113 忌み子
【注意!】人によってはストレス展開かもしれません。苦手な方は4、5話溜まるのを待ってから読んでいただくことをおすすめします。最終的に後味悪くはしませんので……。
私――ミリアリア・サーガスティンは、その部屋の様子を食い入る様に見ていました。
「輪廻神殿の司祭さまから相談があったのだ。このところおまえの様子がおかしい……と」
私の父、ゼフィリオ・サーガスティンは鷹のような目つきで娘を見つめながらそう言います。
「司祭さまは母親がいないせいではないかと匂わせてきた。再婚されてはどうかとな。
くだらん……ずいぶんと俗っぽい司祭だな。おまえももう、あんな神殿にボランティアに行くのはやめたらどうだ?
そして、士官学校の入学試験をもう一度受けてみるんだ。才能の無駄ではないか」
「再婚……されるのですか?」
「話だけはいくつもあるが、その気はない。母親がいないから何だというのだ? 私だって幼い頃に母親を亡くしている。それとも、母親がほしいとでも言うつもりか? あんなことがあったというのに?」
「いえ……いりません」
そう答えた声には力がこもっていました。
実際、私は母がほしいと思ったことはありません。
私にとって母は恐怖と憎悪の対象だったのですから。
「あんたは私の娘じゃない、私のお腹からあんたみたいな娘は生まれない」
母は出産で崩れた体型を鏡越しに憎々しげに睨みながら、決まってそう言うのでした。
「私のような生まれながらに高貴な女の子宮はあんたみたいな薄汚い子どもを宿さない。あんたが男じゃなかったから、私はまた妊娠しなくちゃならない。今度こそおしまいよ」
そう言うということは、私が母の娘であることは認識していたのだと思います。
しかし絶対に、私のことを自分の娘だと認めようとはしませんでした。
さらに、母に罵られて泣きわめく私を、母はこう言って脅しました。
「そんなに騒ぐと、ベアトリーチェみたいに喉を掻き切るわよ」
母は感情が昂ぶると、時として私の首を絞めました。
一方で、ごくごくまれにですが、機嫌がいい時は私の頭を優しく撫でてくれることもあったのです。
しかし、それはごく短時間のことでした。とくに私が母の愛撫に怯えている様子を見せてしまうと最悪です。母はベルトを鞭のようにして私を叩きながら、
「私の子じゃない! 私の子宮から生まれてきた子じゃない! 私には子どもなんていない!」
そう泣き叫ぶのでした。
母の情緒不安定は、母の職業によるものだと、父は言っています。
母は女優でした。
それも、十年に一度と言われるほどの天才的な名女優で、ハマり役は4年前に上演されたリーブロップ版『ベアトリーチェ』のベアトリーチェ姫でした。
母は舞台では妖艶な美女も清らかな乙女も演じ、夫の前では良き妻を演じ、貴族たちの前では社交上手な侯爵夫人を演じていました。
しかし母は、家庭の主婦にだけはなれませんでした。
もちろん、サーガスティン家は侯爵家ですから、家事は使用人に任せてしまえば済むのですが、母はその使用人にすら当たり散らしました。そのせいで、サーガスティン家では使用人が次々に辞めていきました。結果、王立劇場の売れない新人女優を連れて来て演技の修行と称して侍女の真似事をさせるような羽目に陥っていたのです。
母は言います。
「ああ、まったく……生活っていうのは嫌ね。つまらないわ。子育ては面倒、夫は閨の中ですら皮肉屋で、使用人は気の利かない愚図ばかり。こんなのが人生だっていうのなら、私はいつまでだって舞台に立っていたい。ベアトリーチェ姫のまま喉を裂かれ、子宮を引きずり出されて殺されたい……」
母の言葉は、それこそ舞台の上に立った役者のようなものでした。
