表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
侍に誘われて  作者: ゆず
第三章~カレー屋を救え~
40/51

四十話『大きな人助け』

 その時、玄関の扉が開き、お鶴さんが部屋に入ってきた。夏季休暇直前に一度ここで会ったきりだったので、僕は随分と久しく感じる。


 お鶴さんは僕たちを見ると、「おー」とまさにその言葉のまま、口をОの字に開いた。


「珍しい。こんなにたくさん。……しかも、ジャンヌじゃん。おひさ―」


 ジャンヌさんは「お久しぶりでございます」と頭を下げる。お鶴さんは冷蔵庫を開けるも、中に何も入っていないのを見て、「しまった」と額に手を当てる。


「最近来てなかったから、牛乳ないんだった」


 僕が「買ってきましょうか?」と腰を上げるも、お鶴さんは「いいよ」とソファーへと座った。そしてお鶴さんはもう一度ジャンヌさんを見ると、「あれ?」と首を傾げる。


「ジャンヌ、珍しく正装じゃん。ってか、なんでみんなここに集まっているわけ?」

「大学前にあるインドカレー屋に潜入した、その結果の報告だ」


 田畑さんの説明に、お鶴さんは「ああ」と納得した様子で頷く。


「あれね。で、どうなったの?」

「不法滞在、不法就労の状態にあった店員二人を通報し、彼らを斡旋した佐々木という男の情報を手に入れた。無論、あの情報もな」

「ちょっと待って。ってことは、あの計画が進んでいるってこと?」


 田畑さんは「うむ」と頷く。


「今のところは、順調にな。早ければ近いうちに、招集をかけるかもしれぬ。ただ、事が大きいだけに、数が集まらなければ実行は出来ぬからな。それに何より、その時がこなければ、私たちは動けない」


 お鶴さんは「そっかー」と身体を大きく伸ばす。


「多分、あたしは最後の大きな人助けになるもんね。やる気が出るよ」


 あの計画。事が大きい。最後の人助け。


 全く話が読めない僕は、「あの」と小さく手を上げる。


「……一体、何の話でしょうか?」


 田畑さんはじっと僕を見返す。


「言っていなかったか?」

「多分、聞いていないです」


 大洞さんが「わたしもです」と手を上げる。田畑さんは、「そうか」と小さく息を吐くと、お鶴さんへと視線を向けた。お鶴さんは、肩を竦める。


「教えてもいいんじゃないの。もう、立派なメンバーなんだから」


 田畑さんは「そうだな」と頷くと、空咳をし、そして改まった態度で僕たちに身体を向けた。僕と大洞さんの背筋が、自然と伸びる。


「今、私たちはある大きな人助けを実行しようとしている」

「大きな人助け、ですか?」


 僕はそのただならぬ田畑さんの雰囲気に、唾を飲み込んだ。


 田畑さんは小さく頷くと、ゆっくりとそのおちょぼ口を開く。


「……私たちは近いうちに、ある窃盗団を捕まえることになるだろう」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