い。
「【限界解除】」
ラナ(ラナリオンでは長いからラナと呼ぶようにした)の特訓は至ってシンプルだった。
要は『実戦あるのみ』最初にある程度の剣術の手解きをされた後はこの部屋を拠点に周りの魔物を【限界解除】で討伐しスキルが切れると泉で回復を繰り返し、腹が減ると討伐した魔物を食うと言うラナ曰く無駄がない特訓らしい。
「そういえば貴方名前は?」
「無い…覚えてないだけか元々無いのかわからないがな」
「そう…なら貴方に『リオン』の名を与えましょう」
「リオン?」
それはお前の名前の一部じゃないか。
「私はラナ貴方はリオン二人揃ってラナリオン!いいじゃない?」
何がいいのかよくわからないが否定する理由も特に無い。
「わかった。今日から俺はリオンだ。」
名無しの奴隷だった俺は『リオン』になった。