母には根本的に生活感というものが欠けていました。常にここではないどこかを夢見るような目をしていて、同時に目の前の現実はまるで演劇を見ているかのように他人事のようにしか認識できないようでした。
母にとって、現実は演劇でした。
しかし、その演劇は、母にとっては途方もなく退屈なものだったのです。
「ねえ、――。私を殺してくれないかしら? 喉を裂いて子宮を引きずり出して、かのベアトリーチェ姫みたいに殺してくれないかしら? 私がまだ美しくいられるうちに……」
母が妊娠したのは、それからしばらく経ってからのことでした。
今度こそは男の子をと父が母にハッパをかけますが、もちろん、いくらハッパをかけられたところでお腹の子どもの性別が変わるわけもありません。皮肉屋で国王にすら毒舌を吐く父ですが、家督のこととなると王族もかくやというほど保守的になってしまいます。とにかく男の子を。そう繰り返す父を、母はもちろん私も冷たい目で見ていたのですが、皮肉屋のはずの父はこんな時ばかり鈍感でした。
「私はもうおしまいよ、――。あんたを生んで、今度また子どもを生んで……もう私の身体は処女の時のようには戻らない。これからは徐々に醜くなって、偏執狂の中年婦人や気難しい老女の役しか回ってこなくなるに違いないわ。ああ、その前に死んでしまいたい……腸を引きずり出されて、子宮を暴かれ、密通を犯した女という不名誉を受けながら刑死したいの」
母は娘に向かって何度も何度もそう言い聞かせました。
今なら、私にも少しは分かります。母は妊娠したことで精神的に不安定になっていたのでしょう。母はもともと天才的な女優でしたが、その才能は精神的な不安定さと不即不離のものでした。母は思い込みが激しく、気分が乱高下しやすく、時にヒステリーを起こしました。
そんな妻を支えようなどという殊勝な気持ちは父にはありませんでした。
父は妻の奇行を滑稽な散文で描いて王都の芸術界で話題になりましたが、父が妻に関してやったことといえばそれだけでしかありません。
父は「シルヴィーンの天然を損ねないために私は彼女を妻としたのだ」と言います。
父は結婚にあたって妻に無制限の自由を与えました。貴族の夫人となれば女優としての道は諦めるのが普通でしたが、母は結婚後も女優を続けることができました。
その点では、利害の合致した結婚だったのかもしれません。結婚というものが、単なる利害の合致によってなされていいものなのかどうか、まだ若い私にはわかりませんが……。
父が母に負わせた唯一の責務は、サーガスティン侯爵家の跡取りを生むことでした。父はそれを貴族の責務と言いました。それは事実ではあるのでしょうが、父と母の情事は非常に淡白なものだったようです。
そんなことをなぜ娘の私が知っているのか? それはもちろん、錯乱した母が度々口走っていたからです。父は嫌々義務を務めるような顔で母を抱くのだそうです。優しい愛撫などあるはずもなく、父があっという間に果ててそれでおしまい。父はベッドを出て書斎へと向かい、最新の演劇を痛烈に皮肉る批評文の執筆に取り掛かります。
母が密通していたというのは、本当でしょうか。
正直、私にはわかりません。
ただ、その機会はあったことでしょう。母は現役の女優で、本人の言に反して結婚してから魅力を増したという評判も聞きました。王立劇場には母にかしずく若い男優たちがたくさんいます。母がその気になれば、彼らを誘惑することなど造作もないことのはずです。何せ母は、妖艶な美女も清楚な乙女も自在に演じ分ける天性の女優なのですから。
その母は――私の目の前で死にました。
私の意識はそれをただ見ているだけでした。
母は喉を裂かれ、腹を裂かれ、子宮を引きずり出されて、その中にいた胎児にナイフが突き立てられました。
「『――見よ、これこそ、この女が姦婦であった証である!』」
