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双翼の奏者  作者: 無澄名
一章始まりの旋律
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第一幕.4話 やってしまった

「《模倣(コピー)対象〔ヴァルス〕》」

 神様から貰った能力《模倣(コピー)》、この能力には2つの使い方がある。

 対象の姿を模倣するものと能力を模倣するものだ。今回俺が選んだのは姿を模倣するもの、俺の体が白い魔力に包まれ竜の姿を模る。

「なんと、我に化けたか!」

 この姿なら天井の近くで攻撃ができる!

 火初級魔法「[赤火炎(レッドフレイム)]!」


 この世界に存在するすべての生物は魔素を持っていて肺活量と魔素の量は直結している。魔素を保存するための部位が肺に当たる場所だかららしい。

 人が魔法を撃つためには頭の中で撃つ魔法陣をイメージし、尚且つ有効範囲や飛距離、さらに着弾後の影響範囲までを術式に書き込み、さらに魔素を魔力に変換するための変換魔術を発動してからでは無いと打てない。

 これにより魔法使いの主な戦闘スタイルは動かないことが基本になる。その場で止まり魔法を撃つ。だが魔族は例外だ。

 人間と違って魔素をそのまま使うことができるし周りへの影響やらなんやらを考えて撃つやつなんてほとんどいないためだ。

 話がずれたが俺が言いたいのはモンスターで魔法を使うやつも例外なく、人間と同じ過程を挟んでからでは無いと魔法を使えないってことだ。つまり!

「攻撃して動かし続けておけば下の偽物を出す余裕もないはず!」

 ヴァルスの姿になった俺は爪や尾を振り回し猿が止まらないようにする。

『グリャリャギルュリャ!』


「時雨!そのまま門の近くまで誘導せい!」

 時雨がやつを狙い始めた途端、下にいた小型が消えた。

 原理はわからぬが奴が動き続けている間は攻撃が来ておらぬからな、時雨の世界の言葉で言うなら……

「ゆくぞ! 追い込み漁じゃ!」


『グギュルギャッギャ!』

 狡猾な猿人(カンニングモンキー)は恐怖していた。

 自分よりも強い存在が身近にいなかったからというのもある。

 精々いい所までやり合ったことがあるのは堅牢な狼(ロブストウルフ)だけだった。

 生まれて初めての「敗北という名の死」が淡々と近づいて来ていた。

 森を制した二つの塔のうち一つが今、崩れようとしていた。


 ヴァルスの指示で門の近くまで猿を誘い出す。

「これでいいか!」

 俺は猿に向けて土初級魔法[土槍(アースランス)]を連続で放つ。

 得意げにしかしどこか必死になって避ける猿の目の前に足を振り上げたヴァルスが[転移(テレポート)]する。

「すまんが、眠って貰うぞ」

 そのまま鈍い音がして猿の頭に大きな凹みができた。


「意外と手こずったの」

「この門が外に繋がってる表門ってやつ?」

「うむ、開けば森の外に繋がっておるはずじゃ」

「んじゃ任してくれよ。穴開ければいいだろ?」

「む? 何で開ける気じゃ?」

「え? 魔法でだけど」

「……最近できたダンジョンがどうかわ知らんがこの手の遺跡やらは門にも壁にも魔法反射の呪いがついとる。打ったら全部跳ね返ってくるぞ」

 ……あぶねぇ

「あれ?でも裏門は穴開けれたぞ?」

「あっちは元々剥がれかけておったから効果が無かったんだろう。それに、わざわざ裏から入ってくるようなバカはお前以外ほとんどおらんだろうからな。」

 確かに……普通に考えたら前から入るよな。って別に裏から入りたくて入った訳じゃないんだけど……

「まあいいや、それじゃ頼むよヴァルス」

「うむ」

 ヴァルスは軽く跳ねるとそのまま体全体を捻り、門へ回し蹴りを食らわせる。

 バコン! と大きな音がすると、出来た亀裂からドア全体にヒビが入る。そしてそのまま砕けた。

「思うんだけどその体のどこにそれだけのパワーがあるんですかね」

「それは生命の神秘とやらだ。と、格好つけたいところではあるが教えてやろう。

実際のところは身体能力もその者の魔力量に比例している。

例えば魔力が10のものが人を殴ったとしよう。この場合は一般的に考えて殴られた相手が死ぬようなことは無い。

だがしかし、魔力が100あるものが殴ったとしよう。この時殴られたものは首が吹きとぶ。」

「吹きと……え?」

 急にグロテスク

「うむ、吹き飛ぶ。かなり飛躍した話をしてはいるがそう言うことだ。魔力があればあるほど身体能力も上がる。」

「ヴァルスも小さいけど魔力自体は龍の時と同じぐらいあるからめちゃくちゃ力があるってことか。」

 俺の魔力ってどんぐらいあるんだろうか。ステータスの無いこの世界だと基準もわからんしな、

「すてーたす?とやらが何か分からんが、一応魔力量測定器というものがあるぞ」

「まじで? それどこで使えるか教えて。いや、教えてください」

「確か人の町にあるぎるど? とやらで測れるらしいが、どうする今から行くか?」

「あーいや、今からは行かないかな。もう日が沈んでるだろうし」

「ふむ、そうか。……ところで時雨よ。いつまでその姿でいるのだ?」

「?」

「だから、いつまで我の姿になっておるのだ、戻らんのか? と聞いておるのだ」

 確かに今思ったら目線も下がってないしやたら地面が揺れると思ってたけどそういう事か。

「……戻り方わからん」

「それは困った」

 え? 俺これからこの姿で生きるの? いやいや、嫌だけど? さすがに人として生きたいよ?

 助けを求めようとヴァルスへ声をかけようとすると、

「わしも能力(スキル)による効果をどうすれば良いかわ詳しく知らんからな。自分の能力(ちから)なら自分でどうにかせい」

 そんなジト目で見ないでくれ、てゆーか俺は解く方法がわかるまでこのまま、つまり……?

「家に帰れない、ってかまずここから出られない……?」

「まぁそうだなそうなる」

 平然とした顔して言い切っちゃったよこの兎!

 とりあえずなにか方法を考えよう。

「あ、そうだヴァルスが言ってた姿変える魔法ってやつ、あれの使い方教えてくれよ。上から重ねればどうにか……」

「いいことを教えてやろう。魔法より能力(スキル)の方が強制力が高い」

……つまり詰みってこと?

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