01 第七の人生
初めまして、花籠りんです。書いてしまった。勢いで書いてしまった。
とりあえず妄想全開で書きたかった異世界転生ものはじめます。
なにせ勢いで始めたもので、ストックがほぼありませんので非常に亀更新になりますが、どうぞ温かく見守ってください。
思うに、記憶にある限りの最初の人生が、私にとって最も幸福だった。
かつて私が生きたその世界には魔法が存在していて、力の強弱はあれど皆、同等に魔法を使えた。
そんな世界に在った私は、他者とは一線を画す魔力量を誇り、当代一の最強の魔法使いとして名を馳せていた。
魔力量に比例して寿命が長くなるために、私は三百ほど年を数えたあたりまで生きていた。
死因は、私のいつまでも衰えない魔力に嫉妬した魔法使いに、背後から思いっきり心臓を一突きされたことによる。
魔法を一切使用しないシンプルな殺人に、最強の魔法使いだなんだと持て囃され、調子に乗っていた私は気が付かなかったのだ。
いやあ、若かったなぁ。
さて、ここで少々問題が発生する。
なんと、前世の記憶を保持しながら私は新たな生命として生まれてしまったのである。
私が新たに生まれた家は、どこにでもある普通のありふれた家庭だった。
喜ばしいことに新たな世界でも魔法が使えることが判明した。
前回の反省を含め、やっぱり初心忘れるべからず、と心に誓い幼少期からせっせと魔法の鍛錬を始めた。
第二の素晴らしい人生の幕開け、のはずだった。
ところがどっこい、前世とは違い、今世では魔力が多ければ多いほど、というよりも厳密には魔法を使うには魔力と同時に生命力を失うことが判明した。
前世の記憶もあり、子供には到底扱えない上級魔法をドッカンドッカン惜しげもなく使いまくっていた私は、その事実を知るころには既に生命力を使いつくしており、十年生きることもなく呆気なく死んだ。
父ちゃん母ちゃん、すまん。いやマジで。
さてさて、そうして第二の人生を早々に終了した私は、またすぐに第三の人生を手にすることになる。
山奥の農村に生を受けた私は、さすがに反省した。
やっぱり調子に乗ってました。
魔法で一儲けするかと息巻いていたことを心底後悔した。
ということで、せっかくの田舎に生まれたので、憧れのあったスローライフを満喫すると人生の方針を決めた。
幸いにも魔法という誘惑がない世界だった。ありがたい。
そんなこんなで誰かに恨まれたり、もしくは自滅をするようなこともない、穏やかで幸せに生きていくことに成功した。
結婚をして子供をもうけて、絵に描いたような家庭を築いた。
よっしゃ、このまま目指せ老衰!
なんて平和にずっぷり浸かっていた三十代後半、村を襲いにいた山賊によって呆気なく死亡。
死因は剣で腹を思い切り一突きされた。
あれ、なんだか既視感が。
ということで、第四の人生を開始した私はまたしても反省した。
さすがに平和ボケしすぎたわ、と。
自衛手段くらいはもっていないと、あんなに簡単に殺されるものなんですね。
反省した私は、自分の身を守れる力と、その力によって自滅をしないような選択を探して、生まれた国の軍に所属して、名もなき軍人の一人として死のうと思った。
思ったのにどういうことか、戦争に出れば、運と偶然が重なり敵の大将首を討ちとることになったり、王様の命を助ける羽目になったりと、あれよあれよという間に出世街道を爆走していた。
これやばいんじゃね、と危機感を抱けばどんぴしゃり。
対立する派閥の差し金で、戦地で貧乏くじを引かされて、挙句の果てに敵軍ではなく味方に背後をとられて終了、である。
因みに、死因は槍で一突きである。
いくらなんでも刺されすぎだろ!
自分自身に嫌気がさすと、毎度のことながら第五の人生の始まりである。
戦争もない平和な国の、田舎に暮らす貴族の一員として生まれた。
何一つ不自由のない日々の中で、私は完全にやさぐれていた。
今までの人生で一度は明らかなる自業自得だったが、それ以外全部が殺害ってなんだそりゃ。
それに私はいつまで前世の記憶をもって生きないといけないんだ。
殺された記憶だぞ、忘れさせろ!
そんなことをどこにいるのかも知らない神様に向かって叫びながら、今度こそ、今度こそと固く誓った。
身に余る強大な力もなく、自身を守る術を持ち、余計な権力からは遠ざかり、まさに理想ともいえる人生を手に入れた。
はずだった。安全なはずの自宅のバルコニーで、私は死んだ。
私の婚約者には、密かに情を通じた恋人がいたのだ。
恋人がほかの女の夫になる。
そんな未来に嫉妬し狂った女が、私をナイフで刺し殺しのだった。
やっぱりな。
そんな諦観と共に第六の人生が幕を上げる。
そこは前と同じ、平和な国だった。
今までの人生よりも、科学技術というもので発展した世界の小さな島国に生まれた。
そこはこれまでのどこよりも平和で安全な世界だった。
生きることに必死にならなくていいその世界は、ひどく穏やかでそして同時に退屈だった。
退屈になり、これまで放棄してきたことを考えた。
どうして私は前世の記憶を引き継ぎながら、名を変え世界を変えて生き続けているのか。
考えても考えても答えは出なくて、考えることにも疲れてきた頃。
学生という職業に就き、学校に向かうその道中で通り魔に刺殺されたときにようやく私は悟った。
――これは、報いだ。
そして私は、第七の人生を得ることになった。
諸事情により、話の順番を変えました。これも見切り発車のせいでございます。
もしブックマークされている方がいらっしゃれば、本当に申し訳ございません…!