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槁木死灰の私から  作者: 案山子 劣四
飛花落葉の私と父

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第29話 飛花落葉の私と桜桃①

それからも、浅黄は度々私の病室に訪れた。


1度、「最近、お仕事が落ち着いたんですか?」と訊ねたが、彼は少し考えた後に、


「……いや。普段通りだ。」と事務的に答えた。


その会話が、1月中の、浅黄との会話のハイライト。以外は、業務連絡のような会話がほとんどだった。


その間に教会に引っ越す話は順調に進んで、私は2月の16日に教会に移る事になった。


そして、2月2日。


コンコン、と少し早いリズムでドアを叩く音が聞こえた。


勢いよくドアが開いて、彼女達が来たのか、と楽しみな気持ちと、少しの緊張がないまぜになった心持ちで彼女たちを迎える。


「はじめましてー。桜桃さくら 一果いちかデス。」


桜桃さくら 二葉ふたばです。よろしくお願いします。」


連花さんが言っていた例のお世話係は、やはり彼女達だったらしい。彼に、1度会ってみたいとお願いをひて、今日面会となった。


ちなみに、連花さんに、


「お2人はどういう人なんですか?」と聞くと、「私には勿体無い幼なじみです。とても心根の優しい女性ですよ。」


と言われた。内面はわかったが、相変わらず外見情報がなかった。



だから、こんな人かな、と勝手に優しそうな人達をイメージしていたのだが、実際に会った印象は、少し、いや、大分異なっていた。


まず、一果さんの第一印象は、ギャルのシスターっているんだ、だった。服装は着崩していないが、小さいストーンが付いたネイルと、ばっちりメイクをしている。


色白の肌に、肩にかかるくらいの金髪、目は少しツリ目の二重で、綺麗系の顔立ちをしていて、ギャルと関わり合うことが無い人生だった私には、少しだけこわかった。


二葉さんは、黒髪のボブヘアで、大きな瞳と少し赤いモチモチしてそうな頬と、丸顔で可愛らしい印象だが、ジトっとした、少し冷めた目付きをしていた。


どこか睨みつけられているような気がして、どこか萎縮してしまう。


双子という話だったけれど、全く似ていないな、と私は感じた。


強いて言えば、体格くらいだ。2人とも165センチ前後の身長で、スタイルがいい。私は背が高い方でもないし、少し羨ましい。


「はじめまして。月下 槿です。」


緊張を表に出さないよう、笑顔を作りながら挨拶をする。


「槿さん。まず聞きたいのですが。」そう、二葉さんが私に距離を詰める。


「は、はい?」




「吸血鬼との恋愛って、楽しいですか?」


ジト目がちのまま、目を輝かせて彼女は問い質した。


「え、えと……。」


いきなりの質問に驚いてしまう。教会の人は皆唐突なことをして人を困惑させる事が好きなのだろうか。



「気にしなくていーよ。二葉はさ、そういう禁断の恋ってヤツが好きなだけだから。」


そう言いながら、病室にあった椅子をベットの横まで2つ持ってきて、一果は座る。


「そ、そうなんですか?」


「はい。私がシスターになったのは、これからする恋が全て禁断の恋になるからに他ならないのです!神に恋を禁止された身分で、それでも熱い恋に落ちてしまう。そんなロマンチックな恋を、私はしたいのです!」


一果はため息を吐きながら、「そんなんだからあの化物に魅力かけられるんだよ……」とぼやく。


「いくら禁断の恋とはいえ相手は選びたいですわ。央様は有り得ませんわ!」


「またあいつの話になるとお嬢様みたいになってるし……。魅了解けてる?本当に。」


「解けてますわ!央様の事なんて、大っ嫌いですわ!」


「ツンデレお嬢様みたいになってんじゃん……。」


そう、仲の良さそうに話す2人を見て、私は笑う。とりあえず、怖い人たちでは無さそうだ。



「ごめんね、うるさくしちゃって。」


一果さんは、そう言って申し訳なさそうに笑う。


「本当ですよ、一果。静かにして下さい。」


それを言われて一果はなにか言い返そうとしたが、収拾がつかなくなりそうなのを察して無視した。


「一応、私達の説明するね。普段はエクソシストをしてて、階級は司祭。」


「司祭って、男の人しかなれないんじゃ……。」あまり詳しくないが、確かそうだった気がする。


「エクソシストは違うんですよ。あくまで司祭、司教と言うのは階級で、男女平等です。まあ、女性はシスター服ですが。」


いつの間にか一果の用意した椅子に腰掛けた二葉は人差し指を立てながら、どこが自慢げに説明してくれた。


「まあ、司祭から除霊が出来て、司教はもうちょい強い霊を倒せる、みたいな感じで上になればなるほど強い覚えてくれればいーよ。あんまり槿ちゃんに関係ない話だし。」


「じゃあ、お2人は除霊ができるんですか。」


関係ない話だからこそ、正直興味があった。


「出来るよー。まあ、海外での除霊の方が得意なんだけどね。」


そう言って、一果は手の甲をこちらに向けたピースを顔の前でする。


「海外の方が……?なにか宗教上の理由とか、ですか?」


「いやいや、違うよー。銃が使えるか使えないかってだけ。」


「え、銃?」除霊に銃を使うイメージはない。


「そうそう。入ると呪われる、とかそういう曰くがある場所とかは遠くから浄化した弾丸で狙撃したりするんだよね。日本だと普通に入って除霊するけど。」


「日本だと中々発砲許可がおりないですから。」


あまりにも日本と文化が違う。あと、肝試しとかしてたら誤射されそうで怖い。


しかし、そう考えると、涼のこの前言っていた彼女達が散弾銃を持っていた、というのは、意外と彼女達の特徴だったのかもしれない。




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