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槁木死灰の私から  作者: 案山子 劣四
君と見た夜桜

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第45話 君と始める準備

桜桃姉妹は、目を輝かせながら続けた。


「教会の裏庭にさ、すごく綺麗に桜が咲いてるじゃん!」


「あれを一緒に見て、お酒飲んだりご飯食べたりしたら仲良くなれると思うのです!」



「つまり、君達が花見をしたいと言う事で合ってるか?」


「「そう」です!」



2人は息ぴったりに肯定する。私は思わずため息を吐くが、正直案としては悪くない。酒の席は親密になりやすい、というのは昔からある話だ。


「花見、いいですな。私も好きですよ、お酒。」



前の文と後ろの文が噛み合っていないが、常磐も花見には賛成らしい。先程よりもにこやかな表情をしている。ただ酒が好きな可能性の方が高そうだが。


「槿はどう思う?」


私がそう訊ねると、槿は少し考えた後、



「私はやっぱり、浅黄さんに涼と会うことを否定的な認識でいて欲しくない、かな。だから、顔を合わせる機会は多い方がいいと思う。あとお花見した事ないからしてみたいし。」



と、真剣な表情をする。槿に関しても後半が本音のようだし、どうやら皆、浅黄の事は割とどうでもいいと思ってそうだ。恐らく私が一番真剣に浅黄の事を考えていると思う。



「じゃあ皆やる気だし決定!」


と、私は特に意見を述べてないのだが、一果が話をまとめる。別に断る理由もなかったので特に何も言うつもりはないが。


「浅黄さんが多分一番忙しいから、むーちゃんが浅黄さんに予定を確認して、空いてる日の夕方からに合わせてやる形にしましょう。」



「うん、わかった。」



「では私はワインセラーから取っておきのワインを何本か出しましょう。」



「やった!私ワイン好きなんだよね。お弁当は私達3人で作ろーよ!」



気がつくと、私以外の皆で話が進んでいる。こういう時にやることが無いと、疎外感を感じる。


以前真祖エリザベートの眷属達の所にいた時も同じような気持ちだった。あの時は外様だったし、最初から闘うつもりがなかったので、温度感も違いその意味でも疎外感を感じた。


そういう意味ではまだ今の方が幾分かマシかもしれない。



ふと槿の様子を見ると楽しそうに二葉と話していて、先程の落ち込んだ状況から立ち直ったようだった。


私自身は仲間はずれにはされているが、まあ槿が楽しそうにしているならばいいか、と諦めて皆が話し合っている様子を椅子に座りながら眺める。すると、先程まで二葉と話していた槿がこちらを向いて、


「ねえ涼。お願いがあるんだけど。」


と私に声をかける。


「ああ。なんでも言ってくれ。」



疎外感を感じていた所に槿にそう言われて、嬉しくなり前のめりの返事をしてしまう。私の予想外に好感触な返事に槿は少し驚いた様に目を見開いていたが、すぐに笑顔に戻る。


「じゃあ、大変な事お願いしようかな。」


冗談の調子だが、少しだけ緊張が混じった表情をしている。真面目な頼み事だろう、と察した。



「任せろ。君の為ならどんな苦労だってしよう。」


わざと冗談めかして私は返す。その方が槿も頼みやすいだろうという私なりの配慮だ。


「隙あらばイチャつきますよね……。バカップル。」


先程まで槿と話していた二葉は、じとっとした冷めた視線をこちらに向ける。槿は少しだけ照れた様子だったが、思い切ったように私に向けて言った。



「小春ちゃんのこと、なんだけど。涼から誘ってもらえないかな?」


「私も会ったことないので、一度会ってみたいです。お願いします。」


「あ、じゃあ私も会ってみたい。」


「私は美味しいお酒を持ってきてもらえると嬉しいですな。」


桜桃姉妹も乗ってきた上、常磐に関しては何故か酒を頼んでくる。


常磐は無視するとして、椿木についての頼みか、と納得した。2月のあの日から、2人には壁が出来てしまっていた。

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