私と同じ声が、ナイフを宙に掲げながらそう言います。
そのセリフは、『ベアトリーチェ』の有名な一幕のものでした。
そこに駆けつけてきた父が、その光景をどう受け止めたのかはわかりません。
父の目には狂気を目の当たりにした恐怖と驚愕の他に、否定しがたい恍惚が宿っていたと思います。
父は女優シルヴィーンの最期に、惜しみない拍手を送りました。
感動にむせび泣き、血まみれになった母の頭を抱え、その唇に愛情のこもったキスをしました。
翌日、父は母が自殺したと公表します。
サーガスティン侯爵家の侍医には金を握らせて、母が自殺したと証言させました。
母を殺した娘は、「忌み子」として屋敷の中の座敷牢に閉じ込められることになりました。
「――これは、おまえの部屋から見つけたものだ」
父の言葉に、私は目の前の現実へと引き戻されます。
父は机の上に短剣とボレロのようなものを置きました。
父は当然のように娘の私室に立ち入り、定期的に私物を検査しています。有害無益なものに金を使っていないかを調べるためだと父は言っています。
そして、劇評家らしく私の私物のいちいちについて品評します。これは下品だ、この本は愚劣だ、こんな服は子どもじみている……そのように逐一指摘することで、私の「趣味」とやらが向上すると信じているのです。
「……知人の商人に鑑定してもらった。強力な魔物の体内から発見されるドロップアイテムか、古代遺跡からの発掘品かのいずれかだろうという話だった。
いったい、こんなものをどこで手に入れたんだ?」
父の言葉への返事はありません。
父は苛立ったように言葉を続けます。
「この短剣は何らかの魔法的作用によって対象の固さに関係なくものが切れるものらしいな。このボレロは、身にまとうことで自分の存在が他者から知覚されづらくなるものだという。Aランク冒険者でも金に糸目をつけずに欲しがりそうな逸品だと言っていた」
再び、部屋に沈黙が訪れます。
父は机の引き出しから日記帳を取り出し、わざとらしくページをめくってみせながら言いました。
「切り裂き魔事件の起きた12月7日と1月7日、おまえは輪廻神殿の仕事で遅くなるから友人の家に外泊すると言っていたな。
だが、助祭さまに確かめたところ、2日ともおまえは定時通りに上がっていた。私は日記におまえの言動を書き残しているし、助祭さまも訪問診察の記録を調べてくれたから間違いない」
父はその日あったことを細大漏らさず日記に記すという習慣があります。用事などで日記が書けないことがあると、必ず不機嫌になり、私たちに当たり散らすこともありました。
医師から「生まれついての神経質」であると言われたことがあるそうです。もちろん、その医師はもう二度とこの家に入ることはできなくなり、侯爵家と縁戚関係のある貴族家からも締め出しをくらうことになりました。
それはともかく、その日に切り裂き魔事件があったことも、私がボランティアに出ていたことも、日記には正確に記されていたわけです。父は私たち家族に情愛を注ぎませんが、監視の目だけは行き届いています。
父は、何度となくためらう様子を見せてから、唇を震わせて、ついにその質問を口にしてしまいました。
「ミリア……まさかおまえが、切り裂き魔なのか?」
ああ……
◆
王都モノカンヌスでもっとも瀟洒であると言われる、サーガスティン侯爵の屋敷が燃えている。
屋敷から吹き上がる炎が、モノカンヌス湖の湖面に反射して、辺りを赤く染めていた。
「ミリア先輩ッ!」
俺は旧市街の屋敷の屋根から屋根へと飛び移りながら、炎上するサーガスティン侯爵邸を目指す。
切り裂き魔による第七、第八の事件は、俺にとっては重大なヒントを含んでいた。
ミリア先輩はなぜあそこで嘘を吐いたのか?
