それは含ませた時に感じてしまったしこりの様に
なろうのお友達がお書きになられたエッセイにインスパイアされました。
「そう言えば佳幸は受験だろう?」
昔からの癖で私の髪を弄びながら“元”はこんな事をのたまう。
ああ、やっぱり“元”はこんな奴!!
いつも自分勝手に山へ登り、私を七合目辺りに置き去りにして自分はさっさと下山する。
取り残された私は……“元”へ自分の髪を預け、その間延びさせた快感の首輪で、脈動する獰猛なまでの欲望が身の内から飛び出してしまわない様、どうにか繋ぎ留めていたのに……
す・べ・て・おじゃん!!
三年前の……佳幸の中学入学の頃の事がまざまざと蘇る。
あの頃の私は……“元”との離婚についての調停申立書を準備しながら激しく“彼氏”を求めていた。
不実な“元”は今とまったく同じで……
たまの“登山”の度に“七合目”に取り残されるのが常だったから。
彼氏との逢瀬を終えて、ラブホから出る時は
声はいつもガサガサだったけど
それ以外の私の全ては瑞々しく生気を取り戻していた。
こんなにも相性の良い男との“未来”を
新しい土地で佳幸の中学入学の手続きをしながら夢想したりもしたが
あくまで夢想でしか無かった。
相性ってなんなのだろう……
嗜好?
キモチ?
カラダ?
考え方?
生きる姿勢?
ごちゃごちゃ考えて……
分からなくなるのだけど
つまるところ、カラダだけではダメらしい。
では!!
たった今
私をシラケさせた
相変らず私の胸に片っぽの手のひらを置き、もう片っぽの手で髪を弄んでいる“元”はいったい!!
何なのだろう?!
愛したつもりだった。
憎んだつもりだった。
そして
佳幸の父親でもあるこの男の事は……
私にとって
実はマジでは無かったのかもしれない。
いや、
ひょっとしたら
私は
“営み”に関する事を
全部取っ払ってしまえば
男そのものに
然したる必要を感じてはおらず
それゆえ
男との行為に
ひたすら固執しているのかもしれない。
『寂しい』って言葉を
欺瞞のキーワードにしながら……
それはちょうど、オトコに含ませた胸にしこりを感じてしまったかの様に
ひどく厄介に思えて……
私は、片っぽに自分で汚してしまった心を置き、もう片っぽに『割り切り』と言う単語を置いたユラユラ動く天秤の腕を
ただ、何となく眺めている。
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