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第77話 次なるダンジョンは廃病院の廊下

「こんなもんかな?」


共有箱から包帯等を取り出して酒呑童子の治療を行なったピコハンは出ていない汗を拭う仕草を行なう。

それをジト目で見つめる酒呑童子はミイラ男状態となっていた。


「巻きすぎだ糞ガキ」

「それでも傷口が治り始めているよ、流石鬼だね」


ピコハンが傷口を拭った時には薄皮が貼り始めており酒呑童子の出血は既に止まっていた。

だが複数の加護の力で怪我が直ぐに治るピコハンに言われても全く嬉しくない酒呑童子は深い溜め息を吐く。

仲間や子を殺されたリトーを倒した今、彼の気持ちは萎えていたのだ。


「さて、それじゃ進もうか」

「はっこの奥にまだ何かあるってのか?」

「分からない、けどもしかしたら酒呑童子を探しているのかもしれないから一緒に行こうよ」

「俺を探しているかもしれない?どういう事だ?」


ピコハンは酒呑童子に女神達がこの世界に居る筈の誰かを探しており、それがもしかしたら酒呑童子ではないかと考えていた。

その説明を聞いていまいち納得してない表情の酒呑童子であったが鬼族の掟、強き者に従うと言う事を守るためにピコハンについて行く事を決める。

リトーとの戦いでピコハンは前回酒呑童子と戦った時よりも飛びぬけて強くなっており、それを見た酒呑童子は戦う前から負けを認めていたのだ。

勝てなくても挑み続けたピコハンとの差がきっとここに来て二人の関係を一つの形にしたのであろう。

戦いの中にこそ生きる鬼族の最後の一人である酒呑童子はピコハンの事を認めていたのだ。


「よっと・・・」


一声上げて立ち上がった酒呑童子はピコハンの後を歩いてついて行く。

コロシアムの様な部屋の右側奥に一つの扉が在った。

そこが更に奥へと続く道なのだと考えたピコハンはそれを開く。


「なんだ・・・ここは・・・」


その部屋を覗き込んだ酒呑童子の疑問も仕方ないだろう。

そこはまるで廃病院の廊下であった。

この世界に存在しないその異常に平らな床、凹凸一つ無い壁、荷物が乱雑に置かれているがそれが無ければ広い通路に驚きを隠せないのはピコハンも同じであった。

ダンボールに詰められた紙が積みあがっていたり壊れた担架が倒れていたり、ちょっとした障害が多数落ちているその廊下へピコハンと酒呑童子は入った。

薄暗く何かが飛び出してくるかもしれないと警戒を続けながら二人は廊下を奥へと進む。

奥を見れば突き当たりは左に直角に曲がっているのが見えた。


「まだこの道は続きそうだな・・・」

「なんなんだよここは一体・・・」


フラフラしている酒呑童子を置いて先に行かないようにピコハンは歩く速度を合わせていた。

それとなくピコハンの心遣いに気付きつつもプライドが許さないのか酒呑童子は知らぬ存ぜぬで通す。

そうして、廊下を進み続ける二人は荷物を少しずらしたりしながら先へと進み続けた。

曲がり角を曲がっても更に奥へと続くその道を歩く2人の足音だけが響く・・・


「この透明な壁も不思議だね・・・」

「見た事無い物ばかりで気が狂いそうだぜ」


見るもの見るものが全て未知の物である、ゴミにしか見えない物も2人にとっては特別な物に見えたりもした。

通路に置かれた物が邪魔なだけで特にこれといった罠の類もなく安心し始めた頃であった。

2人が歩んできた遥か後方から突然大きな音が響き渡った!

そして、その声を聞いて二人は互いを見合う。


「ぃたい、いたい、いたい、いたい!いだい!いだい!!いだい!いだい!!いだだだだだ!!!!!」


後方の曲がり角の壁にぶつかったそれは体長4メートルはある化け物であった。

背には翼が在り、四本足を地に着きモゾモゾと小さな足が方向を変えようと床を目指して伸びていく。

そして、両肩だと思われる場所から巨大な眼球が生えておりそれがピコハンを見つけた!

胸の部分に人の顔の様な物が埋まっておりそれを見た2人は驚愕に顔色を悪くする。

そう、それはリトーであった。

これがリトーの力、他の生命の魂を取り込んで改変させる事が出来ると言う通り、自らの体内にキープしていた魂を使用してリトーはあの虫の壁から抜け出していたのだ!

だが・・・


「いだいーーー!!!いだいいだいいだいーーーーー!!!!」


泣き叫びながらもピコハンの姿を確認しリトーは追いかけ始める!

こうなってくると2人にとって廊下の荷物はゴミでしかなく避けながら奥へと走り出す!

ピコハンと酒呑童子はリトーが方向転換する時に見てしまったのだ。

リトーの背後に門凄い数の虫が襲い掛かってきており虫の壁から次々と酒呑童子を目指して襲い掛かってきていたのだ!


「いだいいだいひぃいいいいい!!!!」


リトーの悲鳴と共に獣の足となっていたそれを食い尽くした虫、そのせいでリトーは自走できなくなった。

そう見えたのも束の間、直ぐに腰の辺りから蜘蛛の様な足が6本生えてリトーの体を再び持ち上げ走り始める。

巨体のリトーにとって廊下のゴミなんてこれといった価値の無いゴミだと言わんばかりにそれらを破壊しながらリトーはピコハンたちを追い掛ける!

まともに戦えば苦戦は必須だろうとその姿を見て思うがそれよりも問題なのは後ろからリトーを目指している虫であった。

生きたまま喰われて死ぬのは真っ平ごめんだと2人は駆けて行く。


再び曲がり角を曲がり走る二人の正面に大きな扉が見えた!

乱雑に置かれた荷物を飛び越え、2人は扉へ駆ける!


「鬼が出るか蛇が出るか!だな」


走っていると酒呑童子の包帯は外れそれが邪魔なのか自ら走りながら破り捨てる。

その時であった!


「うわっ!?」

「ををっ?!」


突如地面が崩落し道の右半分が下の階へ落下したのだ。

だがピコハンは止まる事無く酒呑童子に声を掛ける!


「飛ぶぞ!」

「本当無茶苦茶だな!」


そう合図をして2人は下の階ではなく正面の扉へ大きくジャンプする!

そして、後ろから追いかけてきていた化け物と化したリトーはそれを飛び越えることが出来ず、体のサイズが廊下の幅と近くなっていたリトーはそのまま半身がその階へ向かいそうになり悲鳴を上げながら立ち止まる。

それと同時に一斉に追いついて襲い掛かる虫達。

チラリとその光景を見たピコハンは吐き気を覚えながら扉に体辺りで扉を開けて中へ転がり込む。

そこは鉄網が敷かれた床が部屋一面に敷かれており、その下は溶岩が流れていた。


突然変化しすぎた室温に一気に汗が出るピコハンと酒呑童子であったが直ぐに我に返り立ち上がる、そして更にその道を奥へと突き進む!


「ぎゃあああああああ!!!!!」


ピコハンと酒呑童子が通ったその部屋の扉が吹き飛びそこには更に体の魔物の姿を更に進化させたようなリトーの姿があるのであった。

寝惚けながら書いてしまったので誤字脱字ありましたら教えて下さいませ。

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