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初期練習作(短編)

幼き友情

掲載日:2015/07/12

 たくさんの群集が群がっている。

セール品は安くて良いものばかりだ。

先を争うようにカゴに詰めていくお客さん達は、

皆目が血走っているように見えた。

泣き叫ぶ子どもがひとりいる。

お母さんとはぐれてしまったのかもしれない。


 私は、買い物に興味が無い。

ただお母さんと手を繋ぎたいだけだ。

必死で人ごみの中で、目当ての人物を探すと、

すぐにお母さんは見つかった。

何かワンピースのようなものを試着していた。

私がいなくなった事、気づいてない?

私の頭に血が上った。


 「ごめんね。はぐれちゃって。大丈夫だった?」

お母さんは優しい。

私はぎゅっと手を握った。

「もう少しだから、おとなしくしていてね」

私は逆襲することに決めた。

もう一度いなくなる。

ラックの下の、布がかぶせてあった所に潜り込もうとした。

ここなら誰も来れないと思う。

布から光が漏れて、中は薄暗い。

誰かと目が合う。

私と同じくらいの年の、先客がいた。

あの子も隠れているんだ。

私は彼と共同戦線を張ることにした。


 「あなたも悪戯しているの?」

聞いたが、反応がない。

向こうも困っているようだ。

しゃべれないのかな?

「あなた、いくつ?名前は?」

「デンワ……ウチニ、カエル」

節くれだった人差し指を差し出してくる。

私は一瞬で状況を把握した。

お母さんを呼んでこよう。

話はそこからだ。


 お母さんは買い物が終わって、

私を探していたようだ。

出会うと厳しく叱責された。

しかし、男の子の話をすると、

興味を抱いたようだった。

あわてて現場に駆けつける。

あの子は、どこにもいなくなっていた。


 惜しかったなあ。

私も、主人公になれると思ったのに。

まるで映画みたいにね。


 後日、その話を友だちにすると、

必ず映画のタイトルが答えとして返ってくる。

私ね、そういうことを言いたいんじゃなくて、

ただ、良い友だちになれそうだと思ったんだ。

またいつか、彼と会えたらいいなあ。

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