第一幕.2話 最初の目的
この世界で何かを学ぶというのなら、絶対に学園へ行くべきだと俺は言いたい。
王都に存在する世界最大の学園施設「王立学園 フラグレオ」
学園内に一つの街が存在するというもはや一つの国にもなり得そうな学園である。
そしてそんなところに行きたいと言った俺だが、自分にどれだけのポテンシャルがあるかわからない。ので、街を出て初級ダンジョンに指定されている《フラグレオの森》でスキル及び魔法の試し打ちを開始することにした。
しかしここでひとつ問題が、"ダンジョンには冒険者資格が無ければ入ることはできない"というルールだ。
この世界で冒険者資格を取るには、15歳以上である必要がある。普通ならあと3年待てば良いのだが学園は来年から始まる。つまり……時間がないのだ。
という事でひとつ魔法を覚えてきた。転移魔法だ。一度行ったことがある場所に物を送ったり移動したりできる能力である。本で見つけた時めちゃくちゃテンション上がった。
昔一度だけグレオさんの連れで森に入ったことがあったからよかった。
とりあえず門から入ろうとしてダメなのを確認したから、
「転移魔法」
よし、ちゃんと中に入れたな。え? 森なら横から入ればいいって? 俺も最初思ったんだけど無理なんですよね、森って言ってる割には周り壁で覆われてるんすもん。
気を取り直して、まず魔法だがこの世界には魔力と魔素というものがある。これは切っても切れない関係にある。魔力は生物の中を駆け巡る魔素のことを言う。人が操れるのは魔力、魔素は大気中に存在する魔力の元、そして魔物や魔族を形作る物質でもある。
人間は魔素が濃い場所に行くと魔力酔いになる。魔素も魔力であるため体の許容量を超えてしまうらしい。俺は攻撃系統の能力がないから魔法をかなりの種類覚えないと。
グレア家はかなり魔法に特化しているらしく書庫にも魔法本がかなりあったから早速かなりの知識が得られて満足です。
んじゃ「始めるか。」
新しく与えられた能力《模倣》
対象を選んで姿を模倣できる《ユニット模倣》と能力を模倣できる《スキル模倣》がある。なんにでもなれる能力と、なんでもできる能力の二つ。どちらかを選んで使えるみたいなので試しに森にいた小型飛竜を《ユニット模倣》したんだが………
羽がある姿になるのはもうやめよう感覚が違いすぎて馴れない。てか飛べない、酔う。
結局倒す事になったので剣術と魔法を使ってみた、剣術は初心者なのでなんも言えんが……
今の俺にとって最大の悩みは魔術だ。詠唱などがないこの世界は頭の中で発動する魔法の陣を思い浮かべなきゃいけないためかなり脳に負担がかかる。そんで持って発動するとき魔力を異常に消費してしまうため、いつ魔法が暴発してもおかしくないなかで行使してしまっているのだ。
仕方ないから魔力を常に押さえた上で森を歩こう。ちょくちょく魔法練習しながら探索しようかな。
……そういやもうひとつ面白い魔法を覚えてきた。
[反発]だ!
やっぱりちょっとぐらい夢見ちゃうよね。どっかの漫画の主人公みたいな全部跳ね返すの。
そしてちょうどいいとこに現れる小型飛竜君、おめでとう! 実験台1号だよ!
そして挨拶のように飛んでくるブレス
とりあえず「[反発]!」
パキンという音が鳴った後、俺の視界は真っ白に染った。
とりあえず目は慣れてきたな………
ん? 地形変わった? クレーターできてるんだけど。
……あとで爆発後見て気づいたんだけど反発ってただ返すだけじゃなく、威力上げて返すってことらしい。あいつが打ったブレスを跳ね返した結果威力高くなりすぎてできたってことかな?
ばかやん
「とりあえず探索続けよっかな」
「おい、ちょっと君!」
げ、人。
音に引き寄せられたのか、兵士のような見た目のおっちゃんに声をかけられた。
「ここら辺で爆発起きたんだけど巻き込まれなかったかい? 大丈夫?」
「え、えぇ大丈夫です。」
少し話を聞くとこの森の奥深くにはもうひとつダンジョンがあるらしい。
そしてそこの奥で天龍ってのが眠っているらしい。
天龍ってのは確かこの世界を支える5体の龍のことだ。
あの神様が生み出した神様代理みたいなやつ。
………1回ぐらい戦ってみたいよな。
「ありがとう。気をつけるよ」
「おう! 気をつけてな! 坊主!」
12歳はまだ坊主呼びされるのか。
とりあえずおっちゃんと反対方向に向かって行く。森の奥側ってことはクレーターの反対側か、どうしよっかな新しく魔法でも作るか?
