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我が家の食卓革命~転生三つ子が白いパンを焼くまで~  作者: 石磨 輝
目指せ! 白いパン!
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思い出した! ふんわりとだけど!

ふんわり食卓改革譚! よろしくお願いします!

 俺たちの、俺たちによる、我が家の為の食卓改革は、三つ子の真ん中・ターチの一言によって始まった。


「ねー、白いパン、食べたくない?」


 白いパン。噂に聞く、貴族様だけが食べられる、ふわっふわなパンのことか。俺たちがいつも食べてるパンは小麦の外っ皮ギリギリまで挽いた、茶色い粉から作られている。だから中まで茶色くて、固いパンだ。固いって言っても、スープに浸さなくたって食べられる固さだぞ。兄ちゃんたちは。俺たち5歳児には歯応えがありすぎるな。

 だからって、白いパンなぁ。


「でもターチ、野菜嫌いじゃん。栄養取ろうとしたら、今の2倍食べなきゃだぜ?」

「そうだよ。全粒粉だから食物繊維とかカリウムとかが摂れて、効率的に栄養摂れてるんだよ?」

「うっ、き、嫌いじゃないもん! ただまだ僕の舌には合わないってだけで! てかそれはティーチもミーチも一緒でしょー! ……え?」

「ん?」

「あれ?」


 文句言ったターチが赤くなったしかめっ面をポカンッとさせたから、俺もミーチも目を丸くした。


「「「どうして、こんな事知ってるんだろー?」」」


 三つ子らしく、俺らは揃って首を傾げた。



 ご近所さんと呼べる家が子供の足で30分かかるくらいの、どデカイ田畑を持つ農村。そんな村の中でも割と端っこで、山の近くに農耕地を持つ俺たちの暮らしは、人よりも獣や虫、家畜の鶏の鳴き声の方が騒がしい。──あっ、たまに兄ちゃんの威嚇の遠吠えが聞こえるか。山で魔獣狩りしてる時の、ウォオオオオーッ!!!とか。


 そんな場所だから、遊ぶ場所は幅広くて長い畑道。遊び相手はお互いと、父ちゃんが作る農作業用ゴーレム。そして遊ぶよりも、家の手伝いをしてる方が多い。もう1年経ったら村の中央にある教会で文字とか算術とか習うらしいけど、「あの距離を毎日通うのは大変だった」って、兄ちゃん言ってたなぁ。あーヤダヤダ。


 ……まだ学校に行ってない、勉強してない俺らが、なんで“食物繊維”とか、“栄養”とか、難しそうな事、知ってんの? ん? 学校? おべんきょうするのは、教会でだよね?


「ティーチ! ターチ! ミーチ! 手を止めないでー!」

「「「はーい!」」」


 軒先でおっきな包丁を持ってる母ちゃんに言われて、俺ら三つ子は細切りになったジンニンを大きな木枠の網に、重ならないように広げてった。これから冬だからな。今日みたいな乾燥した晴れた日にまとめて天日干ししてた方が、後々の食卓が豊かになるよな。


 細切りのオオネを並べ終わった木枠の網を、父ちゃんの藁ゴーレム4体に預けて、水切り籠に入ったチャガボの薄切りの水気を布巾で拭きつつ、次の網の上に載せていく。

 単調な作業を繰り返してたら、またターチが「ねぇ」と切り出した。


「しょくもつせんいって、なーに?」

「わかんねー」

「大人っぽかったのにね、さっきのわたしたちー」


 三人揃って「兄ちゃんっぽくて、かっこよかったのにねー」って言ったきり、その日はもう、“白いパン”の話は出なかった。今日も主食は芋だったしな。



「「「なぁなぁ(ねぇねぇ)! えっ!? ふたりも!?」」」


 次の日に、寝て見た夢を報告し合って、また白いパンの話になったけどな。どうやら俺たちは、日本ってとこで生まれて、生きて、どうやってか死んで、“異世界転生”ってやつをしたらしい。三つ子揃って。すっげー運命だな。




短い文字数でポンポン出していけるように、頑張ります!


名づけは全体的に安直なので、主人公たちの名前も分かる人には分かるテキトーさです。

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