第一幕.6話 誤解と事実
なんか前より短い気がする
「そこの者! 止まれ! 我はフラグレオ王国の国王 フラグレオ・フィン・アルヴァーナ直属、王立騎士団第一軍『竜殺し』副隊長 ティファ・ハーリヴェールである! ここで何をしていたか、事情聴取をさせてもらおう!」
やっと祠(狡猾な猿の住処)から出れて能力の解除の仕方もわかったってのに
これだよめんどくさい。
とりあえずお相手がなにか誤解をしているであろうことまでは理解出来た。
これにはちゃんとした事情があって〜、なんて話出せる雰囲気でもないし、
どう打開するか……ヴァルスの正体がバレるのはまずい……気がする。……誰か都合よく知ってる人でもいれば少しはましに……
「あれ? さっきの坊主じゃねえか! なんでまだこんなとこにいるんだ。」
都合よく現れるさっきの親切なおじさん! ナイスタイミング! ベリーグッチョブ!
「そ、それがすっごい大きな音がこっちから聞こえてきて、ちょっと気になって見に来たんです。いやー知ってる人がいてよかったですよ。」
「そうかー。まだ12歳ぐらいだろ? 興味があることに向かっていくのは大事な事だが、大人の忠告は大人しく聞くようにしろよ〜?そうだ、また会ったのも何かの縁だ。俺はリゼル。リゼル・ゲットってんだよろしくな。」
「はい! ご忠告ありがとうございますリゼルさん!」
た、助かったー……
「リゼル。知り合いか?」
「いや〜さっきここであったんで顔を知ってただけですよ。副隊長、こいつは俺が送り届けますんで先に調査しといてください。」
「そうか……すまないなキミ、こちらが誤解していたようだ。しかしなぜこんな森に?」
っあーどうしよーかなーちょっと言い訳が出てこない……(チラッとヴァルスの方を見る)
「いや……それがこのうさぎを追いかけてたら迷い込んじゃって……」
(む⁈ わしを売るきか!)違う違うそんなことない
「ん? ヴァルラビルだと? 確か北の国の方にしかいないはずだが……」
・・・先に言っといてくれよヴァルス! (聞かなかったのはお主じゃ)確かに。
「いやいや副隊長、ここら辺でも最近は出るんすよ。上の方で起きた波のせいでね。」
……波?
「……そうか、とりあえず危険だ。こちらで処分しておこう。」
「い、いや実は僕が使役したんです! その魔物を使役できる魔法って言うのがあるって本で読んだから、それで試してみたくて……」
ちょっと苦しいか……?
「この歳で……使役魔法を成功させる……? すごいじゃないか!」
(時雨よ、使役魔法というのはかなり高度な魔法だ。それこそ12歳で成功させるなどできるか怪しいものだぞ)
……だから先に言って? (何も聞かないのはお前だ。)むぅ
使役魔法を成功させたと目の前の少年は言った。それが本当ならば彼はかなりの魔法の腕があることになる。素性もまだわかっていないが他の者……他軍に狙われる前に手を回しておいてもいいかもしれないな……
なんだろうこの空気、なんか言ってくんないかな……さっきから5分ぐらいだったぞ?
「君、名前は?」
「名前ですか?」
かなり唐突だな。てか名乗ってなかったか
「アルレルト・グレアです。」
「アルレルト君か……そうかそうか…………グレア!? グレアってその、グレア領領主レオル・グレアさんの……」
「はい。レオル・グレアの三男アルレルト・グレアです。」
なんか倒れちゃった。
「いやー驚いた。レオルさんのとこの子だったなんてなぁ!」
俺は今リゼルさんの馬に乗っている。揺られるのは意外と心地がいい。
王都に向かってわざわざ隊を離れて馬を走らせてくれているんだから感謝しなきゃな。
「リゼルさんはなぜ騎士団に入ったのですか?」
「俺はなぁ坊主の親父さんに憧れて入ったんだぜ?」
俺の父……レオルさんか
「レアル・グレアと言えばこの国最強の騎士だ。みんなが憧れるヒーローさ。そんな人と一緒に戦えたらって思ってな。」
「レオルさんって騎士なんですか?」
「なんだ坊主! 自分の親の仕事すら知らんのか。ま、でも俺もそんなもんだったな。
レオルさんはな、俺たち竜殺しの隊長さまだ。」
「隊長……」
すごい人ってことは知ってたけどそんなにすごい人だったのか……って
「リゼルさんってレオルさんと同僚だったんですね!」
「おうよ! 夢は諦めなけりゃ必ず叶うんだぞ坊主。」
そんな話をしながら20分ほど俺は無事に王都に送られた。
「ありがとうございましたリゼルさん。」
「なんか困ったら騎士団部署まで来な。手が空いてれば貸してやるよ。あ、あとティファ副隊長から伝達だ。「いつでも騎士団に来てくれて構わない。」とよ。」
勧誘か。就職先があると思えばいいか。
「ありがとうございます。その時はお世話になります。」
「おう!」
「それではまた。」
俺は無事にリゼルさんに王都まで送ってもらいグレア領への帰路についた。
無事に家に着いた俺はある大事なことを忘れていた。
「ただいま帰りました。」
「あらアル。どこに行っていたのかしら?」
唐突に背後からかけられた言葉は明らかに優しさのこもっていないどちらかと言わずとも怒りがこもった声である。
ゆっくりと振り返るとそこにいたのは背後に鬼でも見えそうなメルダさんがいた。ってか見えてるなこれ鬼てか般若だなうん。
「メ、メルダさん……あの、これはその、」
「朝から何も言わずに家を飛び出したと思えば私たちに無断で森に行っていたそうですねえ?」
なぜバレてるし!
「あら、バレないと思った?残念だけどさっき丁度早馬が来たのよ。あなたが森で見つかったって。」
ッスーー
「このあとはお説教です。それとあなたの趣味でもある魔法研究は禁止です。」
「あ、あのせめて魔法書ぐらいは読ませて……」
「駄目です。セバス」
丸一日説教をくらいました。
〜アルくんのざっくり日記〜
6:00〜18:00森
18:30〜23:00説教
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