プレイヤーキャラクターを作ってる時が楽しい
『オーバー・ワールド』
今日発売の期待の超大作だ。このベータテストに選ばれたのはどれも実績のあるプロゲーマーのみ、にも関わらずその辛口の意見など聞かずあるのはただ賞賛のみと言った面白すぎるゲームである。
プレイヤー達はニュクーリアという大陸で冒険をする。ストーリーと言ったものは無く、クエストなどをこなしてレベルを上げて、街の前に立ちはだかるボスモンスターを倒して街に進む。街並みは中世で剣と魔法のファンタジーだ。
攻略サイトやらwikiやら掲示板やらを見て予習していた事を思い出しながらキャラクリをしている。
「性別は流石に男だよなぁ……というかこのゲーム職業何個あるんだ?」
昔VRゲームで自分が女になってリアルとゲームの区別が付かなくなって自分が男か女かわからなくなったという噂話がある。なので性別を変えても良いがその時は自己責任で頼みますといった警告が出てくるので迷わず男を選択。
「さて、どうしようか」
小柄なキャラは下降補正入りそうだけど判定小さくなるだろうし……いや、ここは自分の体の大きさで良いか。顔は渋い系のナイスガイだ。
そして職業と初期スキルなるもの。
「んー、双剣士かサムライだな」
俺のフルダイブ歴は5年くらいだ。その間俺はとある事に気付いていた。VRは両手使えないと腐る。ということに。だから俺のビルドにあっている両手を使える双剣士かジャパニーズサムラーイになった。拳闘士も考えたが、殴るとなるととあるゲームが記憶の引き出しから這い上がってきそうだったのでやめた。
「ここはサムライにしとくか」
ぶっちゃけ両方とも人が多そうな職業だ。それにサムライ経由で覚えるスキルもなかなか強い。
「次は初期スキルかぁ」
こういうスキルはふたパターン存在する。ここでゲットしなくてもゲットできるパターンと、出来ないパターンだ。
それらを踏まえて初期スキル画面にいくと、何やら目の前に箱が現れた。
「10?」
とりあえず突っ込んで何かを掴んだので引いてみるとガチャガチャのカプセルボールの様なものがあった。
そして箱の数字は9へ変化。
「あーつまり?」
この箱から10回ガチャしろと?
「乱数の女神様の事を俺は信用してないんだがなあ」
10回引き終わった。
「これが初期スキル?随分多いな」
2、3個くらいしか貰えないかとおもっt——
選択してくださいというウィンドウが表示された。
クソが。
どうやら持ってけるのは3つまで。
このカプセルボールのスキルは
『アクセル』
使ったその次の一歩が二倍の速度になる(リキャストタイム10秒)
『硬化』
1分間VIT1.2倍(リキャストタイム3分)
『バーサーク』
空腹度半減HP半減STR、AGI1.3倍(リキャストタイム無し)
『夜目』
5分間暗い場所が明るく見える(リキャストタイム6分)
『瞑想』
目を瞑り坐禅を組むとHPが徐々に回復(リキャストタイム無し)
『ストライク』
AGIの三倍の速さで一直線に進む(リキャストタイム20秒)
……あれ?6つしかない。残り4つを見てみるとどうやら何も入っていない様だった。
「まじかよ、キャラクリで運ゲー仕掛けてくるとか」
あっても無くてもそこまで変わらない系統のスキルなのだろうか?まあ良い。もう決まった。
「俺が選ぶのは『アクセル』と『バーサーク』と『ストライク』だな」
三つのカプセルボールを選択するとウィンドウが消えた。
さて?あとは……ああ、プレイヤーネームか
これはいつも使ってるやつで行こう。
俺の本名 藤井 竜介からとってフィーリュだ。介がハブられてる?いや入れるの疲れるもん……
さってと、フィーリュと入れてっと。
すると自分の姿を客観的に見ることができるようになった。恐らくこれでいいか?って事だろう。麻っぽい服を着ている173cmのイケオジ……ごめん、身長変えるわ。
つーことで、身長182cmのナイスガイになった。
「カッコいい〜あ、これが了承ボタンか」
次の瞬間、真っ黒だった世界が突然ひび割れたようなエフェクトと共に光が溢れ出し——
俺はオーバーワールドの世界に足を踏み入れた。
作者は黒い砂漠のキャラメイクで3時間費やしました。