「よし、試してみよう」
この世界の魔法は属性で分かれている。
主に火 水 土 闇 光の五つ。プラスで魔力や魔素自体を操作する方法。
[転移魔法]は魔力操作を応用していて[門]という魔法と[対象選択]、[移動]を組み合わせた魔法らしい。それぞれの魔法がどんなかっていうと、[対象選択]は視界に入っている生物や物に視点を合わせて対象にとる、[移動]は目線の先に瞬間移動できる魔法、上手い人は好きなとこ飛べるらしいけど。要はピンさせる魔法と目の前に移動できる魔法ってこった。
これを作る際の構築術式ってのを応用して、闇と重力魔法を合わせた魔法、所謂ブラックホールを作る。
闇は作用として吸収する力があるため、そのまわりに重力の層を貼って外へ吐き出す力を抑えながら押し潰すようにすれば、ダメージは無いが重力で空間を収縮して真ん中の闇で吸収し続ける魔法ができる、これ掃除とかにすごく楽そう。
名前どうしよっかな、ちょっとカッコつけて[空虚な魔法]とか。
「とりあえず今の状態で行ってみるか。」
歩いて20分ほど、
「やっと見つけた……」
てか遠かったな! まじできつかった。どう考えても俺のレベルじゃないバケモンがいっぱいいたもん。特に起源竜とかいうやつ!
あいつ一生飛んどる! 一生上からブレス吐いてくる! どっかのゲームのモンスターバリに飛んどる! 余計な体力使っちまった。
本当にあいつにどれだけ時間食われたか………てか、
「これどうやって開けるの?」
俺の身長が140cmぐらい。見つけた入り口のデカさは縦5m横3mぐらい。
開けられなさそうだしちっちゃくブラックホールで入り口に穴を開ける。作っといてよかった、この魔法まじ便利。でも小さいの発動しただけで鼻血止まらんから使いすぎはダメかもな。
周りを警戒しつつ中へ入る、
「暗いな、光源」
とりあえずまっすぐ進もう
道中森にいたモンスターとは違うものと出会ったがどれもあまり強いとは言えなかった、なんなら祠前にいたやつの方が強かったな。
「多分ここが祠だよな」
少し派手な装飾を施された巨大な扉、両脇には二体の石像
片方は剣と盾、片方は杖を持っている……動かないよな?
一応押してみるか?
「ほっ」
あれ、思ったより軽い
ゴゴゴ……と音を立てながら扉が開く。
『何者だ……』
「えっと、俺は」
『お主……ここがどこかわかっているのか』
ん?
「えーっと?」
『神聖な我が祠に踏み入っただけではなく我が眠りを妨げるものよ其方を亡き者にしてもこの罪は償えんぞ!』
ガチでいるとは思ってなかった。てか、そんなに大事か寝るの⁈
って何あの口の中で光るあれ、
『消え去れ! 《龍皇砲》!』
「って、うぉぉぉおおい!! 出会って数秒、お話もせず顔も見ずにブレスとか!」
何あれ反撃した方がいいのか? 嫌やめた方がいいな会話の余地がますますなくなる!
「頼む! 話を聞いてくれ!」
『黙れ!』
……えー? なにあれ? 流石にキレすぎじゃない? ってか天井ヒビ入ってますよー!
唐突に俺の後ろから龍が消える。
消え……へ?
そしてさも元からいたかのように目の前へと現れる。そしてその口の中にはまだ光が灯っていた。つまり?
………ブレス中に……目の前への瞬間移動は……ダメだと思います、、、
「っあぶねぇ!」
とりあえず[障壁]はって耐えるしか、、
[反撃]したらどうなるかな……いや、でも流石にダメだよなー
んーでも、「すまんけど気になるから、[反撃]!」
………あれ今思ったけどかなりやっちゃだめだった?
森の外には爆発元を特定するために防衛部隊が結成されていた。
「これより我々は森に入る! 初級ダンジョンだからと舐めるなよ!」
「「「「押忍!!!!!」」」」
「行く__________」
チュドォォオン
「「「「」」」」
「た、隊長今のは……」
「……伝令を出せ……増援要請だ。総員直ちに戦闘準備! 援軍が到着次第森へ入る」
森の中のアルはというと……
いやいや、無理でしょ普通に考えて。弾き返せるもんなのか? ブレスって
まあ、床どころか天井にも穴空いたし逃げようと思えば逃げれるし大丈夫……だよな?
『お主やりおるな……それほどの力を持つものならひとつ話を聞いてやろう』
「え? まじ? ありがと。」
急に話聞くモード、おれただ跳ね返しただけだけど……まあいっか!
「なあ、あんたが天龍ってやつならひとつ教えて欲しいことがあるんだが」
『……なんだ。』
「本で読んだだけなんだけど"天地の大戦争"って知ってるか」
天地の大戦争…はるか200年前、天の世界に魔王軍が攻め込んだ時があった。そして同じタイミングで王国も攻められ壊滅したとされる伝説の戦争。転生する際に神は俺にこう言った、
「混沌とした世界を正す力になってくれ」と、なぜかこっちにきたら自由にしていいって言われたけど。
自由に過ごせと言っときながら正す力になれ、なんてことは過去にあったなにかしらが関わっているはずだ。混沌とした世界とやらになった理由が。
『残念だが、我はその時眠りについていた。だがそうか、知りたいのだなあの日なにがあったのか。……其方名前は』
「アルレルト」
『そうでは無い。其方の中にはもうひとつ魂がある。おそらく迷い人だろう』
もうひとつの魂、迷い人?
『わかりすく言えば"転生者"だろう?』
「……俺の名前は天崎時雨。気づいているみたいだが転生者だ。時雨でいい。」
『時雨……そうか、我が名はヴァルス・ディファース。5つの龍を総べし万物を操る天龍である。が、見ての通り今は傷を負っておるため力を貸すことは難しい。……其方にひとつ提案なのだが、我と契約せぬか?』
………ん? どうしてそうなった?
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