奴隷少年は・・になる
「おお!凄いな【解除】…スキ…ル…」
呪いを解除できたと驚いたのも束の間、急に力が抜け、全身に激痛が走る。
「い、痛ぇぇぇえぇ!!?」
あまりの激痛に叫ぶがそのせいでさらなる激痛が体を襲う。すぐに立ってる事が出来なくなり湖に倒れ込む。
「な、何で…?」
頭を動かす事もできず目だけで自分の状態を確認する。たしかに全身に傷だらけだが動けなくなるほどには見えない。
「…貴方一体なにをしたんですか!?全身の筋繊維や骨がボロボロですよ!!?」
ようやく落ち着いたのかラナリオンが声をかけてきた。
「筋繊維?骨?…あ…」
思い当たるのはあれだろう落下中の【限界解除】。
「くっ【限界解除】の反動か…」
「【限界解除】一定時間自分の限界以上の力を出すスキルね…なるほどそれならこの状況も肯けるわ。」
ん??何で俺も知らないスキルの詳細を知っているんだろう?
「まあちょうど良かったわね。しばらくそこにいれば大丈夫よ」
「大丈夫?」
仰向けの状態なので今のところ溺れはしないが身動きとれない現状の何が大丈夫なんだろう?
「ここは別名神秘の泉と言って回復を早める力があるのよ」
え?あの黒い水が?今は虹色だから違和感は無いけど
…
「あれは呪いの瘴気が泉に影響してただけよ」
魔王の呪い怖えぇ!?
「何で…こんな所に?」
そもそも何でこんなダンジョンの奥に呪われてるとはいえ魔王倒した剣があるんだ?
「主・・・・が呪いを解く事はできないがせめて少しでも私の自我が保てるようにと…」
名前はよく聞か取れなかったがラナリオンの状態を考えるとその目論見は成功したのだろう。
神秘の泉の効果は凄まじく30分ほど浮かんでいるだけで完全に回復した。
「改めまして助けていただきありがとうございます。」
「まあ偶然だし別に礼を言われるような事はして無いから気にしなくていいよ。」
ラナリオンが礼を述べるが【解除】使っただけで特に何か減ったわけでも無いし。
「いえそういう訳には行きません。」
「ラナリオンはこれからどうするんだ?」
いつまでも続きそうだったので話題を変える。
「…私はここで新たな勇者を待ちます。」
少し考える素振り?をして答える。
「ここで?」
随分落ちて来たけどここ下手したら最下層付近じゃ無いのか?
「はい。私は勇者以外が持つ事ができないのです。」
持てない?ラナリオンの柄に手をのばし握ろうとすると…
バチッ!!!
「痛って!!」
何か電気のようなものが走り思わず手を離す。
「ご覧の通りです。」
くっ!なら!
「【解除】!」
「え?」
また柄を掴むが今度は電気は流れてこない!
「え!?まさか!?」
「よし!成功…!アバババ!!」
握っていた柄からさっきより強力な電気が流れる。
「やはり無理…」
「…ま、まだだ…聖剣を【解除】できないなら!!」
「な、何を!?」
「【解除】!!」
【解除】を俺自身に発動してラナリオンを装備できない状態を【解除】する。
激しい頭痛が襲い、手が燃えるように熱くなる。
「うぉぉぉ!!!」
泉に置かれた台座からラナリオンを引き抜く。
「…電撃は…無い…?」
引き抜くと頭痛は治まり手にも何か十字のような痣ができてるが異常は無さそうだ。
「え?貴方何で勇者に成ってるの!?」