第一幕.8話 実技試験
3週連続投稿でございます
12月中にもうちょい投稿したい……
試験自体の難易度は小学生レベルの問題ばかり。
唯一難しいのは魔法力学や魔力応用学と言われる分野だが、
物心つく前から魔法書を読み耽っていた俺にとっては簡単なものだった。
そしてそんな俺は今……
試験前、己の名を高らかと言った我が姉を見上げていた。
昔から目立ちたがり屋で自重というものを知らない人だ、
どうせ今日も他の教師が出席するところを無理矢理すり替えたんだろう。
「セレス姉さん、相変わらずうるさいんですね。」
「な〜んだよ久しぶりに会えたお姉ちゃんに愛の言葉のひとつもないのかい?」
「重度のブラコンも治ってないんですね。」⦅にこやかな憐みの目⦆
「私からしたらかわいい妹弟たちだからね。仕方ない仕方ない。」
「で、呼び出した理由は何ですか、僕まだ実技試験あるんですけど」
「もちろん知ってるとも。けどちょっとだけ、ね?」
「まあ、いいですけど。」
「ありがと〜! これから実技試験の会場に人集まるんだけどさ、お父さん曰くアルくんの目がすごいって聞いたから見てほしくて。」
なんか色々とびとびな気がするが俺の《鑑定》のことを言っているのだろう。
「それで、見て欲しいものというのは?」
「これだよ」
姉さんが取り出したのは小型の範囲障壁魔法
「これ、かなり細かい構築されてますね。」
今までにみたことのないほど整えられた術式に魔法陣の層、これならヴァルスの《龍激砲》も3分は耐えれそうだ。
「実はこれを実技テストの障壁にしようと思っていてね。どうだ?」
「はい、いいと思います。」
遠回しに全力でやれって言われてるな、これ
「よし! んじゃ実技もよろしくね! アルくん」
え? 実技まで姉さん? この人筆記の時も担当してたんだけど……
「行くぞアルくん! 実技最高得点を叩き出せー! なんてね」
ほんとに出してびびらせてやる
「それではこれより、実技テストを行う。まずは魔法だ。5m先にある的に命中させればいい、それだけだ! な〜に安心しろ超級の魔法でも打たんかぎり壊れぬ障壁を貼ってある!」
俺たち受験生は1,2,3のグループに分けられ実技を受ける。
ここにいるのは1のグループ、リズは……いなさそうだ。
てかやっぱり試験監督は姉さんか……
おっ、一人目がやるな
「[火球]!」
初級魔法の[火球]基本の技だが発動が少し遅いな、
「評価! C!」
評価その場で言うのかよ! せめてそいつだけに言ってくれよ!
「次! アルレルト・グレア!」
俺の番か、使う魔法どうしようかな。派手すぎるのもちょっとな、よし。
「行きます。」
魔法を発動する際能力《詠唱破棄》を発動
詠唱短縮からの同時に反対作用の魔法を発動!
右手を前に突き出し二つの魔法陣が手の前に現れる。火の中級魔法[炎天烈火]と水の中級魔法[水練氷河]の魔法陣である。
魔法は混ざり合い、一つの魔法陣へと変わる。ここまで0.3秒!
二重混合! 「[氷炎流転]!」
結晶上の炎は地を進み的へと当たると巨大な結晶を発生させ、爆発した。
パキッという嫌な音がしたのも束の間。空や壁を覆っていた障壁にヒビが入り
砕けた。
「えっと……え、あのこれ……」
「評価S! 緊急班! 障壁の貼り直し! いそげ!」
俺の前に姉さんが近づいてくる。
「あの、姉さん……ちょっとやりすぎました……かね?」
俺は顔が見えない姉さんに言葉をかける、流石にキレてるか?
と思いきや姉さんは急に俺を抱きしめて言った
「アル! お前はやっぱりすごいなーー! 流石は私の弟!」
……ただのブラコンだった。
てか姉さん力強い! 骨折れる! 胸で呼吸が……!
てかそれ以上に視線が痛い!
「あの……姉さん……苦しい」
「おっと、すまんすまん」
本当にこのブラコンを治してくれ……
「次の実技は実戦形式だ! 好きな武器を手に取り場所に並べ!」
3箇所の闘技場が用意された場所に連れてこられた俺たちは各々好きに武器を取る
おれはもちろん剣だ
「それでは位置についたものから始め!」
相手をしているのは騎士団の方々だ、感謝しなければ
「次のやつ! こい!」
やっとおれの番が回ってきた。さっきからここの人は一度も負けていない。かなり強い人だな
「ん〜? どっかでみたことあるな〜坊主、どこでみたんかな〜」
ここにいる人は騎士団の人みたいだしレオルさんと一緒に会ったのかもしれないけど覚えていない
「あ〜! 思い出した! 坊主レオルんとこの末っ子だろ! な!」
「はい、そうです」
「やっぱな? 俺は第二騎士団団長のジオ・ジージス。坊主がちびっこの時にあったことがあったな! 覚えてないか!」
ごめんなさい、覚えてません。
「んま、いいや。手加減はしねえぜ?」
「こちらこそ、お願いします。」
騎士団の隊長様と戦える機会なんてないからな。全力でいく!
始まった俺とジオさんの模擬戦、真ん中のステージなのもあって周りが手を止めてこちらを見ている
先に動いたのは俺ジオさんの胴目掛けて横振り、それに対しジオさんは剣を盾に防ぎながらつかに引っ掛け、巻き取ろうとしてくる。
俺はまずいと思い咄嗟に離れながら[火炎]を発射。
ジオさんはそれにすら反応し炎弾を全て切り裂いて向かってくる。
だが、俺は次の手も仕込んでいた、それは……
「っ!」
唐突にジオ団長が背後に飛び退く、次の瞬間地面から大量の土の槍が現れる。
「設置型の魔法まで覚えているのかい、すごいね」
「ありがとうございます」
この人反応速度が尋常じゃない。秀でたとこがないと聞いていたけどそんなことない。
この人五感がめちゃくちゃいいんだ、魔法発動時の音や土埃の匂い。それと異常なまでの反応速度、
さっきから剣は全て見てから止められている。
「強い……」
完全にヴァルスとは違う強さだ。だけど、あの森の主一匹を倒した俺なら!
俺は一呼吸おくと無数の魔法陣を展開する。ただの見掛け倒しでセットした魔法などない。
だが、戦闘経験が多いほど気がそっちに向く!
「ここだぁ!」
一瞬意識が外れた瞬間、俺は最大限の身体強化魔法を発動、剣を捨てそのまま懐に潜り込み、拳を握り締め下から上へとアッパーカットを決める。
「ごがっ!」
かなり情けない声を出しながらジオさんは地面に倒れた。
「ア〜ルくん! 試験どうだった?」(どうだった)
無邪気に声をかけてくるリズとヴァルス
「……不合格かも」
反して絶望的な顔をする俺
「うそ! なんで⁈」
「いや、実技試験の相手がジオ隊長だったんだけど……」
「えー! いいなー! こっちはティファさんだったよー」
「いや、あのな? そのジオ隊長を倒しちゃって……」
「」
いやそうなるよねうん、
もーほんとに落ちてたらどうしよう! メルダさんになんて言えばいいか……
「アルくんなら大丈夫だよ! セレスさんもいるし!」(うむ)
……そう考えたらある意味まずいのかもしれない
あの人のことだから過剰評価しそうだなぁ
そんなことを考えながら帰路についたのだった
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