切り裂き魔がミリア先輩にとって大事な人物だったか――あるいは、ミリア先輩自身が切り裂き魔だからだ。
ミリア先輩は【身体透視】のスキルの持ち主だから、人体を解体するのは一般人よりもずっと簡単だろう。先輩は体内の腫瘍を外科的な手術で取り除くようなこともやっている。もちろん、前世の外科医に比べれば初歩的なものだが、これによって一命を取り留めた人もいるらしい。
そう思って調べてみると、ミリア先輩は第一、第二の事件の当夜、訪問診察の仕事が長引いたと言って新市街の学友の家に泊めてもらっていたことが判明した。ミリア先輩が借りたのはその家の個室だったので、密かに抜け出すことは難しくなかっただろう。
第三の事件の時はミリア先輩は実家である旧市街のサーガスティン侯爵邸にいた。
これも同様に、家人に気づかれずに外に出ることは可能だったに違いない。
しかも――本人が以前認めていた通り、第一の事件の被害者モリガン・ウェスタニアはミリア先輩の学友で、第二の事件の被害者キャサリン・フォドレットとは劇評家である父を通じて親交があったという。ミリア先輩の普段の優等生ぶりがものを言って、この2人は先輩をろくに警戒しないまま殺されたと考えられる。
第三の事件の被害者ヴィステシア男爵夫人とも、接点が見つかった。
数カ月前に落馬して骨折して以来自宅静養していた男爵夫人は、輪廻神殿の訪問診察を受けていたのだ。【身体透視】のあるミリア先輩は、骨折の治療を得意としている。神殿の助祭に確認すると、たしかにミリア先輩はヴィステシア男爵夫人を担当していたことがわかった。
仮に訪問診察の予定がない日に突然ミリア先輩が現れたとしても、男爵夫人はとくに警戒することもなく家に招じ入れるのではないだろうか。ミリア先輩の父はサーガスティン侯爵であり、男爵家からすればかなり格上の貴族でもある。夜で自分以外家にいないからと追い返しては後で大きな問題となって跳ね返ってくるおそれもあった。あるいは単純に、まだ若い娘を夜遅くに追い返すわけにはいかないと思ったのか。ひょっとしたら、ミリア先輩の方で、怪我に関して気になることがあるとでも持ちかけたのかもしれない。
ヴィステシア男爵が夕刻以降は使用人をすべて帰してしまうということも、ミリア先輩は男爵夫人から聞き出せる立場にあった。ヴィステシア男爵がその日屋敷に不在だったのは、偶然なのか、それとも事前に父である侯爵などから情報を得ていたのかわからないが……。
この時点で、ミリア先輩は第一から第三までの事件の被害者のすべてと接点があったことになる。しかも、ミリア先輩の立場なら3人ともを油断させて自分に都合のいい状況に持ち込むことができたはずだ。
とはいえ、ミリア先輩=切り裂き魔説に対する反証も多い。
まず、第一から第三の事件について、どうやってミリア先輩は死体を切り裂くことができたのか?
ミリア先輩のステータスには【風魔法】はなかったのだ。
次に、どうやって誰にも見つからずに現場から逃走することができたのか。
貴族の令嬢が夜にひとりでうろついていれば当然トラブルに巻き込まれるおそれが高い。ミリア先輩が斥候系のスキルを持っていないことは既に確認済みだ。
第四、第五の二重殺人については、そもそも新旧両市街をミリア先輩が行き来する方法がまったく思いつかない。
同様に、第六の事件にも謎がある。レベルが3しかないミリア先輩が、どうやって熟練の冒険者を殺すことができたのだろうか。
第七の事件(王立劇場での事件)は、自作自演だったと考えれば辻褄が合いそうではある。
メルヴィはあの時、ミリア先輩が「襤褸をまとった少女が逃げた」と言ったのは嘘だったと言っていた。ミリア先輩が切り裂き魔で、被害者に悲鳴を上げられてしまった故にやむなく第一発見者兼治療者を装ったとすれば筋が通る。
また、切り裂き魔としての犯行によって浴びていたはずの返り血も、治療に当っていたと見せかければ誤魔化すことができる。
しかし、その後、「襤褸をまとった少女」が逃げた先の裏路地で第八の事件が起き、その場に駆けつけたシエルさんは通りからは誰も出てこなかったと言っていた。
