リオンは逆走する
「・・・なんか変な感じ」
フロアボスのミノタウロスを倒しながらつぶやく。
「何がよ?」
「いや、だって扉開けたらボスの背中だよ?」
ボスは入口の方を警戒しているので毎回バックアタック状態で一撃で葬り去る。
「しょうが無いじゃない本来逆走なんてできないんだから」
そう本来フロアボスの部屋は出た瞬間に閉じられ戻るには転移水晶を使うしか無いのだが俺には【解除】があった。
本当なら開かれるはずの無い扉を【解除】で開け侵入そしてバックアタックで瞬殺。道程もラナが知っていたのでたいして時間がかけることなく10階層に到着した。
「ようやく人がちらほら見えて来たね」
「まあこの辺りになると普通の冒険者でも危険が少ないからね」
何人か俺達が入口に向かっているのを見て首を傾げているが関わっては来ないようだ。
「キャー!!」
「ん?戦闘中?」
今までボス部屋に入っても他に人が居た事が無かったが初めて戦闘中に当たったらしい。
「ん?一人だけか?」
ボスは・・・オークキング?いやあれはジェネラルか?
「オークジェネラルの亜種みたいね」
「亜種?」
「たまに出てくる同種族の中でも強い個体のことよ」
「ふーん・・・」
物陰から様子を伺うがどう見ても勝ち目は無さそうである。
「勝手に手を出して文句言われても困るしな・・・」
「キャー!!だ、誰か助けて!!」
泣きじゃくりながら少女は助けを求めていた。
「・・・助けてって言ってるから大丈夫だよな?」
「普通ボス部屋に助けなんて来ないのにね・・・」
ラナは何やら呆れているようだった。




