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第36話 ワニの襲撃再び!

どれくらい休んでいたのかは分からない。

だが意識が戻ると共に定期的に聞こえる振動音が非情に心地よくそのまま意識を深く沈めてしまいたくなるのをピコハンは無理やり目覚める。

ここはダンジョン、今はこの車両の間は魔物も襲ってこない安全地帯で在るが今後もそうであるとは限らないのだ。

体を起こして隣の車両を覗き込むピコハン。

既に透明石によって透かして向こう側が見える事に対して特に違和感を感じる事無く当たり前と認識している辺りピコハンの適応能力は高いのだろう。


「なん・・・だこれ?」


次の車両を覗き込んだピコハンの目に映ったのは車両内に走る血管の様な物であった。

透明石越しに見たそれは脈動をしているように見えまるで生き物の体内を想像させた。

慌てて後ろの車両を確認するピコハン、寝ている間に全車両がそうなった可能性を想像したのだろう。

だが前の車両は今まで通り変化が無く一息ついたピコハンは覚悟を決めてドアノブに手を掛けて次の車両へ足を踏み入れた。



第4車両



グニッと足の下から今までとは違うまるで肉の様な感触にゾッとするピコハン、それ以降は足元を確認しながら血管のような物の上は避けて歩みを進めた。


「なんだか生臭いな・・・」


血とはちょっと違う鉄分の臭いと言う感じの嗅いだ事の無い臭いなのだがそう想像したピコハンは顔を歪めながら進む。

そして、車両の中央ぐらいに来た時であった。


「っ?!」


ゾクッと危機を察知したピコハンは後ろへジャンプして下がった。

それと同時に車両の左右の壁から牙が生えて物凄い音と共に一気に中央へ押し潰した!

あのワニである!

ピコハンは目を疑った。

左右から噛み潰された天井の隙間からワニの姿が見えたのだがワニは垂直に逆さまの状態で車両の屋根に前足で倒立しながら立っていた。

車両ごとピコハンを喰おうとしてきたのだ!

そして、車両の一部が食われ床のみとなったその場所がなくなったせいで車両の屋根がワニを支えきれなくなり天井がワニの重さで潰れワニがこちらへ倒れて来た!


「おいおいおいおい・・・ちょっとマジかぁああああ!!!!」


車両を喰らったワニの口が奥の方へ動くと共に全身が自分の上に落下してくるのを理解したピコハンは後ろに振り向き駆け出す!

チラリと見えたのだがワニが喰らった部分の血管から血飛沫の様な物が吹き出しそれが辺りに飛び散り辺りは真っ赤に染まり始めていた。

それが潰れた天井からも噴き出し車両内は血が飛び散り真っ赤に染まっていく。

ピコハンは潰れて行くその場所から駆け出し隣の車両へのドアへ急ぐ!

安全地帯がこの状況でも安全か分からないが少なくともここに居たら潰されるかあの噴出す血に触れてしまうだろう。


「なんだかアレは触れたら駄目な気がする!」


反対側へ走っていたのでピコハンの視界には入っていなかったが血飛沫が触れた部分が見る見る腐り始めていた。

それと共に異臭を放つ毒ガスの様な物も発生していた。


「あと少しー!!!」


飛びつくようにドアノブに手を伸ばし掴んだら直ぐに開いて中へ飛び込み閉める。

それと同時に天井が崩落しドアの前にワニの尻尾が見えていた。

車両の半分を押し潰してワニが落下して来たのだ。


「こ・・・ここまでは来ないのか・・・」


透明石越しにその光景を見詰めたピコハンはそれにやっと気が付いた。

切れた血管から噴出す血にワニが濡れるとワニの体の表面がドロドロに腐り始めているのだ。


「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」


ワニの悲鳴だろう、特にワニは車両ごと食ったのだから口内にも同じようにあの血が飛び散っているのだろう。

そして、ピコハンは血が収まりその光景を見てチャンスと考える!

ワニの体が車両の天井を突き破り車両の半分以上は破壊されて床しか残っていない。

壁からの血も止まり今ならワニの殆ど血に触れていない背中を駆け上がって向こう側へ行けるのではないか?

現在は床が残っているので車両は動いているがあれがもし千切れたらどうなるか分からない。

そう考えピコハンはドアを開けて駆け出した!


「く・・・くさっ!!」


酷い臭いがする中ピコハンはワニの背中を駆け上がる!

天井が無くなり臭いが充満せずに流れている筈なのにも関わらず臭いに不快感を覚えながらピコハンはワニの背中の頂点に到達した時にそれを見た。

次の車両が先頭車両なのはイイ、問題はそれ以外の場所である。

ピコハンがワニの背中から見たその光景はまるで星空であった。

空に輝く星の中を車両は走っていると言えば分かるだろうか、その光景に一瞬目を奪われたピコハンだったが直ぐに臭いに現実に戻されてワニの頭部からジャンプして次の車両へ向かう。

前側は特に損傷が無かった為その近くは臭いも殆どせずに先へ進む事が出来たのであった。


「止め・・・さした方がいいんだろうけど・・・」


ワニを振り返り考えるピコハンであったが、その目がまだ死んでないのに気が付き直ぐにドアに手を伸ばして先頭車両へと逃げ込んだ!

間一髪であった。

ワニは口の中で咀嚼した車両の一部をピコハン目掛けて吐き出していたのだ。

それは閉められたドアに爆音を響かせながらも傷一つ付ける事無くぶつかりそのまま落下したのであった。


「次が先頭車両!」


ピコハンはワニの攻撃がドアを破れなかったのを見て安心し振り返って一応透明石越しに先頭車両内を覗いて絶句した。

そこには一面花が咲いていたのであった。

次回は月曜日に更新予定です。


もう一つの新連載

『最弱最強の詐欺魔導師 本職はユーデューバー』

開始しました。興味の在る方は是非どうぞ☆

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