メルヴィによればシエルさんの証言も嘘だというからややこしいが、シエルさんも血まみれの切り裂き魔を見ていたらそう証言するはずだ。というか、その場で捕まえてくれているだろう。なんたってレベル95の勇者なのだから。
「襤褸をまとった少女」はいなかった。しかし、第八の切り裂き魔事件は確かに起きた。
そうすると誰が第八の事件を起こしたのかという問題が出てきてしまう。なにせ、ミリア先輩=切り裂き魔は、第七の現場に残っていたのだから。
ミリア先輩がもうひとりいるのでもない限り、第七と第八の切り裂き魔は別人だということになってしまう。
このように、さまざまな疑問点は残るものの、第三までの事件については、ミリア先輩は最有力の切り裂き魔容疑者だということになってしまった。
明日にはイーレンス王子麾下の巡査騎士がミリア先輩に任意同行を求め、事情聴取を行うことになるだろう。
その前に、俺はミリア先輩に会っておきたかった。
会ってどうするかなんて決まってない。本当にこの人が切り裂き魔だなどということがありえるのか、この期に及んでも俺は確信が持てないでいた。
第三の事件まではまったくの偶然ということも考えられる。あるいは、ミリア先輩をよく知る人物が、ミリア先輩に罪を着せようとしている可能性もある。
――俺は、ミリア先輩のことを信じたかったのだ。
しかし、そんな想いを胸に訪れたサーガスティン侯爵邸は、炎に包まれようとしていた。
俺は動揺を抑えつつ、〈仙術師〉の気配察知能力で屋敷内の気配を探す。
いくつかまとまっている気配があった。そのうちのひとつはひどく弱々しく、他のひとつはひどく乱れていた。その2つ以外の気配は、その場に立ち尽くしていたり、逃げ出そうとしていたりするから、おそらくは使用人たちだろう。
気配からだけでも、その場で起こっているだろうことが想像できた。
人が、人を殺したのだ。
殺された人物はゆっくりと死につつあり、殺した人物は混乱している。
屋敷の前では、警護に当っているサーガスティン侯爵の騎士たちがうろたえていた。
「――通して!」
俺は王室探偵助手の身分証を見せてそこを押し通ろうとするが、騎士たちは俺の通行を認めなかった。
王室探偵及びその助手の権限では、貴族の私邸への立ち入りにはその貴族の許可がいることになっている。もし強制捜査する必要があるなら王に頼んで勅許状を発行してもらう必要があった。前世の刑事手続きと比べても妥当なシステムだと思うが、こんなことなら強権をもらっておくんだった。
「悪いけど――」
俺は〈仙術師〉によって身体強化を行い、侯爵邸の門柱を駆け上り、邸内へと強引に進入する。言うまでもなく違法行為であり、この時点で屋敷の所有者に警告無しで殺されても文句が言えない。
慌てて追いすがってくる騎士たちを引き離しながら、俺は燃え上がる侯爵邸の玄関扉に、オリジナル魔法《ショットガン》を叩き込む。高速で撃ち出された無数の石の礫が扉を完膚なきまでに破壊した。
俺は落下してくる瀟洒なシャンデリアをかわしながら、エントランスホールの階段を5段抜かしで駆け上がり、2階の扉を再び《ショットガン》で破壊する。
その奥、彫刻や絵画で飾られた回廊の奥に、問題の気配がある。
――追い求めてきた切り裂き魔の気配。
しかし今の俺は、心がはやりつつも、この先にいる者を見たくないとも思っていた。
俺はゆっくりとひときわ豪華に作られた扉を押し開ける。
鼻を突く血の臭い。
壁は半ば焼け落ちていて、部屋は黒い煙とものの燃える臭いに包まれようとしていた。
そして、そこにいたのは――
「……エドガー君」
父親の切断された頭部を片手にぶら下げて、ミリア先輩が焦点の定まらない瞳でそう言った。
次話>2日後です
書籍版第2巻のキャラデザを公開しました!
http://syosetu.com/userblogmanage/view/blogkey/1273557/
今後もキャラデザや特典情報などを配信していきますので、気になる方は活動報告をチェックしていただけるとさいわいです。