表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

初攻略は蜜の味

憎悪に似た断末魔を放ちながら、その生気の無い腕を天に伸ばしながら、魔王サタンは斃れる。

その体は表面から剥がれ落ちるように光の粒子になり天へと登る。

その様子をしかと目に焼き付け、俺は剣を鞘に収める。

長い様で短い旅だった。だがそれも今日で終わりだ。


「魔王サタンソロ攻略しゅうりょおおおおおおおお!!!」


まっじで長かった魔王サタンのソロ攻略がついに終わった。

ご丁寧に味方が少なければ少ないほど敵のステータスが上がるとか言うクソ仕様のせいでレベルカンストまで行っても余裕で殺してくれるこのゲーム『イヴィルバースト』の真ボス魔王サタンを倒した!


「もう出てくんじゃねーぞばああああああか!!!そもそもお前のステ上昇率可笑しいだろうが!レベル150の4人編成のパーティで行った時は最高火力食らっても全員生き残ってたのになんで一人になった途端に通常攻撃でレベル200のキャラが死ぬんだよ!更に言えば固えんだよ!知ってるか?AGI極振りで行ってもこいつ倒すために6時間かかってんだぞ!しかもHP30パー切ったあたりからお前範囲攻撃増えたよなぁ!VRの範囲攻撃は死を表してんだよ!よく俺あの空中回転斬り初見で見切ったわ!」


俺は今呪詛を撒き散らしているが、しかしこれは達成感から出たというものだと知ってほしい。

実はと言うとこの『イヴィルバースト』で魔王サタンソロ攻略を達成したやつはいない。

理由はいたって簡単


敵のステ高すぎワロエナイ

時間かかりすぎワロエナイ

VRゲームだから敵の攻撃が避けにくすぎるワロエナイ

乱数で回復してくる死ね

時間がない社会人はこのチャレンジをやらない。

こいつの攻撃が避けられる様なプロゲーマーやそれに準ずるやつはこんなゲームやらない。

そもそも乱数の回復で心が折れる。


と言う感じでこのチャレンジを達成したやつはこの世で俺一人という事になった。


これだけ聞くとクソゲーに聞こえると思うが待ってほしい。このゲーム、操作性以外は普通に良ゲーに数えられるものだ。

ストーリー?ああ……まあその、神に歯向かって堕天した天使が逆ギレして人間界を恐怖に貶めるから主人公はそれを阻止しよう!という物語だ。

ヒロインが途中で死ぬし、仲間には裏切られるし、よくわからない冤罪かけられるし……おそらく製作陣は主人公の事が嫌いなんだろうなと思うくらいには人生ハードモードな主人公になるストーリーだ。


ラスボスを倒してエンドロール(自動でキャラが始まりの街へ歩いていく)に入ってる中、俺はこれから何か重要なイベントがあったなとふと思い出す。

そして、街に大きな人だかりが出来ているのを見た時に思い出す。


「そうだ。この後ヒロインの亡霊が主人公を刺して——」


思い出した時にはもう遅かった。まあこれムービーだから回避もクソもないけどな。そして視界が暗転すると『happy end』の文字と共に主人公とヒロインが抱き合っている姿を見て終了。

そしてそのままスタッフロールが流れるのであった。

そんな中俺が抱いた感想?


「やっぱクソゲーだわこれ」


そう思いながら俺はこの後絶対に掲示板で自慢してやるんだと心に誓ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