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我が家の食卓革命~転生三つ子が白いパンを焼くまで~  作者: 石磨 輝
第一目標! きれいな水を手に入れろ!
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兄ちゃんと村の中央でお買い物!

 ろ過のヒントを貰いに入った山から下りたら、母ちゃんからお使いを頼まれた。だから兄ちゃんが馬の代わりに牽く荷車の荷台に乗って、村の中心に向かった。俺ら、コレ大好きなんだよ! アトラクションみたいでさ!

 荷台に乗ってるのがランタンオイルの保管箱と俺たち三つ子だけで軽いからって、兄ちゃんが駆け足で引っ張ってくれるんだ! 軽いってなんだよ! 流石兄ちゃん! 人間離れした力持ち! トロッココースターみたいで、スゲー楽しー!


「「「きゃーーっ!!」」」

「もっと飛ばすぞー!」

「「「いっけー!!」」」


 土の道でガタガタ言う荷車も、遊びだと思うと酔わなくて楽しい!


 いろんな畑の実りを横目に、ほぼ一本道を駆け抜けると、村の中央に着いた。流石にここまで来ると、人の賑わいがあるな!

 集会場になってる円形の広場に、荷車と一緒に向かう。朝早くならこの広場に市場が出来て、生鮮食品から保存食、日用品に、ちょっとした贅沢品(お茶とか塩とか)を売る店が出店みたいに並ぶんだって。お昼も過ぎた今は、お食事処や散髪屋が入口前に出してる日除けテントが小さく並んで、カラフルだった。

 調味料屋さんの前に荷車を停めた兄ちゃんが、俺らを荷車から下ろしてから人差し指を立てた。


「ティーチ、ターチ、ミーチ。母さんから頼まれたお遣いの品物は、なんだった?」

「ランタンのオイル!」

「お塩!」

「服用の布!」

「よく覚えてました! 兄ちゃんは塩と布を買ってくるから、オイルを買ってきてくれるか?」

「「「わかったー!」」」

「頼んだぞ。オイル屋に迎えに行くから、待っててね」

「「「はーい!」」」


 相変わらず良い返事をする俺たちに、兄ちゃんはオイルの保管箱とお代を持たせて見送ってくれた。直ぐ兄ちゃん狙いの女の子に声かけられてたけど。兄ちゃん、時間かかりそうだなぁ。まあいいや。よし! やったるぞ!


 俺とターチが保管箱を、ミーチが銀貨一枚を握り締めて、歩く。ランタン屋さんは広場からは外れた場所にお店を構えてて、でも全然隠れてないし、点ってないランタンが店先に飾られてるから遠くからでも見つけやすい。

 開け放たれてる扉から入って、店主のおっちゃんが見えなかったから「「「こんにちはー!」」」って挨拶する。そしたら奥の工房から、腕の筋肉がスッゲェおっちゃんがやってきた。


「おー、山沿い農家のとこの三つ子か。手伝い頑張ってんな!」

「「「そーでしょー!」」」

「ははっ、素直なこった! 今日の注文は、ランタンオイルをいつもの量だな?」

「そうだぜ!」

「ガラス瓶15個分!」

「お代はこちらでーす!」

「おう、ぴったり頂戴したぞ」


 「詰めてくるから、適当にしといてくれ」って言われたから、保管箱ごと瓶を預けた俺らは大人しく、棚に置かれてる売り物のランタンを眺めてた。

 玄関にも飾るくらいにはランタン・ランプの数が多くて、見ごたえがあった。色はガラスの透明と木材の茶色、鉄の銀色。四角くて無骨なものもあれば、吊り下げ式で丸みを帯びた可愛いランタンもある。お花の彫りがあしらわれたおしゃれランタンもあって、工芸品みたいで飽きない。ウチにも、母ちゃんが集めた可愛いランタンがあるけどさ。


 「母さんの誕生日に、俺らでランタン作るか?」って話をしてたら、オイルをガラス瓶に充填し終えたランタン屋のおっちゃんがカウンターの下に保管箱を置いて、こっちに来た。


「なんだ、俺に弟子入り希望か?」

「「「母ちゃんへのプレゼント、一緒に作ってー!」」」

「おう、いいぞ!」


 誘われたからお願いしたら、おっちゃんは胸を張って腰に手を当てた。鼻高々な感じだったけど、チラッと入口を見てから、俺たちの顔を見ながらしゃがみ込んだ。どうしたんだ?


「なぁ、三つ子。……お前んちの兄ちゃんと親父さん、仲良くやってるか?」

「「「……なんでー?」」」

「え? あ、いやー……」


 ちょっと困ったことを聞かれたから、三つ子揃って首を傾げてみせる。するとランタン屋のおっちゃんも困って、左手で頭の後ろを掻いた。


「ほ、ほらよ、クガニも15歳で、年頃だろ? なんか悩んでるようだったらよ、話くらいなら聞いてやろうってな?」

「そっかー」

「たしかに、あんまり二人、喋ってないかもー」

「でも父ちゃん、私たちともそんなお喋りしないよー」

「そ、そうか……。アイツは昔から物静かだったからな。教えてくれてありがとな!」

「「「どういたしましてー!」」」


 俺らの兄ちゃんと父ちゃんは、あんまり、俺らから見ても、仲良くなさそうだもんな。心配する気持ちも分かる。でも、相談に乗りたいんだったら、兄ちゃんに直接聞いてくんね?


 その後直ぐに兄ちゃんが迎えに来たから、オイルが入って重くなった保管箱をおっちゃんに荷台に乗せてもらった。おっちゃんは一応、兄ちゃんに話を聞こうと姿勢を見せてくれたけど、それよりも兄ちゃんが俺たちに「いい子にしてた?」とか「布屋でカラフルな端材もいっぱい頂いちゃった」とか滅茶苦茶構って報告するから、タイミング逃してた。まぁ、触れなくて良かったんじゃね? 兄ちゃん、家族で一人だけ金髪なの、結構気にしてるし。



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