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Evolution  作者: 文野巡
13/46

女子高生

 女子高に移動した。


 目の前には立派な門が鎮座している。


 その門の前には、それぞれダークグレーとブルーのスーツを着た男たちが二人、腕組みをしながら仁王立ちしている。共に三十代くらいの教師だろう。


 まずは女子高の中に入れてもらおう。僕たちは二人の男に声をかけた。



「あのお、すいません。中に入れさせてもらってもいいですか?」


「ダメだダメだ、この門から一歩でも内側に入ったら警察に突きつけるぞ」



 声からも屈強さがうかがえる。僕たちは怯んだ。


 おそらくここで強引に中に入ろうとしたら、本当に警察に突きつけられゲームオーバーの憂き目にあうことは必至だろう。


 仕方ない。ここは素直に引き下がろう。


 僕たちは門から少し離れた所に移動した。それでも二人の男性教員たちは


「帰れ帰れ」


 と大きな声を出し、手でしっしっのポーズをして、僕たちを女子高から遠ざけようとする。


 周りを見回すと、教師たちの死角になりそうな壁のある曲がり角が見つかった。



「あそこに行って女子高生の帰宅を待とう。そうすれば女子高生たちの会話を聞けるかもしれない」



 そう提案すると、大宅も賛同してくれた。


「そうだな。いま夕方っぽいから、もう少し待ってれば女子高生たちがぞろぞろ出てくるだろう」



 曲がり角に入ったところで声を潜めて待機する。


 壁に隠れて先ほどの教員たちの方を覗いた。気づいていないのか仁王立ちの元の姿に戻っている。


 間もなく学校から終業を知らせるチャイムが聞こえてきた。



「そろそろ出てくるぞ」



 大宅が小声で耳打ちをする。僕は無言で『うん』と小さくうなずいた。


 すると複数の女子高生たちと思われる声が、近づいてくるのがわかった。


 僕たちは壁に身体をぴったりくっつけ、女子高生たちの会話を聞き漏らすまいと耳を澄ませる。


 続々と校舎から出てくる女子高生たち。彼女たちの会話は、誰々が格好いいだの、誰々がかわいいだの、とても重要な情報とは思えない。


 女子高生の数もだんだん減ってきて、そろそろ諦めムードが漂ってきた頃だった。突然大宅が『おっ』と身を乗り出し、耳をそばだてた。



「夜中のあの番組おもしろいよねえ。あれ観てからじゃないとやっぱ寝れないもん」



 僕にはこれがさして貴重な情報とは思えなかった。しかし大宅はなにやら考え込んでいる様子だ。そしておもむろに小声でつぶやいた。



「睡眠時間よりいくらか早めに自分の部屋に戻って、テレビつけてみれば最後のヒントが得られるんじゃないか?」



 たしかに自からテレビをつけたのは、ゲーム開始当初の一回だけだ。それ以後はゲームの記録をする際に強制的に見させられる以外、テレビをつけたことは一度もない。


 これまであまり時間を意識せずプレイしてきた。外に出られるようになってからは、一日の終了間際に強引に部屋に戻されるまでは部屋に戻らない。なんとなくそれが当たり前のようになっていた。


 だから就寝前にテレビをつけようなんていう発想すらなかった。



「よし、じゃあお互いこれから自分の部屋に戻ろう」



 僕は大宅の提案に同意する。


 移動コマンドで自分の部屋に戻り、テレビをつけた。


 テレビの上の時計を見るとまだ夜の九時だ。


 十二時に寝て、六時に起きるというのがこの世界での設定になっている。就寝までにはまだ三時間あった。


 とはいえ、女子高生の言っていた番組が何時に放送されるかはわからない。なのでテレビをつけっぱなしにして、じっと番組を見続けることにした。



「あんまりおもしろくねえなあ。これじゃホントに寝ちゃいそうだよ」



 眠気と戦いながら、特段おもしろくもないテレビ番組を観続ける。


 時計の針が十一時四五分を指した頃。芸人らしき複数の男女がコントをする番組が始まった。


 コントの内容はスマホを失くした男の子が、街中の人たちを巻き込んで探してもらうというものだ。


 コント自体はさしておもしろいわけではない。


 しかし、コントの題材がスマホを見つけ出す、というまさにいまのイベントと同じ状況の話。絶対にこの中にヒントが隠されていると確信した。


 最後まで一言一句聞きもらさじと真剣に。


 そして、番組終了と同時にゲーム終了の時間が訪れ、この日のゲームは終了した。


この続きは5/25 16:00-17:00頃更新予定です。お楽しみに!

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